こんなパブリックコメントが行われていて、しかも締め切りは今日(涙)。
有機の認証に関するもので、簡単に言うと外国の有機認証がそのまま日本でも有効になる、というもの。
これまでは日本で有機食品として販売する場合には日本の認定、有機JASを取得しなければならなかった。これを外国で有機を取得した場合にはそれが日本の認証制度と同等性が確認された国の認証であれば、農産物、畜産物、農薬・肥料の規定が有効となる、というもの。
残念ながら日本の有機の基準は高いものではない。たとえば日本では種子は有機でなくても許される。EUの場合は種子も有機栽培されていなければ有機にならない。米国や日本はそこは甘い。だから、外国基準イコール低い水準ということでは必ずしもない。
フェアートレードなどでは現地で認可を取っても、また日本で別途認可を取るという手間は省けることは確かにメリットとは言えるかもしれない。
しかし、自由貿易を推進するために、認証や承認制度を簡略化しようという動きが背景にあることに注意が必要だ。その最悪のものは遺伝子組み換え作物の承認の簡略化で、これまで米国で栽培が許可されたものも、日本では別途日本での栽培実験を行った上で認可を取らなければならなかった。でも一部の作物で米国で認可されたものは日本での栽培実験を省略できることになってしまっている。
バイオテクノロジー企業は現在のように国毎に認可するシステムはやめてしまい、国際的な機関で認証されればすべての国がそれを受け入れることを要求している。その国際認証機関を握ってしまえば現在のように遺伝子組み換え作物が規制されることなどなくなるからだ。これはすべての国の食料主権を奪うことに等しい。
米国で「ゲノム編集」された農産物を有機に入れようという動きがトランプ政権から出されて、大騒ぎになった。日本政府もこっそりとそれを追従しようという動きを見せた。しかし、米国でも日本でもその方針には大きな反対が表明され、農水省も有機認証から「ゲノム編集」を排除する方針を固めた。でも、いまだに米国では警戒が続いている。
米国では有機関連産業は急速に大きくなっている。その大元を崩すようなことには慎重であるだろう。農民や市民運動の力もある。しかし、一方でこの急成長している産業を握ろうとする大手の資本の動きもAmazon.comのWhole Foodsの買収に見られるように激しい。
このような中、有機認証は信頼を失えば無意味のものになってしまう。どう外国の有機基準を日本と同等と認めるか、そこが今回の鍵となるはずだが、そこは何も書かれていない。これではそもそも政策以前の話であり、コメントを書きようがない。もう一度、しっかりと検討してこい、と言わざるをえない、と思う。
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