みどりの食料システム戦略に関するパブリックコメント

「みどりの食料システム戦略」に関するパブコメが相次いで出ている。1つは締め切りが8月9日。
環境負荷低減事業活動の促進及びその基盤の確立に関する基本的な方針(案)についての意見・情報の募集について
 
 さらに8月25日が締め切りのパブコメも。
環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律第39条第4項の規定に基づく基盤確立事業実施計画の認定に係る審査基準及び標準処理期間案についての意見・情報の募集について
  
 パブコメはやっかいだ。役所に聞かないとわからないような用語で書かれたものにコメントを書ける人はわずかしかいないだろう。せっかく書いても、ブラックホールに吸い込まれる感じで反応があったことがほとんどない。いやガス抜きっていうんだっけ? 次から次へと矢継ぎ早にいろいろ頭の痛いことを政府が打ち出すから消耗することこの上ない。

 でも何も書かなければ同意したことになってしまうと思えば書かざるを得ない。
 
 さて、今回のパブコメは何のためかというと、「みどりの食料システム戦略」を進める上での基盤の確立と方針。すでに全国でブロック別に説明会が開かれている。そこでわかってきたことがある。
 
 1つは「みどりの食料システム戦略」で「環境負荷低減事業活動」として水耕栽培を認めようとしているらしいこと(添付図参照)(1)。水耕栽培は農業というよりも農業の工業化に適した形態。有機農業は土作りと言われるのに、それがない。それを環境負荷低減型農業と本当に呼べるのだろうか? もしかすると、地域の環境の循環を可能にする水耕栽培もありえるかもしれない。それならいいのだが、水耕栽培はむしろ工場で食品を作るような工業型農業になりかねない。
 
 実際に米国では農務省が2020年3月に水耕栽培にも有機認証を認めてしまっている。大企業の圧力だろう。この動きに対して、Center for Food Safetyがこの決定を無効にするように2021年3月に裁判に訴えている(2)。
 
 ちょっと高くても環境のためなら、と思って有機野菜を買ったら、それは生態系の循環には断ち切られた工場で作られていたらどんな気持ちになるだろう? ちょっと許せない。だから米国ではこんな訴訟になっている。
 
 そんな争いのあるものをなぜ「みどりの食料システム戦略」は環境負荷低減事業として認めてしまうのか?
 
 これ以外にもいくらでも書くことはありそうだ。たとえば、今、化学肥料が高騰していて、しかも今後の安定的な供給は厳しく、また化学肥料の使用は環境負荷も高い。今こそ、化学肥料の使用を低減する農法を普及させていく必要があるし、農研機構にはそうした研究もいっぱいしているではないか? この資料の中ではバイオ炭の使用は出てくるけれども、農研機構がしっかり研究したカバークロップについては一言も出てこない。
 カバークロップの利用は化学肥料の必要性を低減させることは確認済みなのに。
 
 農業の基本はタネから始まるのに、特に有機農業のための種苗制度は日本はまだ作っていない。それなのにこの「みどりの食料システム戦略」はその制度作りはまったく無関心。それどころか、「ゲノム編集」を品種改良の柱に据えている。表示もせずに「ゲノム編集」の種苗をばら撒けば有機農業は大変になってしまう。その制度作りも全然手を付けていない。
 
 農産物の輸出に向けた企業の支援には熱心だけれども、農村の基盤を整えることには後ろ向き。これでは日本の食はどうなる?
  
 締め切り間近の投稿で申し訳ないのだけど、とりあえずの問題提起とさせていただきたい。

(1) 「みどりの食料システム戦略」に関する関連資料は以下にあります。
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/
引用した図は以下から
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/attach/pdf/houritsu-32.pdf

(2) Organic Food Advocates Seek Reversal of Decision Authorizing Labeling of Hydroponic Operations as ‘Organic’
https://www.centerforfoodsafety.org/press-releases/6455/organic-food-advocates-seek-reversal-of-decision-authorizing-labeling-of-hydroponic-operations-as-organic

Media Advisory: Public Oral Argument in Appeal Challenging Court Decision Authorizing Labeling of Soil-less Hydroponic Operations as Organic(今年7月22日のプレスリリース)
https://www.centerforfoodsafety.org/press-releases/6683/media-advisory-public-oral-argument-in-appeal-challenging-court-decision-authorizing-labeling-of-soil-less-hydroponic-operations-as-organic

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