「みどりの食料システム戦略」に関するパブリックコメント出しました

 明日8月9日締め切りの「みどりの食料システム戦略」に関するパブリックコメント、何も書かないのは不本意なので、書いてみました。殴り書き状態で、全然模範的なコメントからはほど遠いのですが、あえてさらします。

環境負荷低減事業活動の促進及びその基盤の確立に関する基本的な方針(案)についての意見・情報の募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550003515&Mode=0
———————————
 「みどりの食料システム戦略」で環境と調和する食料生産をめざすことは、気候危機、生物絶滅危機、食料危機、健康危機という多重危機が同時に押し寄せる状況の中でまさにタイムリーな政策であり、この戦略によってこの多重危機を可能な限り回避することを可能にしていく必要があると考えます。
 しかし、実際に出てきている施策はその方向に反したものが多く、大きな矛盾を感じずにはいられません。その点は方向転換が不可欠になっています。
 
 特にウクライナへの戦争以前から化学肥料が高騰しています。化学肥料は環境負荷が大きく、製造に必要な化石資源は有限であり、新たな化石資源開発は環境負荷を高めてしまいます。そのため、今後の化学肥料の確保はさらに困難になっていくことが予想されます。化学肥料への依存を減らすことは急務です。すでに農研機構ではカバークロップの活用など化学肥料を減らす方法についても調査が行われました。
 こうした農法を化学肥料に頼る慣行農家に拡げ、その使用を減らすことは土壌の改善を可能するので「みどりの食料システム戦略」の目的にも合致し、また生産コストを下げることを可能にすることで慣行農家の支援にもつながると考えます。
 しかし、農研機構でも実効性が実証され、世界的にも活用が進んでいるカバークロップがなぜみどりの食料システム戦略では語られなくなっているのか、大きな疑問です。農研機構の研究成果も一部閲覧できなくなっていますが、これではせっかくの宝の持ち腐れではないでしょうか?
 
 農業はタネから始まります。環境に負荷を減らす農業のためには環境に負荷をかけずに育つタネの確保から始めなければならないはずです。しかし、日本にはそうしたタネを供給する政策が欠けています。これでは日本では始めから環境に負荷を減らす農業はハンディキャップを負っている状態であるといわざるをえません。国や地方自治体による公的種苗事業で、そうした種苗を提供する政策が不可欠であるはずです。そして、各地域に合った種苗を育成することに対する支援政策が不可欠です。具体的には在来種のタネ採り支援や各地域に作られているシードバンクへの支援が検討されるべきでしょう。
 
 一方、「みどりの食料システム戦略」では「ゲノム編集」を品種改良の基軸に据えています。しかし、遺伝子操作で品種改良することには根本的に疑問が呈されています。これまで遺伝子操作でどんな画期的な品種が作られたでしょうか? もっとも評価の高い品種のほとんどは従来の品種改良で作られたものであることを考えれば「ゲノム編集」に税金を投じることの意味は疑わざるをえません。そして、操作された種苗に表示しないということは日本の有機農業の存立を脅かす行為であり、許されるものではありません。
 
 この間の農水省の行動を見ると、農産物輸出企業のためにはさまざまな支援を積極的に行うけれども、実際に日本の地域の農業の底上げのためには不可欠な農村基盤の整備にはとても冷淡な傾向を感じざるをえません。種苗の知的財産権を稼ぐことは一部の企業の利益になっても、日本の食の底上げは期待できません。
 
 この「みどりの食料システム戦略」の中で、水耕栽培が環境負荷低減事業として対象にされていることに大きな疑問を感じます。農業は土の微生物の力と植物の力の活用が基本とされます。環境負荷を減らすには土の生物多様性を回復することが必要です。水耕栽培はそれを持ちません。単に農薬や化学肥料を低減させればいいというのはまったく短絡した考えです。生態系の循環を無視した大規模な工場で作られる水耕栽培が環境負荷低減事業として認められるとしたら、それはまったく完全に趣旨を偽った行為として非難せざるをえません。
 
 本来、農水省の本来の仕事は農家、農村の支援が基本でしょう。しかし、このような工業的な生産ばかりが推奨される現在の農水省の姿勢は企業のための官庁へと変質していることを象徴しているように思えてなりません。
 
 水耕栽培の環境負荷低減事業対象からの削除を強く求めます。
 
 現在、農家の存続が危機的な状況になっています。慣行農業を行う99.5%の農家を含めた農家を守ることが農水省にとって肝心な仕事であることは言うまでもないでしょう。農家がいなくなればみどりの食料システム戦略どころか、日本は食料危機に瀕するしかありません。農水省の大きな転換なしにはそれは不可避に思えます。今一度、方針の根本的な見直しを求めます。

以上

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。