新型コロナウイルスについて菅首相はワクチン打ちさえすれば解決するように考えているように思えてならないが、危険な発想だと思う。ワクチンによる集団免疫はおそらく不可能、という記事がNatureに掲載された。その理由として5つ挙げている。
1. ワクチンが感染を防ぐか不明
2. ワクチンは平等に分配されていない
3. 変異株の出現で集団免疫が無効になる
4. 免疫は永続しない
5. ワクチンは人の行動を変えてしまう
これはワクチンを打つか打たないかという話ではない。イスラエルや英国でワクチン接種が進み、今のところ感染が効果的に減っているという事実も受けた上で、ワクチンだけに頼ることの危険を伝える記事として読むべきだろう。
実際に集団免疫を獲得したと思われたアマゾン地域で変異株によって再感染が急激に進み、医療崩壊して、大変な悲劇を味わったばかり。酸素ボンベが底を突き、多くの人が命を失った。今やサンパウロ市でそれが起きることが危惧されている。巨大人口を抱えるサンパウロ市の人びとがとても心配になる。
いずれにしても今、日本に必要なのは基本となる施策をしっかりやることだ。まず検査と感染者の隔離・治療ができる体制。そして、感染症の被害拡大をもたらす生態系の破壊・撹乱を生む生産を止め、環境と調和する方向に変えること。「ウィズ・コロナ」施策はありえないし、ワクチンはウイルスへの最終兵器にならない。
ワクチン接種が進んでも感染は完全には消えず、長期化することは覚悟しなければならない。だからこそ、しっかりとした体制を作らなければならないのに、その体制構築の意志がいまだにはっきりせず、しかもその状態でオリンピックを開催するなどというのはもっての他。今日のサンパウロは東京の明日かもしれない。
Five reasons why COVID herd immunity is probably impossible
https://www.nature.com/articles/d41586-021-00728-2