ラウンドアップ(グリホサート)をなんらかしら規制、あるいは禁止を試みている国の数は42に及ぶ。最初はスリランカとエルサルバドルだった。農業労働者にCKDu(慢性腎不全)で命を落とす人が万単位となり、その主因として分析されたのがグリホサートだった。しかし米国政府の圧力によって、スリランカは一部緩和、エルサルバドルは議会が決めたのに禁止を実行できていない。
今、現在、完全に禁止している国はルクセンブルク。今年1月1日から完全禁止。タイやオーストリアも完全禁止を決めたが、まだ実行できていない。ベルギーは個人向けには禁止。すでに流通大手でも販売を取りやめたところはいくつも出ている(1)。
特筆すべきは米国国内での市町村による規制・禁止の動き。すでにその数100を超している。その規制・禁止の範囲は公園や学校、道路などでの使用禁止に留まるため、農業用の使用までが禁止されるわけではないけれども、子どもが遊ぶ空間からこの危険が排除されることは重要。米国政府がモンサントの代理人として世界の政府に圧力をかけているその足下でこのような動きがあることは要注目。日本でも政府が動かなくても地方自治体は動けるはず。
米国だけでなく、オーストラリアの自治体でも同様に規制・禁止が進んでいる(オーストラリアは世界で断トツの有機大国でもある。もっとも農薬を使う大規模農業も盛んだが)。
日本では明確に農薬の使用を禁止する条例を作っているところはわずかしかない。機械除草などで農薬を使わないようにしている、とする自治体の数はかなりあると思われるけれども、これはいつ農薬を使うように変わるかわからず、また、多くの自治体で除草業者に丸投げになっているケースも多いことが予想されるため、しっかりと条例で規制する意味は大きいだろう。
「農薬使わずに手で抜けというのか」と怒られるかもしれないけど、代替案は進んでいる。たとえばスチーム除草は米国やオーストラリアではよく使われているようだ(2)。スチーム除草よりも温水除草の方がさらに効果的ともいう(3)。温水除草だと機械による除草と違って、根も効果的に止めるので効果が長続きするとのこと。実証実験できるといいのだけど。温水やスチームであれば汚染は残らない。さらに言えば、草を生かす方法も開拓したいところ(道路や公園じゃなくて、農業での競合植物対策はどうするんだ、という話が重要なわけですが、東南アジアや南アジアでも有機農業が急速に広まっていることを考えれば、農薬を使わない農業の可能性はやはり大きいと考えます)。
(1) 世界のどこでラウンドアップ・グリホサートが規制・禁止されているかのリスト
https://www.baumhedlundlaw.com/toxic-tort-law/monsanto-roundup-lawsuit/where-is-glyphosate-banned-/
グリホサート関連年表(2015年~)
http://organic-newsclip.info/nouyaku/glyphosate-table.html
(2) Concerned about Roundup? Some local councils are already trying alternatives
https://www.abc.net.au/news/2018-08-16/concerned-about-roundup-local-councils-trying-alternatives/10122440
ラウンドアップの10の代替案
https://ja.momsacrossamerica.com/10_alternatives_to_roundup
(3) 温水高圧洗浄機で雑草除去
https://www.kaercher.com/jp/professional/high-pressure-cleaners/hot-water-high-pressure-cleaners/weed-removal.html