転換を必死に拒む日本政府ー米国産トウモロコシ輸入について

「日本、米産トウモロコシ輸入へ=米中対立の余波-首脳会談」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190826-00000003-jij-pol

 8月13日の東京新聞の記事では「トランプ米大統領が安倍晋三首相に対し、米農産品の巨額購入を直接要求していたことが13日、分かった。対中国輸出が貿易摩擦で減少しており、穴埋めを求めた形。これまでの会談でトランプ氏は大豆や小麦など具体的な品目を挙げたとされ、米政権は対日貿易赤字の削減を目指して進めている日米貿易交渉の枠組みとは別に購入を迫っているという」と出ていた件、大豆や小麦ではなく、トウモロコシだということが25日、明らかになったとのこと。

 これほど馬鹿げた外交はありえない。米国産トウモロコシはそもそも過剰生産であるにも関わらず、米国政府は補助金を出し続け、遺伝子組み換え企業と大規模農家を支え続けてきた。そしてその買い上げられた農作物は米国の世界戦略の1つの武器として使われてきた。
 トウモロコシは家畜飼料、食用油など加工食品の原料以外としてもバイオ燃料にも使われているが、化学肥料+農薬漬けの農業は気候変動を加速し、土壌を破壊し、海のデッドゾーンを拡大させる。環境を汚染するだけの遺伝子組み換えトウモロコシへの補助金は使うなと何年も前から環境団体に告発され続けている。そのトウモロコシを日本政府が巨額(数百億円)の資金を投入して、民間企業に買わせるというのだ。
 もとより日本は米国から大量の遺伝子組み換えトウモロコシを長年買い付け、それらは主に飼料や加工食品の原料となり、われわれの胃袋に入っていっているが、日本市場は縮小続けており、そんな巨額の追加のトウモロコシを捌く余裕はない。
 前の東京新聞の記事ではアフリカへの支援に、と書かれていたが、そんな毒物をアフリカに送ることはもちろん、支援や援助にはなりえない。軍事基地だけでなく、食料援助の分野でも日本のお金を使って米国の世界戦略を進めるってことであって、まったく独立国としてはありえない行為、これでまた日本が米国の前にまったく独立性を失ったまともな国でないことを世界に示した、という屈辱的な発表としか言えない代物なはずだけれども、マスメディアはどう伝えるのだろうか?

 遺伝子組み換えトウモロコシに代表されるような、現在の自然破壊型農業が続けば、米国の環境も壊れてしまう。そうなれば農業も終わりになる。30年代のニューディールに始まった米国農業巨大化政策ももう持たせる余力が米国政府に乏しい。生きる環境を再び作り出す農業(Regenerative Agriculture)が米国では今、大きく発展し、そうしたものに基づく農業政策に米国も転換しなければならない、新しいグリーンニューディールに転換しようという大きな転換期にあるといえる。それにも関わらず、われわれの税金がその転換を阻む資金として使われる。なんということだろう。

 そしてその数百億円、これは本来、こうしたものではないことに使われるべき金だろう。安倍政権によって、われわれの税金がわれわれの世界を壊して利益を得ている消え去るべき勢力を支えるために使われ続けている。
 現在の日本の政権がこのまま続けば、今回が最初で最後になるのではなく、今後も続くという悪夢を想定せざるをえないのではないだろうか? 米国を中心とした食の世界体制はとっくに破綻しているが、米国政府はその政策破綻の後始末をわれわれの税金を使って今後も続けさせようとしてくるだろう。
 いったいどれだけ富を使い尽くせば気が済むのか? 早く安倍政権を終わりにしないと、今後の日本はさらに苦しくなるだろう。

13日の報道に関してFacebookに書いたもの。

「トランプ米大統領が安倍晋三首相に対し、米農産品の巨額購入を直接要求していたことが13日、分かった。対中国輸出が貿易摩擦で減少しており、穴埋めを求めた形。これまでの会談でトランプ氏は大豆や小麦など具体的な品目を挙げたとされ、米政権は対日貿易…

印鑰 智哉さんの投稿 2019年8月13日火曜日

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