南ア最高裁、遺伝子組み換え作物への画期的判決

歴史的快挙:南ア最高裁はモンサント(現バイエル)が開発した干ばつ耐性遺伝子組み換えトウモロコシの許可に対するアフリカ生物多様性センター(ACB)の訴えを認め、許可を取り消した。それだけでなく、この判決は南ア政府が遺伝子組み換え食品を適切な健康や環境影響の評価なく認めていたことに問題を投げかけることになった。9年越しの裁判が決着した。
 
 遺伝子組み換え食品が健康に与える影響もアフリカ南部の現実から抜本的に見直す必要がある。世界で健康影響を最も受けているのは南アの経済圏で南アからの遺伝子組み換え作物(トウモロコシ・大豆)やコットンに依存している人びとかもしれない。なぜなら、彼らにとってこれらの作物は主食であるからだ。米国でも遺伝子組み換え作物の栽培は盛んだが、その多くは家畜の餌だったり、加工食品やバイオ燃料に使われ、主食として口に入ることはわずかであると考えられるが、その割合がアフリカ南部地域でははるかに高い。
 これらの地域で健康被害は世界の他の地域に比べ、遺伝子組み換え食品による健康被害ははるかに大きい可能性が高い。にも関わらず調査は十分進んでいない。これらの地域で徹底的な健康・環境調査ができれば、遺伝子組み換え作物に関する評価が大きく変わる可能性が高いのではないだろうか?
 米国でも遺伝子組み換え作物栽培開始以降、慢性疾患は急増しており、それが遺伝子組み換え食品を避け、有機食品を求める動きにもつながっていると考えられる。しかし、アフリカ南部ではその選択は容易ではないだろう。それだけにこの判決が持つ意義は大きいものがある。
 
 もう一言、この30年、遺伝子組み換えでは農薬耐性や殺虫毒素でしか成功がなく、干ばつ耐性とか高収量では成功例がほとんどない。従来の品種の方が上回る。遺伝子操作によって「品種改良」というのはほとんど幻想であり、高度な品種改良は単なる遺伝子操作ではできないのだ。その「成功」といっても農薬耐性では雑草も害虫も数年で耐性を獲得してしまうので、はかないものに過ぎない。つまり、遺伝子組み換え作物には長期的な成功例が見いだせないのが現実だと言わざるを得ない。

South Africa’s Supreme Court Reverses GMO Approval due to Safety Concerns.
https://www.iamrutendo.online/post/ccb2375f

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