種苗法再改正、食糧法改正、さらには革新的新品種開発に関する法案の問題点

 いきなり通常国会で冒頭解散するという理不尽なことが起きようとしていますが、審議時間が短くなり、十分な審議もないまま予算が成立してしまい、また問題ある法案も満足な審議もされずに通されてしまう可能性があります。
 日本の今後の食・農業のあり方を大きく変えてしまう法案がいくつも出ようとしています。たとえば種苗法再改正、食糧法改正、さらにまだ正式名称がわかりませんが、革新的新品種開発のための新法案があります。
 
 これらの法案の問題点をごく簡単に言えば、地域の食文化を支えるタネは無視して、グローバル化できるごく少数のタネを世界で売れるようにする、そして大企業に有利な新たな農業・食のシステムへの転換に向けていこうとするものだと言えるでしょう。人びとの食料の決定権、食料主権はますます無視されてしまうことが危惧されます。
 
 種苗法は2020年に改正したばかりです。それなのになぜまた再改正が必要なのでしょう。
 一言で言えば、2020年の種苗法改正は「守りの種苗法改正」だった。それに対して2026年の種苗法改正は「攻めの種苗法改正」です。2020年の種苗法改正は「日本の優秀な種苗を海外に流出させないため」と説明されました。だから海外には持ち出せない制約を課す条項を新たに設けたのです。その結果、1975品種が海外持ち出し禁止となりました。
 でも、持ち出し禁止=国内オンリーで、しかも国内市場は減少傾向だから、そこでは止まれない。だから、今度は海外への種苗輸出を可能にする「攻めの種苗法改正」がなければならない、ということになります。
 
 しかし、「守り」も「攻め」もどちらも種苗の独占権(育成者権)を持つ種苗企業にとっての観点であり、農家の種子決定権、種子主権を守るという観点のものとはまったく逆のものになっています。種子のグローバリゼーションが始まった1990年代以降、日本国内のタネの生産は激減してしまい、野菜では9割が海外からの輸入に頼る状況になっており、このアンバランスは食料自給率以上に異様なレベルに達してしまっているのですが、こうした事態を変えようという意志を政府には見出すことができません。
 
 最後に革新的新品種開発のための新法について。まだ詳細はわかりませんが、これはこれまで地方自治体ごとにその地域にあった種苗を開発するという原則を変えて、国家主導で、民間企業と組んで、広域を対象とした種苗開発に変えていくための法案になりそうです。種苗の中央集権化によって広域で販売できる少数の種苗の開発に資金を投入するため、地域の食文化を支えてきたような種苗は無視され、農業生物多様性がさらに失われてしまうことでしょう。
 そして、民間企業の儲けのための開発が中心となり、さらにはバイオテクノロジー(新ゲノム技術NGTsである「ゲノム編集」や中性子線・重イオンビーム育種、EMSによる遺伝子操作など)が使われる可能性も危惧されます。農民不在、消費者・市民不在の種苗政策であり、食の政策であると思います。
 
 気候危機など環境変化に強い、多様な在来種を含む地域のタネをどれだけ守れるかが、今後、激動の時代を迎える中で、最重要になると考えられますが、そうしたものを守ることにはほとんど政府は関心がない、というのが現状と言わざるをえません。
 
 それならば、そうした多様な地域のタネを守り、それを生かすことを可能にするための条例、法制度を作ることを、市民が要求していかなければならないということになります。

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