種苗法改定にどんな問題があるか、前の投稿で番外編としたことに少し説明加えます(動画あり)。
番外編:国内の農家に種苗法改定により自家増殖を抑制させるだけでなく、その影響は海外の農家にも及ぶ。
農水省は植物品種等海外流出防止総合対策事業に5億6700万円、農業知的財産保護・活用支援事業に3億9300万円の予算概算要求して自家増殖させない体制を構築しようとしている。
これは種苗法改定案に書かれていることではないのですが、種苗法で掲げられた「日本の種苗を海外に流出させない」ための具体的方策として具体化されたものです。
海外政府と協力して、農家に登録品種の自家増殖をさせない体制を構築するための予算が組まれています。もちろん、日本の種苗組織が育成した登録品種を海外でも品種登録すること自身を支援することには問題はないですし、それ自身は必要でしょう。
しかし、その登録品種の種子を自家増殖することを認めるかどうか、これはその国の人びとが決めることであるべきです。たとえばインドの種苗法ではそれは認められています。インドの種苗法の名前は「植物の品種保護と農民の権利法」、農民の権利がいっしょに加えられている法律です。ならば、その法律を変えさせる? となると、他国の民主主義に干渉する行き過ぎた行為になるのですが、日本政府はTPPやRCEPなど自由貿易協定を通じて、そうした主張をしているとリークされています。幸いなことにインドはRCEP交渉からも脱退を決めましたが、さまざまな自由貿易交渉の中で、そのような圧力を受け続け、農民の権利が危ぶまれています。他にも、インドネシアは昨年9月に種苗法を改訂し、農民たちは種子の権利が制約されたと批判していますが、これも日本からの圧力の存在が指摘されています。
特に南の国々にとって種子を奪われることがどんなことを意味するか、すばらしい短編ビデオが作られています。この中で、日本は名指しで、他国の農民の種子の権利を自由貿易協定を通じて攻撃するな、と批判されています。
今回の種苗法改定はこうした動きとも1つのものとなっていると言わざるをえません。拙速な種苗法改定審議はしないこと、また他国の政策への不当な干渉もやめることを求めます。
Monopolies on seed: How free trade agreements threaten food security and biodiversity.
(英語の字幕も出せないのが残念。だけどシンプルな英語なのでぜひ!)
ラテンアメリカ諸国で農民たちがどう闘っているかを扱ったドキュメンタリー映画『種子―みんなのもの? それとも企業の所有物?』は5月6日まで特別に無料で観られます。
https://youtu.be/fU15OojJPrs