インドでも種子の独占に反対する大きな動き

 タネの法律は今、世界でほぼ同時に書き換えられようとしている。マレーシアでは今日、政府による種苗法改正やタネの権利を奪う国際条約UPOV1991への加盟に反対するデモが行われるが、インドネシアでも状況は似ていて、来週には2日間の国際会議が開催される予定で、それに私も招かれており、参加を予定している。
 
 インドでも種子法の改正が迫っており、農家や農家と連携する労働組合が大きな反対運動を組んで、法案の成立に反対している。
 インドには世界にも例のない農民の権利を保護した種苗法が存在する(「植物品種保護・農民の権利法」2001年)。種苗法はどの国でも新品種を作った育成者(種子企業)の知財権を守るために作られるのが普通で、農民のことは無視されるのだが、インドでは同時に同じ法律が農民の種子の権利を保障するものになっている。農民は単なる栽培者(タネの使用者)としてだけではなく、同時に「育種家」として認定し、登録品種であったとしても種子の自家採種、交換、販売を認める権利が明記されている。
 昨年11月に提出された種子法案は種子の品質規制と流通管理に関わる法律であり、この「植物品種保護・農民の権利法」を置き換えるものではなく、この2つの法律は両立すると、政府は説明している。しかし、農民組織はこの新法案が成立してしまえば、世界的にも画期的と言われる「農民の権利法」は死文化させられてしまうと批判している。なぜなら、この法律ではすべての種子の「登録」が義務付けられる。農民が伝統的に行ってきた種子の交換や地域での販売が「未登録種子の販売」として処罰の対象とされる可能性がある。その結果、農民の種子の決定権、種子主権が脅かされると農民団体は批判している。
 
 農民団体や労働組合だけではない。州政府からも新法案への反対が出ている。新法案によって種子の権限が中央集権化させられ、州の権限を弱めるとして農業の盛んなパンジャブ州政府は反対を表明している。
 
 インドでは祝日の1月26日にもトラクターなどによる抗議行動が予定されており、さらに2月12日には労働組合と連携したストライキも予定されているという。インドでは2020年から2021年まで1年間にわたる反対運動によって、種子法の改正を撤回させている。
 
 日本でも新品種の開発を現在の地方自治体ごとに任せるのではなく中央集権化させる革新的新品種開発に関する新法が次期国会で上程されると報道されている。中央集権化と民間企業との共同によって、地域に合った種子よりも広域の地域で売れる民間企業の利益になる新品種開発が強められる可能性がある。種子法廃止によって、地方自治体の公的種子事業の法的基盤は弱められている。これに新法が加われば、日本での種子の状況はまたさらに多様性を失い、民間企業の利益に吸い取られる可能性がある。
 種子の独占とそれに反対する運動は今、世界で急速に広がっている。日本でも種子の独占は進みつつある。それに対して私たちがどうしていくべきかが問われている。

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