ラウンドアップ(グリホサート)のない世界へ

モンサント再び有罪判決。今度はフランス。
 米国で2つのケースでどちらもモンサントがその主力商品の農薬ラウンドアップ(主成分グリホサート)の有害性を認識しながら、告知せず、ガンになったとして高額の賠償を命じる判決が出ているが、4月11日、フランスの控訴裁判所はモンサントのラウンドアップの1世代前の農薬ラッソーによって神経に損傷を農民に与えたとしてモンサント(バイエル)に有罪の判定を下した。賠償額などは別の審議で決定される(1)。
 このラッソーという農薬、80年代には米国でもっとも売られていた農薬であったが、その危険性から米国環境保護局が発ガン性の可能性を認め、フランスを含むEUは2007年に禁止した。しかし、米国と日本では使われ続け、日本では日産化学が「日産ラッソー乳剤」として現在も販売している。
 
 フランスではラウンドアップに対しても今年の1月15日に個人向けの販売は禁止されており、さらにフランス政府は3年をめどに農家向けにも代替策を確保の上、禁止すると公言している。フランスでも米国と同様にラウンドアップによってガンになったとしてバイエルに対する訴訟が起こされている(2)。フランスの養蜂農家の協同組合も蜂蜜がラウンドアップに汚染されたとしてバイエルを訴えている(3)。
 フランスではぶどう園などでもグリホサートをはじめとする農薬は多く使われてきたが、こうした農薬への依存を大幅に減らす動きが活発化している。条件のいいところは100%使用を減らし、条件の厳しいところでも70%農薬使用を減らす計画だ。ほぼラウンドアップの命運はフランスでは決まったといえるだろう(4)。
 ベトナムなどアジア5カ国やマラウィはグリホサートの輸入の禁止を決定し、世界各地でラウンドアップ(グリホサート)が禁止される、あるいは規制が強化される動きとなっている。世界での規制の動き→(5)。

 モンサントのラウンドアップとその主成分であるグリホサートについては米国もEUも日本もモンサントを支持して安全であるとの評価をしている。しかし、EUでの審査ではその安全だと認定した根拠がモンサントによる文書のコピペでできていたことが曝露され、その評価書で使われたデータの公開もモンサントを買収したバイエルに義務付けられた。すでにEU主要国はラウンドアップの禁止に向けて動き出している。
 そして、米国でもついにグリホサートとガンの関連を認める報告書の草稿が公開されている(6)。草稿の時点なので、この後、バイエル(モンサント)の圧力で、どう書き換えられるかまだわからないが、これが確定したら、モンサントのラウンドアップは致命的な状況に追い込まれる。

 取り残されるのは日本だ。日本政府は2016年に評価書を公表して、グリホサートの安全性を確認したという。しかし、世界の動きはその評価書の判断を否定するものとなっている。日本政府はこの評価書を前提に2017年12月にグリホサートを最大400倍緩和した。まさに時代錯誤の決定をしてしまったといわざるをえない。

 フランスではすでに個人向けにラウンドアップなどグリホサートを使った農薬の販売は禁止され、米国でもコストコなどのスーパーでは販売を取りやめている。しかし、日本では商店街で山積みされている状況が続いている。

 世界はすでにラウンドアップ・グリホサートを使わない方法を模索、実行に移しつつある(7)。日本ではラウンドアップのバーゲンセール中。

 ラウンドアップ・グリホサートが人体だけではなく、土壌に与える深刻な問題も徐々に明らかになりつつある(8)。

(1) French court finds Monsanto guilty of poisoning farmer

French court finds Bayer’s Monsanto liable for farmer’s sickness

(2) French tomato grower with cancer takes on Monsanto over weedkiller

(3) French Beekeepers Sue Bayer/Monsanto on Glyphosate in Honey; U.S. Court Allows Glyphosate Contamination of Honey Labeled “100% Pure”

(4) French vineyards say ready to break glyphosate addiction

(5) Malawi Bans Import of Glyphosate Herbicides after US Cancer Verdict

Greenfield takes first step to become a ‘pesticide-free’ city with a ban on Roundup.

世界のどの国、自治体がグリホサートを禁止しているかをまとめたもの(今年3月までのアップデート)
Where is Glyphosate Banned?

(6) Links to cancer shown in US federal draft report on glyphosate

(7) 道路や公園などの除草の代替策(これならば作業する人も公園で遊ぶ子どもも安全)
Finding a commercially viable alternative to glyphosate in an urban setting

ラウンドアップに代わる10の方法
10 ALTERNATIVES TO ROUNDUP

(8) Concerns over glyphosate pass from human health to the soil

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