2015年には28カ国あった遺伝子組み換え作物栽培国は2017年には24に減少。もはや先進国で遺伝子組み換え栽培国の増加が見込めなくなった遺伝子組み換え企業はアフリカやアジアに矛先を定める。アフリカは長いこと、遺伝子組み換えの押しつけをはねのけてきた。遺伝子組み換え食用作物を大規模に栽培しているのは南アフリカくらいに過ぎない。ブルキナファソは遺伝子組み換えコットン栽培を開始したが、品質が大幅に悪化したため、巨大な損害を被り、モンサントを告訴。その後、栽培を禁止した。そもそも気候が米国とは異なるアフリカで米国で開発された遺伝子組み換え種子がうまくいくと考える方がどうかしている。
そこででてきたのがビル・ゲイツ財団。多国籍企業のロビーといっしょにG7の力を使って、アフリカに遺伝子組み換え作物の栽培を迫ってきた。モンサントはビル・ゲイツや国際機関から開発資金を得て、アフリカ用の乾燥した気候に適応した遺伝子組み換えトウモロコシを開発、南アフリカ、モザンビーク、ケニア、ウガンダ、タンザニア諸国に植えるように迫ってきた。しかし、モンサントがアフリカ向けに開発したGMトウモロコシは従来のトウモロコシよりも収穫が低いことがわかり、南アフリカ政府はこのモンサントの遺伝子組み換えトウモロコシの承認を拒否した(1)。
南アフリカがこのGMトウモロコシを承認してしまえば、これは他のアフリカ諸国にも拡がる懸念が高まるので、この拒否が持つ意味は大きい。
ケニアでも遺伝子組み換えコットンの栽培が始められるというニュースが7月にかけめぐったが(2)、その後、遺伝子組み換え食品の流通規制をケニア政府が緩和させないことをめぐり、ビル・ゲイツ財団側が支援の停止をちらつかせて圧力をかけていると報じられた(3)。2012年にケニアは遺伝子組み換え種子の輸入を止め、それはいまだ解除されていない。そして、環境団体はケニアの規制を守ることを訴えている(4)。
しかし、一方で、農民の大反対にも関わらず、ナイジェリアでは一地方で遺伝子組み換えササゲ豆種子の配布が始まってしまった。害虫抵抗性遺伝子組み換え、つまり虫を殺す毒素入りのものだがこれは直接、食用となるのではないだろうか? 殺虫剤の使用が減らせるというのだが、この豆そのものが殺虫成分を含む、つまり殺虫剤なのだ。ナイジェリアの人びとの健康が懸念される。
また、在来の豆の方が気候変動にも対応でき、遺伝子組み換えされたものは変化に耐えられない、収量も減る、という指摘があるにも関わらず、ロビーに押し切られたというところだろう。しかし、ナイジェリアの農民は黙っていないと思う。
遺伝子組み換え栽培禁止を求める動きはアフリカに留まらない。
コロンビアはコロンビア国内での遺伝子組み換え種子を禁止する法律が上程され、最初の委員会審議を賛成16対反対6の大差で可決。コロンビアでの遺伝子組み換え耕作禁止に向けて第一歩を踏み出した(5)。
そして、パキスタン議会の食料安全保障調査委員会は遺伝子組み換えトウモロコシの種子の輸入を禁止を決定。パキスタンはBtコットン(遺伝子組み換え木綿)は栽培が許可されているが、それに加えてトウモロコシの栽培を認めるかをめぐり、2018年から議論になっていたが、遺伝子組み換えトウモロコシは健康や環境への悪影響への懸念から禁止するという(6)。
一方、日本では140品種の遺伝子組み換え作物の栽培を農水省は承認している(実際に栽培されているのはバラのみ。しかしその栽培地などの情報は見つからない。研究圃場で品種開発して、海外栽培が中心か?)。さらにゲノム編集作物の受付を農水省は10月9日に始めた。規制がない以上、その耕作が誰が知ることとなく始まってしまう可能性があるにも関わらず、国会での審議はない(この問題、別途まとめます)。マスメディアは伝えようとしないが、世界で禁止をめぐる動きが強まる遺伝子組み換え、日本政府は着々と新品種の承認を進めている(7)。
(2) Kenya announces plan to grow genetically modified cotton
(3) Kenya at risk of losing funding for GMO crops development
(4) Maintain The GMO Ban To Safeguard Kenya’s Food System, Says NGO
(5) Prohibición de semillas transgénicas en Colombia
#ATENCIÓN Con 16 votos a favor y 6 en contra, fue aprobado el primer debate del Acto Legislativo que busca la prohibición expresa de los cultivos y semillas transgénicas mediante la modificación del artículo 81 de la Constitución.
— Grupo Semillas (@Semillas2) October 15, 2019
(6) Import Of GMO Seed Banned Due To Its Health And Environment: NA Body Told