在来種を守る世界の動きー韓国の自治体によるローカルフード条例

 在来種の種子とそれを使った食を大事にする政策においては韓国はとても進んでいることに驚く。韓国で活躍される 田中 博さんから教えていただいた(感謝)のだが、韓国の地方自治体では2つのタイプの条例が制定されているという。

 1つが、慶尚南道など17自治体が制定している在来種農産物の保全・育成条例。在来種の種子採りからその栽培、流通まで自治体の条例で守り、その地域の食の安全を守ろうとするもの。
 もう1つのタイプの条例がローカルフードの育成と支援に関する条例で、さらに多くの自治体が制定しているようだ。

 その1つ、統営市ローカルフードの育成及び支援に関する条例をGoogle翻訳で読んでみたのだけど、これがすごい。

 単に在来種の作物の生産・流通だけでなく、食に関する生産者・消費者間のコミュニケーション活性化に関する計画を市は立てなければならないことになっていて、在来種子の保存はもちろん、学校給食での活用、ローカルフード認証、ローカルフードのための市場活性化などまで視野に入っている。

 それだけではない。ローカルフード委員会を作って、市民が参加して、その政策を参加型で作るという。米国やカナダでのフードポリシー・カウンシル(食料政策協議会)のような活動になっているのだろうか?

 結局、条例作ったとしても、作った人はいつか退職してしまうし、作るために尽力した市民もいなくなってしまうと条例はだんだんと形骸化していってしまう。たとえば学校給食を考えてみよう。子どもが入学する時には子どもを抱える親たちにとっては、もう本当に切実な問題になる。でも子どもが卒業してしまえばなかなかその問題にコミットし続けることは難しいだろう。でもそうした委員会があれば常に新しい人が入ってきてその切実な思いをぶつけることができれば、食の政策はどんどん新たにしていくことができる。

 今、日本全国で種子法廃止に対応して種子条例を作る動きが生まれて、ほぼ日本の半分近い都道府県が種子条例を作ることになる。でも、問題は種子法に留まらない。「ゲノム編集」が無規制で流通していいことになってしまって、その耕作も始まってしまうかもしれない。さらには2023年4月には遺伝子組み換え食品表示も実質的になくなってしまう。種苗法も変えられようとしている中、韓国のローカルフード条例はまさにこうした危機に対する処方箋に見える。

 このような素晴らしい動きを紹介していただいた田中さんに感謝すると共に、日本でもぜひローカルフード条例を作る運動を考えてみたいと思う。まずは韓国の経験から学ぶのは効果的な方法ではないだろうか?(あぁ訪問する時間があれば…)

통영시 로컬푸드 육성 및 지원에 관한 조례 統営市ローカルフードの育成及び支援に関する条例(韓国語)
Google翻訳による自動翻訳を元に編集 (PDF270KB)

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