在来種を守る世界の動き(米国)

種苗法改訂案がもうすぐ上程されようとしている。農水省はこの種苗法改訂しても、農家には在来種があるから問題ない、バランスは取れているという。しかし、日本には在来種を守る法もない。民間企業のためには熱心に動くが、一方で個々の在来種を採種している農家の支援はなおざりである。農水省は在来種を守ることの重要性は認識しているといい、予算も出しているというがそれを根拠付ける法律もない。でも世界ではそうした法律や条令を作る動きがいろいろ出てきた。

 まず、その1つ。米国におけるネイティブ・アメリカン種子保護法案(H.R. 3916)。

 これは先住民族が育ててきた在来種のトウモロコシに代表される種子やその収穫物を使った料理を将来の世代にも渡せるように守るためにまず基礎調査をして、政策立案へとつなげるものと言えるだろう。その調査範囲はそうした在来種の種子から耕作状況、そして流通までに及ぶもの。

 日本の雑穀や大豆も、その伝統的な品種は消えつつある。伝統的な品種に代わって多国籍企業のグローバルな品種などに代替されていけば、地域の食文化も消えるだろう。地域の食文化が消えれば地域は骨抜きになる。多くの在来種は個々の農家の大変な努力によって維持されているけれども、その農家が高齢化し、その種子を引き継ぐものがいなければ農家と共に消えてしまう。
 種苗法を改訂して、種苗の知的所有権を強化するのであれば、一方で本当にバランスを取るつもりであるのであれば、こうした法案こそ、日本政府は早急に取り組むべきではないか?
 未来の世代にどう伝統的な食、食文化を残せるのか、そのためには、どう地域の在来種を守るのか、日本でも取り組むことが不可欠だ。

米国の法案の文案は以下で読めるが、とてもシンプルで実行可能性が高いものばかり。日本でも議員立法などでできないだろうか?
H.R. 3916: Native American Seeds Protection Act of 2019
https://www.govtrack.us/congress/bills/116/hr3916/text/ih

この法案について書いた投稿
https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/3585568301469974

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