有機農業の問題としての種苗法改正問題

 種苗法改正法案の今国会での審議はほぼなくなった。先月末までこれは与野党で問題にする案件じゃないから審議なしの即決で決める、と言っていたものがここまで変わったのは多くの人たちが国会議員に電話やFAX、メールや署名をしてくれたおかげだと思う。お疲れさまでした! しかし、残念ながら廃案になったわけではなく、次期国会で今度はまったなしで審議されるのでさらに厳しい局面になるだろう。それを前に、現在の法案や政府の施策にどんな問題があるのかまだまだ探る必要がある。

 ここでは有機農業の問題として考えてみたい。有機農業は今、世界で最も成長している産業といえる。この20年足らずの間に世界の有機市場は5倍近く拡大しており、その勢いは止まることを知らない。気候変動問題や生態系の危機が迫られる中、有機農業が持つ役割の大きさにも注目が国際的に集まっている。 “有機農業の問題としての種苗法改正問題” の続きを読む

種苗法改正を考える:新しい世界の動き

 どうやら種苗法改定案は今国会見送りになる可能性が高くなってきたようだ。しかし、廃案になったわけではないので油断はできない。
 もっとも、農水省の職員になって、きまじめに職務を実行している人たちからすると、今回の種苗法改正は長年かけてやってきたことの集大成だと思っているかもしれない。

 1998年、日本は種苗法を改訂して以来、自家増殖を原則禁止にするという方向性は農水省の研究会でもたびたび打ち出されており、現場に混乱を来さないようにたびたびアンケートを実施して、問題少なそうなものから禁止種を増やしてきた。今回はその総仕上げ、ということになる。

 だから、やるべきことを粛々とやってきた、それなのになぜ、騒ぐの? ということになるだろう。でもそれは自分の机の周りしか見ていないからで、世界の動きを見れば、それは考え直さなければならないことがわかるだろう。 “種苗法改正を考える:新しい世界の動き” の続きを読む