「ゲノム編集」無規制の世界化が目指すゴールとは?

 「ゲノム編集」食品を無規制に流通させていい、という方針は米国が作り出し、日本が追従したものだが、肝心の米国がずっこけてしまったので、日本の突出振りが目立つ結果となってしまっていたが、ここに来て、世界で急に「ゲノム編集」食品の規制突破の動きが本格化している。安全性が確かめられたからとかではなく、突出している国の好きにさせてはならないとばかりに遅れちゃまずい、という馬鹿な競争がその原因だ。 “「ゲノム編集」無規制の世界化が目指すゴールとは?” の続きを読む

キーストーン遺伝子の発見:失えば生物絶滅も(「ゲノム編集」規制が不可欠なもう1つの理由)

 キーストーンという言葉がある。文脈によって印象が変わってしまうけど、ここでは生態系を支える要石という意味で考えてほしい。たとえばよく知られるのは海におけるサンゴ。サンゴは海洋生物の4分の1を直接支え、間接的に支えるものを入れれば4割を支えるという。そのサンゴは海の中の0.1%にしか存在しない。サンゴが失われれば多くの海の生物が死滅する。サンゴは海の生物を支えるキーストーンだ。
 遺伝子の中でもキーストーンと呼ぶべきものがあることが研究によって判明した(1)。その遺伝子がなくなると、周辺の生物の絶滅という事態を生んでしまうというのだ。つまり、その遺伝子は周辺の生態にとってキーストーンになっていることになる。 “キーストーン遺伝子の発見:失えば生物絶滅も(「ゲノム編集」規制が不可欠なもう1つの理由)” の続きを読む

英国政府が「ゲノム編集」生物緩和法案提出も市場は冷ややか

 英国政府が5月25日に「ゲノム編集」生物を規制せずに流通可能とする法案を出し、来年以降、英国のスーパーマーケットで変色しないマッシュルームやビタミンDを強化したトマトなどの「ゲノム編集」食品が売られるようになると一斉にマスコミが報道しだしている(1)。しかし、この決定が英国市民の圧倒的多数の声を無視して出されていること、そして、何より英国のスーパーがまったく積極的でないことはしっかりと見ておくべきだろう。結局、これでは「ゲノム編集」産業は簡単には進まないことが明らかだ。 “英国政府が「ゲノム編集」生物緩和法案提出も市場は冷ややか” の続きを読む

世界を危うくする「ゲノム編集」生物の無規制政策

 憂慮すべき動きが連続する。EUが来年に向けて「ゲノム編集」生物の規制なし放出を認める方向に動き出したが、カナダ政府は先週、米国同様、2ヶ月のパブリックコメントの後に、多くの市民の反対を無視して「ゲノム編集」生物の規制なし放出を認めた(1)。そして、EUから離脱した英国は新法案で「ゲノム編集」などのバイオテクノロジー技術の推進を定めようとしている(2)。
 
 なぜ憂慮すべきことかというと、この動きがまったく科学的な精密さを欠いているからだ。遺伝の機構はようやく解明の端緒についたばかりのところであり、人類は遺伝子の機能も十分にはつかめていない。その段階で遺伝子破壊を進めてしまえばどんな影響が生態系に現れるのか、まったく不明の状況にある。研究者も警鐘を鳴らしている(3)。 “世界を危うくする「ゲノム編集」生物の無規制政策” の続きを読む

ローカルフード法・条例に向けた動き、5月9日開始!

 この間、世界で大きな食や農のあり方に変化が生まれてきていることをみてきました。戦後、世界に拡大した化学肥料や農薬と種子の3点セットを大きな企業が独占する工業型農業が大きな問題を引き起こし、土壌を破壊し、気候変動を引き起こし、生物多様性や人びとの健康も破壊してきたことに人びとが気がつき始めたことが大きいと思います。そして、生態系を守る農業、有機農業・アグロエコロジーに転換させることで、これらの危機から回復が可能になりますが、めざましい違いが感じられることが、その転換の拡大の後押しとなっています。世界各地から希望に満ちた動きが広がっています。
 
 問題は連鎖します。化学肥料を使うことで土壌の中の微生物との共生がダメージを受け、農薬が不可欠になります。そうした中で作られた種子はやはり化学肥料や農薬の使用なしにはなかなかうまく育ちません。この連鎖を断ち切るために世界が求めだしたのが何かというと、そうしたものを可能な限り、使わずに作られた地域に合った多様なタネです。
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相次ぐ「ゲノム編集」解禁の動きと対抗策

 インドは「ゲノム編集」食品(ただし植物のみ)の緩和を決めた。しかも、外来からの遺伝子も塩基も挿入しないSDN-1だけでなく、数塩基を挿入するSDN-2についても認めるという。この決定は科学的な根拠に基づかず、無責任なものだという非難があがっている(1)。
 インドだけではない。アフリカでも「ゲノム編集」作物の緩和圧力がかけられている(2)。ヨーロッパで「ゲノム編集」卵が、米国で「ゲノム編集」牛が出てこようとしている。そして中国は世界のトップの「ゲノム編集」農業特許を保有している。「ゲノム編集」生物には従来の遺伝子組み換え生物でも生まれないリスクが起こりうる。その実証は一切せずにバイバスして議会や市民・農民との協議もなく、いきなり栽培開始、市場流通させるというのはあらゆる意味で反科学であり、反民主主義であり、許されていいものではない。 “相次ぐ「ゲノム編集」解禁の動きと対抗策” の続きを読む

ドイツのバーデン・ビュルテンベルク州政府は「ゲノム編集」作物栽培禁止

 朗報 ドイツのバーデン・ビュルテンベルク州政府はGMOフリー(遺伝子組み換え作物の栽培を許さない)政策の継続を確認し、その対象は従来の遺伝子組み換え作物に留まらず、「ゲノム編集」を含むものとした。「ゲノム編集」作物には従来の遺伝子組み換え作物と同じルールが適用される(1)。 “ドイツのバーデン・ビュルテンベルク州政府は「ゲノム編集」作物栽培禁止” の続きを読む