1月9日締め切りのフードテック推進ビジョンに関するパブリックコメント、重要なので別の角度から見てみたい。
戦後日本の原則でもあった戦争をしないという国是、そして原発は新設しないという政策が国会での議論もなく、勝手に閣議決定されたのと同様に、いやそれ以上にまったく国会では何の検討もないまま、推進されようとしているのがフードテック。
何が問題か、考えてほしい。
「細胞培養肉はすごい、動物から幹細胞をちょっと持ってくるだけで殺さずに肉が増やせる。しかも気候変動ガスになる牛のゲップも出ないから気候危機対策にもなる」などといいことばかり宣伝文句を並べるけれども、細胞培養が人間社会を根底から覆すくらい、大きな影響を与えかねないことについては語ろうとしない。 “フードテック推進ビジョンを批判する:越権行為” の続きを読む
フードテック推進ビジョンを批判する:「ゲノム編集」・細胞培養食に未来はない
完全に見逃していた。「ゲノム編集」や細胞培養肉などのフードテックを推進する政策に関するパブリックコメント。締切がなんと1月9日(今度の月曜日)。一言で冗談じゃない、という内容なのだけど、期間の限られた時間の中でなんとか一人でも多くの人がコメントを寄せていただきたい。問題点について書き出すと切りが無いのだが、まずは基本的な考え方についてまとめてみたい。 “フードテック推進ビジョンを批判する:「ゲノム編集」・細胞培養食に未来はない” の続きを読む
やはり遺伝子操作食品に未来はない その1:遺伝子組み換えサーモン
遺伝子組み換えサーモン(鮭)をめぐり、再び大激論が米国で交わされている。このGMサーモンは2015年に米国食品医薬品局(FDA)が承認したが、その安全性や養殖方法などに大きな問題が指摘され、訴訟も起こされ、2020年にFDAの再評価を命じる判決が出て、その再評価が11月に提出され、パブリックコメントを受けて、公聴会が12月15日にオンラインで開かれた(1)。
この遺伝子組み換えサーモンは2種類の他の魚の遺伝子を組み込むことで、本来、夏の間しか成長しないサーモンを年中育つようにして、半分の期間で倍以上に育つように遺伝子操作されている。しかし、サーモンの内臓がその成長に耐えられず、胃が破裂するなど異常を来した個体が多く、死ぬ確率も高いという。その安全性やその養殖の環境に与える影響についても疑問符が付けられている。 “やはり遺伝子操作食品に未来はない その1:遺伝子組み換えサーモン” の続きを読む
あらたな「ゲノム編集」魚の系統が受理
12月5日、厚労省や農水省はリージョナルフィッシュ株式会社が開発した2系統のゲノム編集マダイと1系統のゲノム編集トラフグの届け出の受理を発表した。これは昨年すでに届け出が受理されたものといっしょに届け出されていたものの、全ゲノム配列解析の追加資料の提供が求められていた。今年の4月にその情報が提供され、その届け出が5日に受理された。 “あらたな「ゲノム編集」魚の系統が受理” の続きを読む
「ゲノム編集」食品を押し付ける授業が高校や大学で
政府がやるべきことをやっているのであれば安心できるのだけど、やるべきことはやらずに、やってはならないことばかりをやっていたら不安は募るばかりになる。ため息出るけど、公金使って一体何をやっているんだ、金返せ、と言いたくなるようなことばかり。高校生向けに「ゲノム編集」を受け入れることを前提の「教育」が行われていることを知った。
農林省の農林水産技術会議は昨年、「ゲノム編集」食品の理解促進のためのアウトリーチ活動と称するものを外部委託で行っている(1)。外部委託といっても委託されたのは元農水官僚。なんか身内で税金使ってやっている感があり、その報告書を読んで、無性に腹が立った。
要するに「ゲノム編集」食品を肯定する生徒を増やすためだけの事業で、それを高校や大学対象を中心に行っているというのだ。だいたい、そのカリキュラムは想像つく。「ゲノム編集と自然の変異は区別がつかない」とか、「ゲノム編集を使うとより短期間で効率的に品種改良ができる」とか。要するに「ゲノム編集」は品種改良のためのバラ色の技術だという授業を行い、それを「理解した」ものがどれだけ出たかをチェックする内容だ。 “「ゲノム編集」食品を押し付ける授業が高校や大学で” の続きを読む
米国FDA細胞培養肉へのゴーサインは何をもたらすか?
こりゃないわ。米国食品医薬品局(FDA)はアップサイド・フーズ(UPSIDE Foods)が鶏の細胞を培養して作った細胞培養肉にゴーサイン(1)。この後、米国農務省(USDA)が同様に認めれば米国内の細胞培養肉の流通が始まってしまう。
「気候変動問題に朗報」とか、「代替肉に需要が高まる」とか報道されていくことだろう。だけど、どうやって作られているのかFDAの提供する情報に目を通したら、唖然(2)。 “米国FDA細胞培養肉へのゴーサインは何をもたらすか?” の続きを読む
破綻した米国の「ゲノム編集」企業、残るは日本だけ
ついに米国で「ゲノム編集」大豆を開発したCalyxt社、資産を身売り、合併交渉か?(1)
米国での「ゲノム編集」大豆油事業は無残な失敗に。世界で残っているのは日本の「ゲノム編集」トマト、マダイ、トラフグだけ。しかも売れている形跡はなく、結局、膨大な国の予算が無駄という結果になるだろう。 “破綻した米国の「ゲノム編集」企業、残るは日本だけ” の続きを読む
CRISPR-Cas9はやはり危険。それなのに地方自治体は税金投入!
安全だ、安全だと安全神話が振りまかれた挙げ句、安全ではないことが次々とわかる。やはりCRISPR-Cas9は危険。だけどその情報は報道されず、地方自治体が推進に税金投入!
「ゲノム編集」技術の1つであるCRISPR-Cas9による危険を研究者たちは指摘している。そんな中、その危険がない画期的方法として塩基編集(Base Editing)を注目する向きがある(1)。CRISPR-Cas9はDNAの二重鎖を切断して、特定の遺伝子を破壊する。問題はこの二重鎖を切ってしまうこと。その破壊と回復のプロセスの中で、大量の遺伝子が欠損してしまったり、遺伝子を包み込む染色体が破砕されてしまうことが起きていると報告されている。二重鎖を切るCRISPR-Casを使う限り、この危険は避けることができない。
それに対して塩基編集は二重鎖を切断せずに、塩基を直接書き換えることができる。だから塩基編集はCRISPR-Casより安全だと言っているのだ。それでは塩基編集を使えば「ゲノム編集」は安全か、というと残念ながらそうはなりそうにない(2)。長くなるので、塩基編集についてはまた別の機会にして、現在、次から次へと農畜産物に応用されているCRISPR-Cas9について考えてみたい。 “CRISPR-Cas9はやはり危険。それなのに地方自治体は税金投入!” の続きを読む