安全だ、安全だと安全神話が振りまかれた挙げ句、安全ではないことが次々とわかる。やはりCRISPR-Cas9は危険。だけどその情報は報道されず、地方自治体が推進に税金投入!
「ゲノム編集」技術の1つであるCRISPR-Cas9による危険を研究者たちは指摘している。そんな中、その危険がない画期的方法として塩基編集(Base Editing)を注目する向きがある(1)。CRISPR-Cas9はDNAの二重鎖を切断して、特定の遺伝子を破壊する。問題はこの二重鎖を切ってしまうこと。その破壊と回復のプロセスの中で、大量の遺伝子が欠損してしまったり、遺伝子を包み込む染色体が破砕されてしまうことが起きていると報告されている。二重鎖を切るCRISPR-Casを使う限り、この危険は避けることができない。
それに対して塩基編集は二重鎖を切断せずに、塩基を直接書き換えることができる。だから塩基編集はCRISPR-Casより安全だと言っているのだ。それでは塩基編集を使えば「ゲノム編集」は安全か、というと残念ながらそうはなりそうにない(2)。長くなるので、塩基編集についてはまた別の機会にして、現在、次から次へと農畜産物に応用されているCRISPR-Cas9について考えてみたい。
この塩基編集に注目が集まることで明らかになるのは、かつて正確で安全だと言っていたCRISPR-Cas9は決して安全ではなく、DNA二重鎖切断による危険が避けられないことだ。だからこそ、人体に直接CRISPR-Cas9を適用することを計画していた「ゲノム編集」セラピー企業の株価は暴落した。それなのに農作物や畜産物にはCRISPR-Cas9を使って遺伝子操作したものが作られ続けている。なぜか? 農作物や畜産物は開発者を訴えられないからだ。
もっとも、彼らが訴えることができないとしても、そこに遺伝子大量損傷や染色体破砕によって、想定外のタンパク質が作られてしまったり、がんなど深刻な病気が生まれている可能性がある。こんな構造的な問題を持つ技術では立ちゆかなくなるのは時間の問題なのではないか?
それなのに、今、CRISPR-Cas9を使った「ゲノム編集」品種の普及に向けて、税金が使われている。国の戦略的イノベーション創造プログラムはもちろん、地方自治体までが乗り出している。
兵庫県は株式会社ゼブラグリーンズに「ポストコロナ・チャレンジ支援事業」としてCRSIPR-Cas9による「ゲノム編集」トマトを作る事業に200万円の補助金を出す(3)。福島県の南相馬市への「ゲノム編集」生物工場(4)と違って、金額は小さいが税金であることには変わりはない。こうした類の自治体の動きは他にもあるのではないだろうか?
ダメな技術であることがわかっていても、金儲けのためにはそのダメさを押し隠して金儲けに走る。そんなことが続いて、世の中では苦しみがつきない。このCRISPR-Cas9もやはりその1つか(研究室の中に留めておけば有用な技術として歴史に残るかもしれないのに)。
「ゲノム編集」トマト苗の小学校や福祉施設の配布のみならず、地方自治体が遺伝子操作農林畜産物にしっかりとした姿勢を取るようにへの働きかけは重要にならざるをえない。
(1) 神戸大学:最高精度かつ最小サイズの塩基編集技術の実現
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2022_08_08_01.html
日本経済新聞:遺伝性疾患、ゲノム編集で根治に道 「投薬1回」も視野
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC112SC0R10C22A9000000
(2) 残念ながらBase Editing(塩基編集)もPrime Editingもさほど注目されるほど安全ではないという指摘が数年前から行われている。
GMWatch: CRISPR spin-off causes unintended mutations in DNA
https://www.gmwatch.org/en/106-news/latest-news/18811-crispr-spin-off-causes-unintended-mutations-in-dna
Will prime editing solve the problems of gene editing?
https://www.gmwatch.org/en/106-news/latest-news/19201-will-prime-editing-solve-the-problems-of-gene-editing
(3) ゲノム編集技術を活用”トマトの開発と普及”に着手 ゼブラグリーンズ
https://www.jacom.or.jp/saibai/news/2022/09/220920-61651.php
兵庫県「ポストコロナ・チャレンジ支援事業」採択のお知らせ ~ゲノム編集技術を活用したトマトの開発と普及~
https://www.value-press.com/pressrelease/304285
(4) 印鑰 智哉:福島県南相馬市での「ゲノム編集」生物工場建設に関する投稿(2021年11月21日)
https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/pfbid02bC9nb9xVauXAusF69WFR4MRnVkrmTrxo7bSfuz5aky39iu7JFbvmkZwGuBSyf7al