米国、バイオテクノロジー推進大統領令、軍事を含めた国家戦略

 生態系を守り、活用する社会を作るアグロエコロジーの未来か、それとも究極の遺伝子組み換え技術で生態系を無視するバイオエンジニアリングによる未来か、相反する2つの未来の激突となりそうだ。
 米国バイデン政権はバイオテクノロジーとバイオマニュファクチャリング・イニシアティブ(生物工学と生物製造イニシアティブ、NBBI)を14日に発表(1)。これは従来の遺伝子組み換え技術、「ゲノム編集」技術、合成生物学、細胞農業(培養肉)などを一括して規制をなくし、国家として推進しようとするものになっていくのではないだろうか?
 この戦略が与える影響は農林水産業だけに限らない。医療はもちろん、軍事にも関わってきそうだ。このNBBIで支出される予算は農務省が5億ドルなのに対して、国防省は12億ドルに上る(2)。軍事関連の方が大きい。 “米国、バイオテクノロジー推進大統領令、軍事を含めた国家戦略” の続きを読む

失敗が宿命付けられたCRISPR−CAS9による「ゲノム編集」生物

 新しい技術は必ず世界をいい方向に変えるという考えを科学技術信仰と呼ぶとすると、いつの間にか、無意識のうちに自分も含めた多くの人間がそれに染まっているのかもしれない。遺伝子組み換え作物栽培が急速に広まったことはその傾向を補強しているだろう。でも実際には遺伝子組み換え作物は災難と呼ぶより他ない品種しか作れなかった。「ゲノム編集」もそれに輪をかけたものになる可能性が高い。そして細胞培養肉も。
 この技術はちょうど10年前に論文が発表された。「正確に狙った遺伝子だけを破壊できる」技術だと宣伝されて、特許を巡って巨大なお金が飛び交うホットな技術となった。そして2020年にはノーベル化学賞まで受賞した。
 
 しかし、その大騒ぎに反して、根本的な欠陥が指摘され、CRISPR-Cas9を使った「ゲノム編集」食品の流通が行われているのは日本のわずかな3品種だけだ(流通といっても一般のスーパーなどでの流通ではなく、オンライン販売やふるさと納税の返礼品などに限られる)。
 
 その欠陥とは何か? “失敗が宿命付けられたCRISPR−CAS9による「ゲノム編集」生物” の続きを読む

EUは「ゲノム編集」生物だけでなく遺伝子組み換え規制をすべて緩和する?

 CRISPR-Cas9による「ゲノム編集」には遺伝子大量破壊などの危険があることが明らかになってきているにも関わらず(1)、「ゲノム編集」生物への規制が来年7月にEUで突破され、「ゲノム編集」食品が流通するだけでなく、従来の遺伝子組み換え生物の規制も大幅に緩和される危惧が高まっている(2)。 “EUは「ゲノム編集」生物だけでなく遺伝子組み換え規制をすべて緩和する?” の続きを読む

「ゲノム編集」無規制の世界化が目指すゴールとは?

 「ゲノム編集」食品を無規制に流通させていい、という方針は米国が作り出し、日本が追従したものだが、肝心の米国がずっこけてしまったので、日本の突出振りが目立つ結果となってしまっていたが、ここに来て、世界で急に「ゲノム編集」食品の規制突破の動きが本格化している。安全性が確かめられたからとかではなく、突出している国の好きにさせてはならないとばかりに遅れちゃまずい、という馬鹿な競争がその原因だ。 “「ゲノム編集」無規制の世界化が目指すゴールとは?” の続きを読む

「ゲノム編集」表示ない流通は遺伝子組み換え企業天国実現のため

 政府の規制が急速になくされている、それがあたかもよいことであるかのように。しかし、それでどんな世界になってしまうか、ちゃんと想像して、その恐ろしさを感じて、手を打たないと大変なことになってしまう。
 日本では「ゲノム編集」食品は表示もせずに審査もなしに流通させることが認められてしまっている。これは何をもたらすのか? 遺伝子組み換え作物の栽培国であるカナダで大問題になっている(1)。 “「ゲノム編集」表示ない流通は遺伝子組み換え企業天国実現のため” の続きを読む

食品表示:世界のNon-GMOラベル

 食品表示シリーズ、No.4。すでに登場したものもあるのだけど、Non-GMOラベルで出ていないものがあったので、まとめてみた。
 米国とヨーロッパでよく使われているNon-GMOラベル。米国、英国、ドイツ、オーストリア、ルクセンブルク、スロベニア、フランスのもの。これ以外にもスーパーなどが独自で表示したものなども含めるとすごい数になるだろう。

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