フードテック推進ビジョンに圧倒的な反対の声

 年末年始にかけて行われたフードテック推進ビジョンに関するパブリックコメントの結果が公表された。フードテックというのは曖昧な言葉だが、その中身は細胞培養肉などの細胞性食品、「ゲノム編集」技術、昆虫食、代替肉、さらには食品管理技術などが含まれる。
 しかし、そもそも「ゲノム編集」技術を使った食品は国会での議論もなく、省庁内の検討会だけでゴーサインになってしまった。そして、細胞性食品も、そこにどんな技術が使われ、どんな問題が起きるか、十分な検討はなされていない。
 にも関わらず、農水省が推進を決めたことには強い違和感を感じる。そして、実際、寄せられたコメントのほとんどは推進反対で埋め尽くされた。
 ところが農水省はこのパブコメをこの言葉で締めくくる。
「御意見をお寄せいただきました皆様方に深く御礼申し上げるとともに、今後ともフードテックの推進に御協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます」
 
 推進するな、という圧倒的な声に対して、まったく馬耳東風そのもの。ほとんどパブリックコメントをやる意義を理解していないとしかいいようがない。
 
 最大の問題はマスコミにある。政府がこのような対応をしている問題を報道しない。大問題の政府の施策がパブリックコメントで出され、それに対して市民からは完全に反対の声が出ているのに、政府は公然とそのコメントとは無関係に推進する姿勢を変えようとしない。これは形を変えた独裁以外の何者でもないのに。これを報道しなくてマスコミの存在価値はあるだろうか?
 さらに大きな問題をマスコミは作り出している。フードテックは生態系をさらに撹乱し、感染症や食の危険を拡大することが想定できるのに、あたかもフードテックで気候変動対策をするとか、安全な食を確保できる技術であるかのように検証もせずに報道し、真逆の方向に世論を操作している。
 
 2月22日、岸田首相が衆議院予算委員会でフードテックを推進する発言をして、国会での審議はこれで終わりだろうか? フードテックそのものの是非を審議することはあるのだろうか? 「ゲノム編集」では野党議員から質問があった以外、国会での審議テーマにはなっていない。私たちの声は政府によってかき消されようとしている。もちろん、消されるわけにはいかないので、対抗策を考えていかなければならない。

「フードテック推進ビジョン(案)」及び「ロードマップ(案)」についての意見・情報の募集」の結果について
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=550003602&Mode=1

 寄せられたコメントは一見の価値がある。米国など他の国のパブコメでは寄せられたコメントはすべて見られるが、日本では政府側が編集してしまうため、正確にどれだけ反対があったか把握できない。海外では反対何パーセントとか示して、メディアも報道するのに、日本はすべて政府の手にかけられてしまう。都合の悪いコメントはすべて削除され、闇に葬られる。日本が民主国家でないことの証しにもなってしまう。
 でも、今回はさすがに反対ばかりだから、粉飾しようもなかったのだろう。反対の言葉がずらりと並んでいる。これを報道しなかったら本当にマスコミの存在価値は疑われて当然だと思う。

パブリックコメントに関する投稿
1月7日

フードテック推進ビジョンを批判する:「ゲノム編集」・細胞培養食に未来はない


1月8日

フードテック推進ビジョンを批判する:越権行為


1月9日

フードテック推進ビジョンの行き着き先:工業型食のディストピアにノーを!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA