種苗関連2法案の慎重審議を求める緊急要請

 日本のタネの政策を根本的に変える種苗関連2法案が今後、国会で審議されようとしています。
 これまでの日本のタネは曲がりなりにも地方に合った品種が地方自治体を軸にボトムアップで作られてきました。それが今後、国家主導で民間企業(海外含む)を中心にトップダウンで作っていくものに変えられようとしています。より広域で儲かるタネ、グローバルな品種ばかりになってしまえば、地域の農家は広大な地域の農家と競合させられることになり、離農を余儀なくされ、国や地方自治体の公的な資産が民間企業によって私物化されていくでしょう。日本の地方自治や食料保証がより危うくなります。
 
 圧倒的多数を占める与党議員の地盤である地域の農業や地域の種苗企業にも、この2法案はマイナスの影響を与えます。すべての農水委員会の議員にそのことを伝えることが、この2法案による悪影響を止める上でまず不可欠なことだと思います。
 
 そこでひな形の要請文案を作ってみました。みなさんの選挙区から農水委員会の委員になっている議員にFAXなどで送ることで、効果的に声を伝えることができると思います。国会の事務所のFAX番号などを末尾に添えました。
 ご自身の選挙区の議員にぜひFAXを送ってみてください。


地域の農業基盤を守るために
種苗関連2法案の慎重審議を求める緊急要請

現在、国会に提出されております「重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案(新育苗法案)」および「種苗法の一部を改正する法律案」について、地域の農業と食料安全保障の観点から、強い危惧を抱くものです。

気候変動対応の必要性は理解できるものの、本法案には、我が国が長年培ってきた「地方の公的種苗事業」という公共財が、海外企業に利用され、ひいては地方農業の衰退を招きかねない重大な懸念が存在します。特に以下の点について、徹底した審議を求めます。

1. 公的資産とデータの流出懸念(新育苗法案 第4条・第9条等)
本法案では、地方自治体に連携の主導的役割を求め(第4条)、農研機構等の公的施設の民間への供用(第9条)を定めています。これらの条項によって、各地域が県民の血税と長年の努力で守り抜いてきた「優良な遺伝資源」や「栽培データ」という地域の宝が、多国籍企業を含む巨大資本の利益のために事実上無償で吸い上げられる道を開く可能性があります。国益と地方の財産が外資に流出する事態は、断じて避けなければなりません。

2. 地方自治の形骸化と外資介入の危惧(新育苗法案 第12条第7項)
第12条第7項では、海外企業を含む民間事業者が、各都道府県に対して「都道府県基本計画」の作成や変更を提案できる仕組みが導入されています。これにより、地域の気候風土に根ざした独自の公的種苗計画が、資本力のある大企業の「グローバル輸出向け品種」の生産・増殖計画へと塗り替えられてしまう危険性があります。地域の農業政策が外部資本に実質的に乗っ取られることは、地方自治の根幹を揺るがす問題です。

3. 知財の異常な長期独占による地域種苗企業の淘汰(種苗法改正案・新育苗法案)
新育苗法案の「重要品種育成事業」に、地域の種苗会社が参入するには大きな壁があります。同時に審議される種苗法改正案において、育成者権の存続期間が世界で類を見ない35年(樹木等は40年)へと延長されようとしています。この過度な知財の独占は、既存品種を基盤とした地域の種苗会社による新たな品種開発の道を長期にわたり閉ざすものです。長年地域の風土に合ったタネを提供してきた地元種苗企業が淘汰されれば、地域の農業・経済基盤は回復不能な打撃を受けてしまいかねません。

4. グローバル競争の強制による地方農業の崩壊
これまでの日本の種苗は地方自治体が地域に合った品種を開発することが基本でした。しかし、本法案により、地域独自の品種から「広域・輸出向けのグローバル品種」へとシフトが進めば、日本の地方農家は、圧倒的な規模と資本を持つ海外の巨大農場と直接競争させられることになります。地方の小規模・家族農業は姿を消し、村は消え、地域の食文化、伝統的な農村風景は失われてしまいます。

本法案が地方農業や国益に与える影響について、参考人招致等を含めた徹底的かつ慎重な審議を行っていただきますよう、強く要請いたします。

お名前(個人名あるいは団体名)
住所(都道府県)


上記の要請文案はご自由にお使いください。以下からダウンロードができます。ご自身の表現に変えていただいて、よりしっくりする表現にして、ご自身の選挙区の議員にぜひFAXなどで送ってください。
https://m.inyaku.net/seedsbills

法案は以下で見ることができます。
重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g22109046.htm
種苗法の一部を改正する法律案 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g22109047.htm

衆議院農林水産委員会の議員の連絡先

議員名    会派 TEL       FAX      選挙区
藤井 比早之 自民 03-3508-7185 03-3508-3615 兵庫4区
東  国幹  自民 03-3508-7634 03-3508-3264 北海道6区
笹川 博義  自民 03-3508-7338 03-3508-3338 群馬3区
野中 厚   自民 03-3508-7041 03-3508-3841 北関東ブロック
野間 健   中道 03-3508-7027 03-3508-3827 鹿児島3区
原山 大亮  維新 03-3508-7323 03-3508-3323 近畿ブロック
平沼 正二郎 自民 03-3508-7251 03-3508-3521 中国ブロック
村岡 敏英  国民 03-3508-7629 03-3508-3259 秋田3区
和田 義明  自民 03-3508-7117 03-3508-3417 北海道5区
石坂 太   自民 03-3508-7408 03-3508-3888 栃木4区
伊東 良孝  自民 03-3581-5111 03-3508-7177 北海道ブロック
江藤 拓   自民 03-3508-7468 03-3591-3063 九州ブロック
柏倉 祐司  維新 03-3508-7422 03-3508-3902 栃木1区
門  寛子  自民 03-3508-7518 03-3508-3948 東京8区
加藤 大博  自民 03-3508-7125 03-3508-3425 岐阜4区
木下 敏之  参政 03-3508-7268         福岡2区
今  洋佑  自民 03-3508-7140 03-3508-3440 北陸信越
西條 昌良  自民 03-3508-7197 03-3508-3627 北関東ブロック
庄子 賢一  中道 03-3508-7474 03-3508-3354 東北ブロック
鈴木 拓海  自民 03-3508-7028 03-3508-3828 北関東ブロック
関  健一郎 維新 03-3508-7527 03-3508-3973 東海ブロック
俵田 祐児  自民 03-3508-7180 03-3508-3610 中国ブロック
角田 秀穂  中道 03-3508-7052 03-3508-3852 南関東ブロック
中川こういち 自民 03-3508-7426 03-3508-3906 北海道11区
長友 慎治  国民 03-3508-7212 03-3508-3212 宮崎2区
西田 昭二  自民 03-3508-7139 03-3508-3439 石川3区
西山 尚利  自民 03-3508-7245 03-3508-3515 福島1区
葉梨 康弘  自民 03-3508-7248 03-3508-3518 茨城3区
林  拓海  みらい03-3508-7462         東北ブロック
広瀬 建   自民 03-3508-7107 03-3508-3407 大分2区
藤田 ひかる 自民 03-3508-7244 03-3508-3514 長野2区
宮下 一郎  自民 03-3508-7903 03-3508-3643 長野5区
簗  和生  自民 03-3508-7186 03-3508-3616 栃木3区
山本 深   自民 03-3508-7633 03-3508-3263 広島5区
渡辺 創   中道 03-3508-7086 03-3508-3866 宮崎1区

タネをめぐる国際民衆法廷、国連も種子の権利に関するパブコメ

 タネとは人権
 人類は植物からタネを採り、毒のある植物すら食べられる食物に変え、文化を形成してきました。気が遠くなるような世代の、数え切れないような人びとの共同作業の成果としてタネは存在しています。タネは人が生きていく上で不可欠なものであり、タネへの権利は基本的人権の基盤となります。
 でも、特に1990年代、遺伝子操作技術の適用が本格化して以降、タネは独占と支配の道具となり始めました。タネが独占されることで、それまでの農業ができなくなり、隷従を余儀なくされる人の数が世界で増えています。 “タネをめぐる国際民衆法廷、国連も種子の権利に関するパブコメ” の続きを読む

種苗法再改正、食糧法改正、さらには革新的新品種開発に関する法案の問題点

 いきなり通常国会で冒頭解散するという理不尽なことが起きようとしていますが、審議時間が短くなり、十分な審議もないまま予算が成立してしまい、また問題ある法案も満足な審議もされずに通されてしまう可能性があります。
 日本の今後の食・農業のあり方を大きく変えてしまう法案がいくつも出ようとしています。たとえば種苗法再改正、食糧法改正、さらにまだ正式名称がわかりませんが、革新的新品種開発のための新法案があります。 “種苗法再改正、食糧法改正、さらには革新的新品種開発に関する法案の問題点” の続きを読む

農民の権利を形骸化する日本政府に世界から非難の声

 日本政府は国連の会議で農民の権利を形骸化し、種子メジャーの利益のために動いて、世界の市民団体から非難を受けた。現在の日本政府にとってはタネを守ることよりも、バイオテクノロジー企業の利便のために動くことが重要な行動原理になっている実態を多くの人に知ってほしい。
 国連食料・農業植物遺伝資源条約(ITPGRFA)の第11回理事会(GB11)がペルーのリマで11月24日から29日までペルーのリマで開催された¹。この国連条約には農民の権利が明記され、農民の権利の重要性が認識した条約なのだが、このリマでの理事会はその農民の権利をめぐり、激しく対立した。種子企業・バイオテクノロジー企業の利益のために、農民の権利を形骸化させたからだ。特に議長国のスイスや日本の動きには批判が集中している²。 “農民の権利を形骸化する日本政府に世界から非難の声” の続きを読む

石破政権の農政転換は本物? 危険なその方向

 石破政権はコメの価格高騰対策として、増産に向けた新たなコメ政策への転換を昨日の閣僚会議で決めたと報道されています。これまでの減反政策が変わるということで、重要な政策転換と見るむきもあるかもしれません。
 でも、これは本当にどんな転換になろうとしているのか、注意が必要です。これまでの自民党農政とは何であったか、というと、米国農産物の大量買い入れを前提とした食料生産抑制政策であり、その柱が減反政策であったと思います。減反政策が変わったとしても、米国農産物の大量買い入れは、トランプ関税交渉を見れば明白なようにむしろ強化されかねない状況です。この農政全体が変わるわけではないことがわかります。それでは石破政権は農業政策をどう変えようとしているのでしょうか? “石破政権の農政転換は本物? 危険なその方向” の続きを読む

米騒動とバイオテクノロジー

 危機とはおそろしい。人びとの思考能力を奪い、平常時ではありえないことが堂々と、あからさまに実行されてしまうから。
 米騒動を機に、お米とは縁もなかった巨大企業がお米を握ろうとしている。そして地域のお米屋さんは排除。急激な米価高騰で「巨大企業に任せた方が安く、誰もが買えるからいいんじゃないか」と警戒感が薄れてしまう。でも、小さな流通業が廃れて、大企業しか扱えなくなり、競合他社がなくなれば、もはや決定権は巨大企業が握る。私たちの食の決定権は名ばかりとなって、価格や何を売るか、決めるのは巨大企業の手に握られる。
 
 流通と同時に生産の現場はさらに危うい。実はモンサントは「とねのめぐみ」という品種をもって、日本の稲に参入を試みたことがある。「とねのめぐみ」は遺伝子組み換え品種ではない。「コシヒカリ」と「どんとこい」を交配させ、従来の品種改良で育成した品種。でも、彼らは日本の稲から撤退した。彼らを撤退させたのは水田だった。 “米騒動とバイオテクノロジー” の続きを読む

米騒動からモンサント型農業に日本は移行するのか?

 今、本当に食・農業が根本から変えられてしまう可能性がある。だから議論が必要。どんな食・農業・社会を望むのか、社会のあらゆるところから声を出していかないと、気が付いた時はもう変える余地がなくなってしまうかもしれないから。
 結論を先に言っておくと、巨大企業にさらにコントロールされた社会なのか、それとも市民が決定権をなお保持できる社会なのか、私たちはその分岐点にいると思う。
 とても対象的な2つのテレビ番組があった。一つはNHK EテレのETV特集「田んぼ x 未来 あきらめないコメ農家たち」と、もう一つはTBSの報道1930「生産は足りているのか コメ価格下がらない本当の理由は」。 “米騒動からモンサント型農業に日本は移行するのか?” の続きを読む

2025年、世界では止まった有機農業バッシングに日本はどうなる?

 2024年の振り返り。世界では2020年〜2024年にかけて有機農業バッシングが猛威を振るった。でも、世界ではそのバッシングの中でも有機農業はがっしり根をはり、バッシングを跳ね返しつつある。光が見えたのが2024年だったかもしれない。
 一方、来年以降、周回遅れの有機農業バッシングが日本を襲う可能性が高いと危惧する。有機農業は気候危機、生物絶滅危機などの多重危機の不可欠な解決策。どう攻撃から守れるか、世界の動きから考えてみたい。 “2025年、世界では止まった有機農業バッシングに日本はどうなる?” の続きを読む