有機認証は誰のもの?

 世界で気候変動が激しさを増し、生物絶滅も想定を超えたスピードで進んでいる。多重危機が同時進行する私たちの世界。この危機を作り出している主因の一つが工業型の食のシステム。この変革はこの危機を克服する上で避けて通れない。
 その一つの重要な指標になるのが有機認証である。有機認証というと、日本ではあまり注目されない。「いや、有機認証なんて不要」、そんな言葉も飛び交う。有機認証が工業型の食のシステムから食を守る上で大きな準拠枠となっていることはほとんど知られていないだろう。認証を取る上ではさまざまな問題もあって、取らない人もいる。認証を取るか取らないかはひとまず置こう。食を守る最後の砦として、有機認証をどう守るかを考えなければならないことをぜひ知ってほしい。 “有機認証は誰のもの?” の続きを読む

「あきたこまちRは放射線育種でない」はとんでもないウソ

本当に日本が底抜けしそうで怖い。とんでもないデタラメがまかり通っているからだ。
 たとえば、「あきたこまちRは放射線育種ではありません」と説明して、それには問題がないと言いたい人たちがいるみたい。
 要するに重イオンビーム放射線をあてたのは「コシヒカリ環1号」だけであって、「あきたこまちR」はこの「コシヒカリ環1号」と「あきたこまち」を交配させたから「あきたこまちR」には直接重イオンビーム放射線はあててない、だから「あきたこまちRは放射線育種ではない」と言いたいのだろう。でもこれは明らかに誤り。なぜならば「あきたこまちR」は重イオンビーム放射線育種によって一部の塩基が欠損した「コシヒカリ環1号」の遺伝子を引き継ぐので、同じ形質を持つ、その点では同等品だ。だから、「コシヒカリ環1号」が重イオンビーム放射線育種品種として持つ問題はもれなく「あきたこまちR」にもついてくる。
 そればかりか、もし、これが「コシヒカリ環1号は放射線育種だけど、あきたこまちRは放射線育種じゃない」などと考えてしまうととんでもない論理矛盾に陥ってしまうことになる。 “「あきたこまちRは放射線育種でない」はとんでもないウソ” の続きを読む

花粉症を軽減する遺伝子組み換えイネのパブリックコメント

 花粉症を軽減する遺伝子組み換えイネの隔離圃場での栽培などに関するパブリックコメント。締切10月5日。
 スギ花粉への花粉症を軽減させるために、スギの遺伝子をイネに組み込むというもの。除草剤耐性も持つという。 “花粉症を軽減する遺伝子組み換えイネのパブリックコメント” の続きを読む

『命を守る食卓』(宝島社)をコンビニで!

 鈴木宣弘さん、安田節子さんといっしょに関わらせていただいた本『命を守る食卓』について、本当ならあれこれ書きたかったのだけど、6月出版直後にサーバーの問題でサーバーの再構築までする羽目になり、体調もこれまでにない厳しい状態に追い込まれて、何も書けないまま、時間だけが過ぎてしまいました。遅くなってしまいましたが、この本について書きたいと思います。 “『命を守る食卓』(宝島社)をコンビニで!” の続きを読む

なぜブラジル最高裁はXを禁止したか?

 ブラジル最高裁判所がブラジルにおけるX(Twitter)社の操業を禁止し、ブラジルでのXの利用は8月30日に禁止となった。VPNを通じたアクセスも禁止され、VPNを使ってXを使えば5万レアル(今日のレートで約126.5万円)の罰金が科される。個人的にもブラジルの民衆運動の動きをXを使って追ってきたが、現在は海外に拠点のある団体を除き、投稿は止まった。今、XなどのSNSがどのような影響を社会に与えているか、改めて振り返る必要がある。 “なぜブラジル最高裁はXを禁止したか?” の続きを読む

農水省:重イオンビーム放射線育種米を5割の都道府県に普及させる?

「あきたこまちR」の問題は秋田県だけの問題ではないと言い続けてきたけれども、農水省は2030年までに、なんと5割の都道府県にこの技術を普及させることを目標にする予算概算要求をしている¹。秋田県は先走りしただけで、政府が重イオンビーム放射線育種米を全国の主力品種にしようとしていることは明確だ。 “農水省:重イオンビーム放射線育種米を5割の都道府県に普及させる?” の続きを読む

米がない「食料危機」?

 何か音を立てて崩れている気がする。「米がない」。しかも生産量は十分あるのに。なぜ、そんな事態が起きたかということに関してはいくつも記事がでているので、それに付け加えようとは思わない。だけど、その記事には書かれない、問われるべきことがどうしてもまだあるので、そのことを書いておきたい。 “米がない「食料危機」?” の続きを読む

隠蔽手段としての「あきたこまちR」

 「あきたこまちR」の問題、その本質は隠蔽だ。国はカドミウム汚染問題を当初から隠蔽する方向で動いてきた。それに対してかつて、秋田県はその方向に反対し、独自に調査を公表していたりしていた。その秋田県がなぜ、国の先棒をかつぐように変わってしまったのか。 “隠蔽手段としての「あきたこまちR」” の続きを読む