怒らないのは日本の文化なのか?

 長く、苦しい気持ちにさせられてしまうことだが、原爆投下といい、原発事故といい、これだけのことが起きながらなぜ日本人は怒らないのか、それが日本の文化だからだという言われ方が日本の外では良識的な人びとの間ですらよくされる。
 今回の原発に限らない。『菊と刀』以来、日本は特殊な国、特殊な文化なのだ、という断定が世界中に蔓延っているし、日本人自身、そんな評価を自らの「誇り」にしている人さえいる。もちろん、独自性は常に重要だ。でも独自性と特殊性は異なる。前者は世界文化に独自の寄与をする根拠になるけど、後者は民衆連帯の妨げにしかならない。
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大豆の安全保障を!

大豆は言うまでもなく日本の食文化において要の位置を占める。大豆で作った味噌やしょうゆがなければ日本の食を成り立たせるのは難しいだろう。そして大豆は日本の農業の有機的なサイクルの一部をなす重要な作物でもあった。

しかし、近代の日本で大豆の生産は捨てられたままだ。富国強兵に走り、農村は貧困化し、大豆生産は落ちる。重要なタンパク源を失い、社会的騒乱を招くことも増えた。その危機的事態に対して、日本政府は農業政策を変更することなく、大豆を捨て続け、その代わりに、朝鮮半島を植民地化し、中国東北部に傀儡国家を打ち立てる。満州鉄道は別名大豆鉄道と言われたほど、日本は8割近い大豆を植民地体制で確保した。
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米国では枯れ葉剤耐性遺伝子組み換えの再調査

たびたび書いてきたが、日本政府が米国政府よりも早く遺伝子組み換えを承認する、という動きが生まれている。開発した米国企業の本国でその危険性ゆえに国中の論議となり承認がされていない枯れ葉剤耐性遺伝子組み換えが日本ではその使用(栽培・食用・飼料用)が認められているのだ。
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情報コミュニケーション技術のあり方にもの申す

PARC自由学校で「アクティビストのためのソーシャルメディア講座」の講師を引き受けることにした。

この間、社会問題を追うことと、社会運動の中で技術を使うこと(あるいは技術を使ってメディアを作ること)の二つを追ってきた。二兎を追う者は一兎をも得ずと言われそうだが、負け惜しみを言っておけばどちらもそこそこ成果を上げている。と言っても、どちらも社会的認知を受けるにはほど遠いから成果と言うにはあまりに乏しいものに過ぎない。僕は技術系の人間ではないのだが、だからこそ、現在の日本社会の中での技術のあり方については相当問題が見えるところもある。自分の非力ゆえに社会的認知が得られないのだが、現在の日本、企業社会も市民社会もともに持つ大きな問題もそこには横たわっている。
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遺伝子組み換えと健康被害の関連

米国での健康と遺伝子組み換え作物およびその除草剤の相関関係に着目した記事がとても印象的だった(Nancy Swanson ”Data trends show correlation between increase in organ disease and GMOs”)。英語で書かれているため、日本語で紹介する記事を書きたいと思ったけれども、この記事のインパクトは米国でのガンや糖尿病と遺伝子組み換え大豆やトウモロコシの栽培量の増加を比べたグラフにあり、そのグラフはライセンス料を払わないと使うことができない。しかし、元になるデータはパブリックドメインであるために元データを使って構成してみた。下記の文章は元記事を参考に書いているが、元記事の翻訳ではない(グラフもまったく同じデータを探せなかったケースもあるので微細な違いがある)。

遺伝子組み換え作物とさまざまな疾患の数の推移をグラフ化したものだ。
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4月9日期限の枯れ葉剤耐性遺伝子組み換えなどのパブリックコメント

再び遺伝子組み換えの承認に関するパブリックコメントである。2月26日時点ですでに昨年承認した遺伝子組み換え農作物(生物)と同数の26を承認し、さらにパブリックコメントが続く。パブリックコメントを提出したからといって、承認が止まるわけではない。「市民の意見は聞きました」というガス抜きだけで、どんなに問題点を指摘しても、回答されるのは差し障りのない部分のみ。肝心な部分はパブリックコメントというブラックホールに吸い込まれてしまう(環境省によるパブリックコメントの報告[農水省も同文]こちらの出したコメントを比較していただければ一目瞭然)。こんなパブリックコメントを認めたくはない。一方で、問題ある遺伝子組み換えが何も知られずに承認されていくことはさらに認められない。

より多くの市民がコメントを送ることで政府も無視できなくなる状況を作っていくしかない。ということで今回も提出期限間近になってしまったが、コメントを書くことにする。

以下の文章を参考にして、ご自身のコメントを送られることを切に望む。以下の文章はご自由にお使いください。4月26日追記:4月24日付けで承認。詳しくはページ末尾に。

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ジカンバ耐性遺伝子組み換え大豆などへの私のコメント

農水省によるジカンバ耐性など遺伝子組み換えの飼料の安全性に関するパブリックコメントの締め切りが4月2日に迫った。モンサント社によるジカンバ耐性遺伝子組み換え大豆、モンサント社による除草剤グリホサート耐性セイヨウナタネ、シンジェンタ社による害虫抵抗性トウモロコシの3つをまとめてコメントを求めるものである。

ここではジカンバ耐性大豆の問題に焦点を当てて私のコメントを書いてみた。なお、このページ上にある遺伝子組み換えの危険を指摘する資料ページへのリンクは送付するコメントには字数制限のため、別送している。

パブリックコメントの趣旨や投稿先のリンクはこのページの末尾にまとめた(こちらは終了済み)。

2013年6月21日追記:さらに新たにジカンバ耐性大豆のパブリックコメントが始まった。こちらの期限は7月20日。こちらの詳細は農水省プレスリリースへ。この記事の対象の大豆との違いはこの記事の大豆がジカンバ耐性だけなのに対して、さらにグリフォサート(モンサントの農薬ラウンドアップの主成分)耐性も兼ね備えているということであり、下記の記事の内容は有効であると考える。

背景事情などは別記事にまとめたのでご参照いただければ幸い

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