このままでは日本は汚染列島に。下水汚泥肥料には注意。

 ウクライナへの戦争以降、化学肥料原料の不足・高騰が大問題となった。農水省は国交省と組んで、下水汚泥の肥料への活用を進め、全国の下水処理場でその施設の建設・増強が進み、安い下水汚泥肥料の利用が増えている。家庭菜園用に売られている肥料でも使われている可能性がある。
 でも、この下水汚泥肥料(コンポスト肥料)を使うと何が起きるか、すでにわかっていることがある。その土壌中にカドミウムや作物中のカドミウムが増える、そしていったん入ったカドミウムは簡単に消えていかなくなるとする報告がある⁽¹⁾。 “このままでは日本は汚染列島に。下水汚泥肥料には注意。” の続きを読む

「遺伝」を超えてー継承と多様性のgen

言葉の問題は大きい。今回は「遺伝」という言葉。
 「遺伝する」というと日本語では親の影響が現れるという意味に取られるだろう。親からの継承というニュアンスになる。しかし、この言葉の元はgenだ。genはgenerate、生み出す、生成するという意味を持つ。地球に生まれた単純な生命はどんどん多様化し、新たな生命が生み出され、豊かになってきた。それを科学することが遺伝学(genetics)であり、それは親から子に継承されるものと同時の新たに親にないものを生み出すメカニズムを解き明かす、つまり継承と多様性というそれ自身、互いに矛盾し対立するような2つの方向を包含する学問である⁽¹⁾。 “「遺伝」を超えてー継承と多様性のgen” の続きを読む

重イオンビーム放射線育種は実質日本だけーコシヒカリ環1号、あきたこまちR問題を考える

 重イオンビーム育種米問題は、放射線育種として伝わってしまったため、幾重にも誤解が広がった。「放射線育種なら以前から世界各地でやっていたから問題ないんじゃないか?」など。でも以前からやっていたガンマ線を使った放射線育種は実質的にすでにもう終わっている。今回、登場した品種はそれとは違う重イオンビームを使ったもの。
 重イオンビームはガンマ線と比較にならないほど1点にあたる破壊力が強い。ガンマ線があたっても遺伝子が直接傷つくことは稀で、細胞内で活性酸素(フリーラジカル)が作られて、それが細胞を傷つけ、突然変異が生まれるケースが大半とのこと。それに対して、重イオンビームはイオンが遺伝子の2重鎖を切って破壊していく。同じ技術というにはあまりに違いが大きすぎる。 “重イオンビーム放射線育種は実質日本だけーコシヒカリ環1号、あきたこまちR問題を考える” の続きを読む

遺伝子特許を主食に認めるのはとんでもない

  種子法廃止や種苗法改正問題が日本でも迫る前に、海外では特にラテンアメリカで反「モンサント法案」とよばれる運動が社会を揺るがしていた。日本の種子法廃止や種苗法改正問題はこのこの問題と関わっていることは明らかだったから、2017年から20年にかけて、ラテンアメリカやアフリカ、アジアで動いている問題を日本各地で話して回った。
 
 種苗法改正時には十分問題にできなかったものが今、大きな問題になっている。それが特許の問題。種苗法で扱われる権利は「育成者権」と言われるもので、一方、遺伝子組み換え作物で使われるのはそれに加えて「特許権」だ。この育成者権と特許権はどう違うのか、というと一言で言えば、特許権の方がずっと問題が大きい。 “遺伝子特許を主食に認めるのはとんでもない” の続きを読む

重イオンビーム育種米で何が変わる?

 重イオンビーム放射線育種品種に変わると何が変わるのか。図にしてみた。オリジナルの「コシヒカリ」は特許許諾料はもちろん、品種許諾料も不要で自家採種ができるので有機農業にも適している。だけど、重イオンビーム育種の「コシヒカリ環1号」許諾を得た上で、特許料と品種許諾料を払わないと育てることができない。農水省は自家採種も不可だとしている。
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汚染土壌回復の試み:下水汚泥肥料を禁止したメイン州の例

 もしあなたが農業を生業にしていて、その農地が汚染されたらどうするだろうか? 当然、汚染した者に責任を取らせようとするだろう。でも相手が強大で責任を取ろうとしなかったら? 取らせたとしても農地はどうなる?
 メイン州にあった空軍基地が閉鎖され、その土地は先住民族に返還された。しかし、PFASの汚染度がひどく、農業にも、人の居住にも適さない状態だった。果たして先住民族はその地をどうしただろうか?
 汚染源は他にもある。米国メイン州は下水汚泥を肥料に使うことを禁止した。下水汚泥肥料の利用は環境保護局もその利用が安全であり、土壌を調整し、栄養を与える下水汚泥肥料の利用は優れた公共政策だと太鼓判を押していた。でも、その後、その汚泥肥料には永遠の化学物質PFASが含まれ、いくつかの農場は閉鎖を余儀なくされた。
 
 でも、そんな状況の中でも、生きた安全な土、安全な環境を取り戻すための試みが行われている。 “汚染土壌回復の試み:下水汚泥肥料を禁止したメイン州の例” の続きを読む

終わりを迎えたガンマ線放射線育種品種をどうすべきか?

 放射線育種米「コシヒカリ環1号」「あきたこまちR」の問題、推進側は使われているのは歴史も長く世界で広く使われている技術なのだから安全で問題ない、と言っています。だけど、おかしいのは、実は使われているのがその実績のある技術とは違う技術であることです。そして長く使われているとしている技術は実は世界では終わった技術で、日本でも昨年、ひっそりと終わりになっているのです。だから、この言い方はまったくおかしいと言わざるをえません。
 
 つまり「コシヒカリ環1号」には従来のガンマ線を照射する放射線育種ではなく、イオンビーム照射によって放射線育種されたもので、この技術は世界広く行われているものでもなく、そしてこれによって育成された品種もわずかしかないのです。
 
 だからまず、このガンマ線育種とイオンビーム育種を分けて考える必要があることを提案しました。
 
 しかし、同時にこれまでのガンマ線による放射線育種をどう捉えるのかも問われるべきでしょう。ガンマ線による放射線育種をどう捉えるべきか、どう対処すべきか、考えたいと思います。 “終わりを迎えたガンマ線放射線育種品種をどうすべきか?” の続きを読む

イオンビーム放射線育種正当化のおかしな論理

 農水省や「あきたこまちR」などの「コシヒカリ環1号」系品種を擁護する人たちがいつも繰り返すのは「放射線育種は長い歴史があり、その品種も日本や世界で広く普及している」ということだ。
 
 しかし、これはとんでもない飛躍がある言い分だ。というのも長い歴史がある放射線育種はガンマ線照射であって、この技術はもうすでに終わった技術なのだ。米国は基本的に軍事研究のみで実質的に終わりにして撤退してしまったし、効率が悪く、その施設は世界でもほぼ閉鎖されている。日本はそれでも続けてきたが、昨年閉鎖になった。
 
 これに対して、「コシヒカリ環1号」系品種はイオンビーム育種であり、この技術を使っているのは日本の他にどこにあるのか、と農水省に聞くと、答えが返ってこない。世界が捨ててしまった放射線育種にこだわっている国は日本くらいしかないのだろう。イオンビームを育種(品種改良)に使っているケースはほとんど聞いたことがない。 “イオンビーム放射線育種正当化のおかしな論理” の続きを読む