重イオンビーム放射線育種でも有機認証するって許される?

人はなぜ有機農産物を買おうとするのだろうか?
 それは有機農産物が農薬や化学肥料を使っていないから、体にいいから、環境を汚染したくないから、農家の健康が気になるから、地域社会への投資になるから、他の生命も傷つけたくないから、…いろんな理由があるだろう。 “重イオンビーム放射線育種でも有機認証するって許される?” の続きを読む

「あきたこまちR」によるマンガン不足は補うのが困難

 必須ミネラルのマンガン、農水省はコメから採らなくても、他の食品から取ればいいと言っていた。でもそれは難しい。
 重イオンビーム放射線によって遺伝子を改変した「コシヒカリ環1号」から作った「あきたこまちR」。カドミウムを吸いにくいことが売りなのだが、カドミウムを吸う遺伝子を破壊することによってそれを実現している。だけどその遺伝子は同時にマンガンを吸収する上でも必要な遺伝子だった。だから、「あきたこまちR」は従来の「あきたこまち」に比べ、マンガンが3分の1未満になってしまう。
 農水省が言うには、マンガンはさまざまな食品に含まれるからコメから採らなくても他の食品から採ればいいので問題ない、という。しかし、日本消費者連盟の原さんは東京衛研の調査ではマンガン摂取は4割が穀類からだという事実を指摘する¹。 “「あきたこまちR」によるマンガン不足は補うのが困難” の続きを読む

『日本の種苗政策とUPOV』について

 種子法廃止って何だったの? 種苗法改正はどうして行われたの? なんで野菜のタネはほとんど輸入なの? なぜ在来種が危機的なのに支援がないの? 「ゲノム編集」食品は農業をどう変えてしまうの? 来年から始められる重イオンビーム放射線育種米はどんな変化を日本の食にもたらす可能性があるの? 日本政府がモンサント法を他の国に押しつけているって本当? なんで報道されないの? ばらばらの問題としてではなく、まとめて点と点をつなげて考えると、そこにどうしていくべきか、大きな課題が浮かび上がってきます。 “『日本の種苗政策とUPOV』について” の続きを読む

「あきたこまちR」は暑さで20〜30%減収になる?

 分子生物学者河田昌東さんが3月29日東京集会にて、OsNramp5遺伝子を破壊された稲は暑さに弱く、2割から3割の減収になったという中国の研究を3月29日東京集会で紹介されたが、この件はとても重大なものだ¹。というのも「あきたこまちR」も「コシヒカリ環1号」も重イオンビーム放射でこのOsNramp5の1塩基を破壊しているからだ。 “「あきたこまちR」は暑さで20〜30%減収になる?” の続きを読む

半世紀前のカドミウム対策のアップデートを

 反公害運動は1970年の公害国会で多大な犠牲の上に世界に先駆けて汚染企業の責任原則を法制化するという金字塔を打ち立てた。しかし、その後の政治はそれを形骸化させた。新たな汚染が進もうとする今、この意義を再確認する必要がある。 “半世紀前のカドミウム対策のアップデートを” の続きを読む

カドミウム汚染への対抗策:在来種Pokkaliの可能性

 インドのケララ州ではカドミウムを稲の実には吸いにくいポッカリ(Pokkali)という在来種の稲があることを知って、関心はあったのだけど、バンダナ・シバさんからこの稲が実はインドの中でももっとも歴史の長い有機栽培の伝統を維持していることを知り、さらに関心がわいた。
 このポッカリは3000年前から栽培されていたことがわかっているという。なぜ、有機生産を続けられてきたかというと、エビの養殖との組み合わせで化学肥料を入れずに肥沃さが保たれるということと、その組み合わせゆえ、同じ面積の田んぼからあがる収益も倍になるかららしい。その有機農法はポッカリ・システムと呼ばれている。 “カドミウム汚染への対抗策:在来種Pokkaliの可能性” の続きを読む

このままでは日本は汚染列島に。下水汚泥肥料には注意。

 ウクライナへの戦争以降、化学肥料原料の不足・高騰が大問題となった。農水省は国交省と組んで、下水汚泥の肥料への活用を進め、全国の下水処理場でその施設の建設・増強が進み、安い下水汚泥肥料の利用が増えている。家庭菜園用に売られている肥料でも使われている可能性がある。
 でも、この下水汚泥肥料(コンポスト肥料)を使うと何が起きるか、すでにわかっていることがある。その土壌中にカドミウムや作物中のカドミウムが増える、そしていったん入ったカドミウムは簡単に消えていかなくなるとする報告がある⁽¹⁾。 “このままでは日本は汚染列島に。下水汚泥肥料には注意。” の続きを読む