農家として生き残れる農業のあり方は?

 化学肥料や農薬に依存する工業型農業と生態系の力を活用するアグロエコロジーと、どちらが農家にとって生き残れる農業のあり方なのか、健康とか環境などの問題は置いておき、純粋に農家としてどちらを選べば、農業を続けられるか、そんな問いを10年を超える長期間にわたって検証をした団体があります。
 結局、結論としてはアグロエコロジーでした。この検証をしたのはブラジルのMST(土地なし農業労働者運動)です。MSTは土地を失い、大規模農場主に雇われる農業労働者たちを組織して、農地改革を実現して、小さな農家を作り出す活動を1980年代から行っています。
 命がけで獲得した土地も、農業に失敗して失うことがあってはならない。だから、大規模農場主がやるような化学肥料や農薬に依存した農業の小型版をやる、というのが最初は主流でした。しかし、なぜ、アグロエコロジーの方が農家として生存しやすいのでしょう?
 現在、アグロエコロジーはMSTなどの農民団体の旗印になっているだけではありません。ホームレスの運動もまたアグロエコロジーの旗を掲げています。なぜ、ホームレスの人びとの運動がアグロエコロジーと関係があるのでしょう?
 工業型農業の進展により、農家は大規模化が進み、農村人口は激減しました。農村に暮らしていた人びとは都市に移動し、ホームレスやファベラ(スラム)人口が急激に増えました。しかし、その都市でのホームレス問題はどうやったら究極の解決をすることができるでしょうか? その問題は都市の中だけで解決することには限界があります。農村と都市の関係を変えなければ、農村問題も都市問題も解決できない。この問題を解決する道としてアグロエコロジーへの道が求められるようになったのです。
 そして、食の工業化の問題の解決策としてもアグロエコロジーが必要とされていきます。近年、人びとが食べるものが急速に超加工食品にシフトしてきました。その結果、人びとの健康に深刻な影響が出てきています。工業型農業と、こうした食の工業化は密接に関連しています。この食の工業化の問題を解決するために、ブラジルでは社会をあげた取り組みが行われ、ここでもアグロエコロジーこそが解決策であることが確認されました。
 もはやアグロエコロジーとは農家の選択に留まらず、社会全体が求めるものになったと言えるでしょう。
 そんな話をまとめました。ぜひ、ご覧ください。

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