またため息が出てしまうけれども、農水省は新たにモンサントの遺伝子組み換えトウモロコシの1品種、絹糸抽出期における高雌穂バイオマストウモロコシ(識別名MON-87403-1)を飼料用、食品用、栽培用に承認。これで農水省が日本での耕作を承認する遺伝子組み換え作物は133品種になった。
この高雌穂バイオマストウモロコシというのはこれまでの遺伝子組み換えトウモロコシとは違う性質を持ったもの。これまでの遺伝子組み換えトウモロコシとは害虫抵抗性(要するに虫を殺す毒素を細胞の中に作り出す)と除草剤耐性(ラウンドアップをかけても枯れないようにする)という2つが基本で、収穫高を上げる組み換えは行われてきていない(*注)。遺伝子組み換え企業は害虫や雑草による被害を容易にコントロールすることで生産性が上がると宣伝してきたが、栽培3年もすると害虫も雑草も遺伝子組み換えに耐性を持つものが現れだし、実際に生産性は上がってこなかった。米国の科学アカデミーもそれを認めている。実際に遺伝子組み換えすることでかえって生産性が下がるケースなども報告されており、遺伝子組み換え企業の言う、遺伝子組み換えは生産性を向上させるという宣伝は虚偽であると批判されてきた。
この遺伝子組み換えトウモロコシは従来の品種よりも2%収穫が増えると見込めるとモンサントは主張している。つまり、子孫を残す機構にメスを入れることになる。わずか2%の増収と引き換えにどんなマイナスが生み出されるか、まだわかっていない。今後、モンサントは自社のトウモロコシにこの系統を入れていくことを予定しており、日本では親系統が承認されるとその掛け合わせは容易に承認されてしまうので、ここ数年のうちにあっという間に広まってしまうことが予想される。
この品種を承認している国は、日本の他に、米国、台湾、韓国、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア。国名を見ればはっきりわかる。米国の中心の安保体制従属国。軍事だけでなく、食もその安保体制の中にある。軍事問題に熱心に活動している人がマクドナルドで食事している以上、この体制は変わらない。さて、どこから変える筋道を作っていくか、それが問題。
農水省:平成29年12月19日付けでカルタヘナ法に基づき承認した遺伝子組換え農作物(第一種使用規程)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/torikumi/attach/pdf/index-128.pdf
農水省:カルタヘナ法に基づく生物多様性の保全に向けた取組
http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/torikumi/index.html
注:
生産性が上げられている例外が遺伝子組み換えユーカリと植物ではないが遺伝子組み換え鮭。遺伝子組み換えユーカリは通常熱帯地域では成育に7年かかるが4年で成育すると言われている。しかし、まだ商業栽培には至っていない。