Rio+20: 日本政府のセラード開発のセミナーに対する懸念

Rio+20に平行されて開かれるイベントで日本政府の主催でセラード開発に関するセミナーが開かれるようだ。セラードはブラジル中央部のサバンナ地域だが、日本政府は「不毛の大地」と決めつけ、この地で大規模大豆生産を進め、確かにこの地域は大穀倉地域となった。しかしその社会的、環境的対価は小さなものではない。

セラード地域は決して不毛の大地ではない。世界に他にない生態系がここにあり、未だ十分解明されていない。アマゾンやパンタナル湿原の水源でもある。しかし、広大な森林が開発によって失われ、土壌や水源の崩壊など少なからぬ被害が出ている。アマゾンの渇水を懸念する声もある。
“Rio+20: 日本政府のセラード開発のセミナーに対する懸念” の続きを読む

Rio+20/ピープルズ・サミット:注目すべき会議・イベント(2)

Rio+20に平行(あるいは対抗)して開かれるピープルズ・サミットには世界の市民組織が集まる。

中でも下記の会議に注目してほしい。

KARI-OCA 世界先住民族会議

KARI-OCA世界先住民族会議のロゴ先の記事でXingu+23に言及したが、ベロモンチダムのみならず、南米各地でダム、石油・鉱山開発などにより先住民族の生存が危機にさらされている。
その中で世界の先住民族がリオデジャネイロに集まり、議論する。日本からも沖縄から参加があると聞いている。
http://karioca-caravana.org/ (このサイトがKARI-OCAとどういう関係にあるのか今ひとつわからないが)。
会議の場所はリオ市街から離れたリオセントロの方に近い地域。

TENDA ANTINUCLEAR(反核テント)

TENDA ANTINUCLEAR(反核テント)にも注目(6月15日朝から終日予定)。
TENDA ANTINUCLEAR@CÚPULA DOS POVOS/People's Summitこの会議にはブラジルで原発反対運動に取り組む各地の運動の他、ウラン鉱山、核廃棄場の問題に取り組む人たちも来る他、チェルノブイリからの若者の参加も予定されているとのことだ。日本からも福島県有機農業ネットワークの方たちをはじめとする人たちが参加して、福島の事故の経験を共有する予定になっている。

世界自由メディアフォーラム

世界社会フォーラムに集まる世界中のさまざまな運動と連携している自由メディアのフォーラムが6月16日〜17日にピープルズ・サミットで行われる。
Forum Mundial Mídia Livreのサイト

ピープルズ・サミット

ピープルズ・サミットのロゴ最後にピープルズ・サミット。これは反核テントや世界自由メディアフォーラムが集う場であり、3万人の人がさまざまな会合を持つので、並列して扱うべき会議ではないが、ここに置いておく。

問題は英語での情報が出てない。ポルトガル語でも各会議の情報が出ていないなどの問題があって、実際、こちらにとっても現地に行かないと何もわからないのが率直な状況。追加: プログラムの一部がオンラインになった。ただし、ポルトガル語。膨大な数の会議がある。これで部分とは…。Veja a programação parcial da Cúpula dos Povos

とりあえず、後は現地で。

ピープルズ・サミットのサイト

Rio+20/ピープルズ・サミット:注目すべき会議・イベント(1)

Rio+20ではリオデジャネイロ市街から30kmほど離れたリオセントロで国連の公式会議が開かれる。リオデジャネイロの市街、フラメンゴ公園(フラメンゴの埋め立て地に作られた公園)では3万人もの世界からの社会運動、NGOなどが参加してピープルズ・サミットが開かれる。

さらにリオデジャネイロから遠く離れてアマゾン奥地のアルタミラでXingu+23という会議が13日から17日まで開かれる。これは現在、建設が強引に進められているベロモンチダムに反対する先住民族、川の民、アルタミラの住民、支援団体・個人が開くもので、ダムの建設を進めるブラジル政府に対して強い反対の意志を表示しようというものだ。

Xingu+23のサイト

この+23とは23年前の1989年にベロモンチダム建設が止まった、それから23年を意味している。ベロモンチダム建設は軍事独裁時代の70年代に計画され、それ以来、長い反対の闘いが続けられてきた。そして昨年ついに建設が始まってしまった。

昨年作られた以下のビデオは建設が始まる直前の状況を語る。

昨年建設開始以降、大きな問題がすでに作られてしまっている。政府は住民に対して影響力を最小限にするための施策を保障した。しかし、それは裏切られ、契約された大勢の労働者が来ているにも関わらず、町の病院などのインフラはそのまま、少女買春の急増、さらにはその労働者の労働条件を巡るたびたびのストライキなど混乱が続いている。川のせき止めも始まり、水が濁り、川で生活する人びとの生活に直接的な影響が生まれてしまっている。

この動きに対して、前環境大臣で先の大統領選で善戦したマリーナ・シウバ、ブラジル音楽の巨匠で元文化大臣のジウベルト・ジル、解放の神学者として有名なレオナルド・ボフなど著名人も賛同し、ベロモンチダムを止めるために動いている。

しかし工事は進み森林破壊は広がっている。その状況を伝えるAPFの番組(ポルトガル語)

ベロモンチダムの他にもアマゾンに多数のダム建設が進められようとしている。ダム建設はアマゾンの生態系に大きな影響を与える。このRio+20が終わると一斉に建設が加速するのではないか、先住民族や環境問題に関わる人びとにはそうした懸念がある。こうして開発されるダムの多くはアマゾンでの鉱山開発のためのエネルギー、あるいはアマゾンに建設される工場などで使われる可能性が高い。いずれにしてもアマゾンとその住民には何のメリットももたらさない開発計画である。こうした現状にはぜひ目を向けてほしい。