AquaBounty、カナダでの遺伝子組み換えサーモンの生産から撤退!(訂正:米国では継続) 先住民族を先頭に長年にわたって遺伝子組み換えサーモンと闘ってきた市民の大きな勝利(1)。さて、これで世界で遺伝子操作魚を作っているのは日本のリージョナルフィッシュ社と米国でのAquaBounty社の遺伝子組み換えサーモンだけ。日本はどうする?
AquaBounty社がこの遺伝子組み換えサーモンの開発を始めたのは30年近く前に遡る。通常のサーモンは夏だけ成長するが、他の2種類の魚の遺伝子を入れることで年中ずっと成長するように遺伝子組み換えしたため、この遺伝子組み換えサーモンは通常より短い期間で巨大化する。が、サーモンの内臓はその成長に耐えられないため、内臓に異常を来したり、あるいは死んでしまう個体も少なくない。栄養価も低く、安全性には疑義が示されている。
このAquaBounty社はこの遺伝子組み換えサーモンを開発しても売れないため、資金繰りに行き詰まり、2011年に米国政府が資金援助して、米国議会で大問題になった。2015年に米国食品医薬品局(FDA)が承認したものの、市民は反対運動を全米中に広げ、主な食品流通企業は不売を宣言していた。その結果、AquaBounty社の株価は暴落。事業の破綻は時間の問題だった(2)。
この遺伝子組み換えサーモンは当初、カナダのプリンスエドワード島で卵を育て、パナマで養殖し、米国で売る、という計画だったが、パナマ政府はこの計画のずさんさに気が付き、養殖場の操業を拒否、結局、米国で生産され、食品表示もなく、カナダでの販売が2017年に開始されたと報道されている。しかし、その販売実態についてはほとんどわかっていない。
本当に長い時間、反対をし続けてきた人びとの大きな勝利だけれども、この反対運動なしにはこの勝利も当然ありえない。サーモンと共に生きてきた先住民族は自らをサーモン・ピープルと呼ぶ。陽光が弱い極北に住む先住民族にとって、サーモンは貴重なビタミン源であった。サーモンがいるから生きられる。だからサーモンに祈りを捧げ、サーモンと共に生きてきた。だから、そのサーモンを人造生物化することにもっとも強い憤りを感じたのも彼らであっただろう。その声がこの長い反対運動を支えた。
さて、残るのは日本の問題、つまりリージョナルフィッシュ社の「ゲノム編集」養殖だ。今はマダイとトラフグだけだが、同社はこれをエビや貝を含む20品種に増やし、生産能力も巨大化させ、世界に稚魚を売るビジネスを開始するために昨年秋から事業拡大に乗り出している。そしてインドネシアに進出し、東南アジア市場を作り出そうとしている。
筋肉の過度な成長を抑制する遺伝子を破壊して、急激に筋肉が成長してしまうので、背骨に問題が生じるマダイと、満腹を感じさせる遺伝子を破壊して、食べ続けるために急速に太るものの、血糖値や肝臓に問題が出やすいトラフグ、どちらも遺伝子組み換えサーモンと同様の問題を持っている。
これを止めるのはやはり日本の市民の責任とならざるをえない。以下のオンライン署名がオンライン学習会・記者会見があるので、ぜひご参加を!
麦のね宙ふねっとワークによるオンライン署名(2月12日締め切り)
https://www.change.org/STOP-GenomeEditingFish-KYOTO-MIYAZU
2月14日 午後2時〜3時 リージョナルフィッシュ社の「ゲノム編集」魚養殖に関する問題についてのオンライン記者会見(誰でも参加できます。参加無料)。申し込みは↓
https://save.okseed.jp/press230214
2月10日 午後8時〜9時30分 この問題の基本問題の学習会で報告します。宮津で活動されている麦のね宙ふねっとワークのみなさんの報告もあり。参加は無料ですが、OKシードプロジェクトのサポーター登録(無料)が必要です。登録後、申し込みのURLが入ったメールが届きます(メールアドレス間違いにご注意)↓
https://okseed.jp/supportus.html
(1) AquaBounty to stop producing GM salmon in Canada, as world’s first GM food animal struggles to find a market
(2) 昨年12月21日にまとめた投稿に簡単な説明あり