ラウンドアップをめぐる動向(デトックス・プロジェクト・ジャパン2周年)

 モンサント(現バイエル)のラウンドアップ(成分名グリホサート)をなくそうとする世界の動きはより確実なものになってきている。
 グリホサートが与える広範な影響も明らかになってきている。米国の裁判ではグリホサートがガンの原因となったことが争点になっているが、人の健康に悪影響を与えるだけでなく、ハチや蝶の激減(1)、さらには土壌の中の微生物にも悪影響を与え(2)、そして害虫や病原菌への植物の防御機能にも悪影響を与えることが指摘されるようになった(3)。 “ラウンドアップをめぐる動向(デトックス・プロジェクト・ジャパン2周年)” の続きを読む

「ラウンドアップは安全」という説がなぜ出てくるか?

 世界でラウンドアップ(グリホサート)に関する有害性の認識が高まり、禁止の流れが出ているのに、日本では逆に規制が緩和され、禁止してほしいと自治体などにかけ合っても、「安全な農薬で基準を守って使っている」などとして変えようとしないケースが少なくない。 “「ラウンドアップは安全」という説がなぜ出てくるか?” の続きを読む

ラウンドアップ/グリホサートの規制と代替方法

 ラウンドアップ(グリホサート)をなんらかしら規制、あるいは禁止を試みている国の数は42に及ぶ。最初はスリランカとエルサルバドルだった。農業労働者にCKDu(慢性腎不全)で命を落とす人が万単位となり、その主因として分析されたのがグリホサートだった。しかし米国政府の圧力によって、スリランカは一部緩和、エルサルバドルは議会が決めたのに禁止を実行できていない。
 今、現在、完全に禁止している国はルクセンブルク。今年1月1日から完全禁止。タイやオーストリアも完全禁止を決めたが、まだ実行できていない。ベルギーは個人向けには禁止。すでに流通大手でも販売を取りやめたところはいくつも出ている(1)。 “ラウンドアップ/グリホサートの規制と代替方法” の続きを読む

モンサントとリン鉱山汚染

 ラウンドアップ(グリホサート)の有害性についてはずいぶん勉強してきたつもりだったけど、まだまだある。今日、初めて、理解したこと。その前にまず、復習。植物や腸内細菌が持つアミノ酸を作る経路(シキミ酸経路)を損なう。これが大きな問題。さらにキレート効果を持っており、ミネラル分を剥ぎ落とす。ミネラル不足の原因を作る。そして、体内に入ると神経毒として機能する。ガン化のチェック機構を狂わせ、ガン化を防げなくしてしまう、精子の生育を妨げる…。
 でもそれだけじゃなかった。グリホサートの化学式を見るとPがある。これはリン。グリホサートをどうやって作るためにはリン鉱山からリンを持ってこないといけない。ところがこのリン鉱山は多くの場合、ウランやラドンなどの放射性物質、ヒ素と混在している。つまり、ラウンドアップを作るために、地下に眠らせて置いてほしい有害な重金属がいっしょに引き出される。原発を作るためのウラン鉱山が実はこのリン鉱山も兼ねていることは多い。
 だからラウンドアップは製品になって、それから環境を汚染するだけではなくて、製品作る前の原料を集める段階から環境を汚染してしまう。 “モンサントとリン鉱山汚染” の続きを読む

クローズアップ現代の報道の意義:日本の現実を見つめよう

 クローズアップ現代「世界でどう闘う?農産物のJAPANブランド」はとても画期的だったと思う。その理由第1。「モンサント文書」。実際に報道されたのは米国のラウンドアップ裁判でのモンサント社の社内文書(1)。モンサントは自社の研究でラウンドアップの人体への危険性は実際につかんでいながら知らせなかった。これがモンサントの敗訴の決定的な理由となっている。もっとも、番組の時間の多くを使っていたのはバイエル社による弁明で、衝撃は大いに弱められているが、実際に白血病になって訴訟を起こした人のインタビューやドウェイン・ジョンソン氏の裁判の映像含めて、流れたことは意義が大きい。 “クローズアップ現代の報道の意義:日本の現実を見つめよう” の続きを読む

遺伝子組み換え作物をめぐるこの10年

 ここ10年、世界の動きはより激しくなり、洪水のようにますます膨大な情報が流れてくる。良いことも悪いこともある。
 その中で悪いニュースからちょっと。遺伝子組み換え農薬とも呼ぶべき遺伝子に作用する農薬を米国環境保護局が承認する可能性がある。従来の農薬は化学成分が植物のアミノ酸合成を妨げたり、毒素タンパクで害虫の腸に穴を開けたりさせたりするものだったが、これは虫の遺伝子に作用して虫を殺す。どこかの実験室で遺伝子組み換えをするのではなく、自然環境の中でそれを起こすというもの。
 いいニュースは農業のあり方を変えて、生態系を適切に3割回復させることができれば7割の生物の絶滅を回避できるというもの。このままではあと30年で100万種の生物が絶滅すると予想されている。このシナリオを変えることは可能だということ。コロナなどの感染症もやはり農業のあり方、特に畜産業のあり方が大きく関係するということも明らかになりつつある。食を変えることの意味がより明らかになっている。 “遺伝子組み換え作物をめぐるこの10年” の続きを読む