米国と日本の食品表示:圧倒的な民間代替ラベルの違い

 日本の食品表示、ちょっとヤバいレベルになってきている。ゲノム編集食品は表示一切なし、来年4月以降は「遺伝子組み換え原料を使っていません」という表示も実質的に不可能になってしまう。添加物でも消費者にとって不利なガイドラインが4月に出された。
 そうなってきている最大の原因は政府の企業中心主義と政府と企業の回転ドア。つまり民間企業の人間が政府に入り込んで方針を決めてしまうこと。

 どこの政府も同じ、というかもしれないけれども、政府はほぼ世界的に巨大企業に買収済みと言わざるを得ないかもしれないが、一方で市民社会はかなり違う。米国では民間代替認証ラベルがたくさん生まれていて、消費者は信頼できるラベルを見て、選ぶ権利が確保されている。
 たくさん生まれている、ってどれくらいあるのか、と調べてみた。いやはや、なんと多いこと。とても覚えきれない。なんでこんなにあるの、と調べてみると、これだけ生まれてくる必然が見えてくる。
 
 たとえば有名なのがNon-GMO Project。これがついている食品買えば、遺伝子操作は避けることができる。だけど、農薬や化学肥料は使っているかもしれない。だったら両方クリアしたものだけのマーク作ればいいじゃない、と言われるかもしれないけど、そうなると付けられるものが圧倒的に少なくなってしまって、遺伝子組み換えを避けるという目的は果たせなくなってしまいかねない。だからマークを複数使って役割分担するのが有効な方法となる。だから化学肥料も農薬も使わず、遺伝子操作もしてないものを買いたい時は有機認証のUSDA OrganicとNon-GMO Projectの2つがついたものを選べば確実。

米国食品ラベル一覧 

 特に多いのが畜産に関わるもの。牧草で育てたラベル。身動きできないケージに閉じ込められていないかどうか、さまざまなアニマル・ウェルフェアに配慮している、自然界の鳥にも配慮している、抗生物質使っていない、海の環境守る養殖、農業労働者の権利が守られている、フェアートレード、それぞれ、とても大事なことを表示するために存在している。
 
米国食品ラベル一覧2
米国食品ラベル一覧3
 
 このラベルを生み出した背景にはそうした面での正義を訴える人びとの存在があるわけで、たとえ米国政府がとんでもない企業側の主張で政策決めてしまっていたとしても、市民社会には問題を正そうとする人びとがいて、そんなラベルが作られて、消費者が選択ができるようになっているというのはやはり大事なことだと思った。 
 
 ただ、これだけ多いと理解するのも大変になるということで、FoodPrintという市民団体が包括的なオンラインガイドを作った。このFoodPrintのガイドではそれぞれのラベルがどの点で信頼でき、どの点はダメなのかがわかるようになっている。

Food Label Guide


 
 ひるがえって、日本。消費者庁は無添加表示をできなくしかねないガイドラインを4月から出した。ガイドラインを読めば萎縮して表示をあきらめる食品企業もでてきかねない。しかし交渉する中で、消費者庁は適正さを欠く表示でなければ無添加表示ができることを認める。だったら、ガイドライン撤回すればいいのに、撤回しようとしない。そして来年4月以降はNon-GMO表示が実質的になくなろうとしている。さらにゲノム編集食品は一切表示が不要で流通可能にされている。これでは消費者は知る権利がないも同然。
 もちろん、その方針を変えさせるのが筋だし、一刻も早く変わってほしいけれども、日本政府は頑として変えようとしない。
 
 なのであれば、日本でもやはり市民の側が新しいラベルを作って対抗していくしかない。日本で民間側で広く普及しているラベルはまだまだ少ない。このラベルの圧倒的な数の違いは、私たちの食への姿勢も反映していると言わざるを得ないのではないかと思う。

 昨年7月末に始まったゲノム編集していないことを示すOKシードプロジェクトはまだまだよちよち歩きだけど、なんとか広がり始めた。なんとか日本中誰もが知っているラベルとして成長させていきたい。

https://okseed.jp/

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