グリホサート残留ゼロの食品ラベル:農薬フリーな世界をめざして

 食品へのラベル、世界ではいろんなものが生まれていることを示した(4月21日の投稿)。でも全然網羅できていない。その中でもこれ。モンサントの農薬ラウンドアップ(主成分名グリホサート)がないことを示すグリホサート残留ゼロのラベル(1)。

グリホサート残留ゼロラベル

 世界でグリホサートへの規制が強まる中、残念ながら日本では使用の増加傾向が止まらない。なぜ、この農薬が問題なのか?
 グリホサートがもたらす問題で、一番知られているのは発がん性だろう。それだけでなく、アレルギー、呼吸器疾患、神経系の疾患、糖尿病、生殖機能への影響と広範にわたる。しかし、最近特に懸念が高まっているのが次の世代への影響だ。親がグリホサートに曝露して、何も症状を発しなかったとしても、子ども、あるいは孫の世代で問題が生じる可能性がある(2)。グリホサートが農薬として世界で使われ始めたのは1970年代、それ以来、知られないまま、子どもに問題が生まれている可能性は十分高い。自分が健康だからと言って問題ない、ということにならない。だからこそ、その危険を避けるために、こうしたグリホサート・ゼロのラベルが求められ始めている。
 日本政府はグリホサート農薬の再評価作業を始めている。しかし、その再評価作業は非公開で行われている。世界でグリホサートの危険を示す研究があっても、それは無視されて、バイエル(モンサントを買収)が作成した報告書、あるいはバイエルが金を出した研究者が作った論文だけが採用されるかもしれない。
 フランス政府やメキシコ政府は2024年までにグリホサートを漸次禁止にすることを決めている。米国でも数多くの自治体がすでに使用禁止を決めている。しかし、日本ではこの危険な農薬が使われ続け、その結果、孫の世代までその危険を付き合い続けることになりかねない。
 
 このグリホサートに関するラベルを作ったDetox Projectにならって日本でも体内の残留農薬を調べるデトックス・プロジェクト・ジャパンが立ち上がり、この日本政府の農薬再評価に注文を付ける活動を行っている。今年、3周年を記念して、6月22日に「農薬フリーな明日へー200人の尿検査からわかったことー」というイベントを開催する。
 
 今の健康はもちろん、三世代先の命のためにも、今、行動することはとても重要。ぜひご参加を!(参加費無料、カンパは歓迎)

設立3周年記念イベント
「農薬フリーな明日へー200人の尿検査からわかったことー」
日 時 2022年6月22日(水)13:30~15:30
会 場 衆議院第1議員会館 大会議室 or オンライン
デトックス・プロジェクト・ジャパン https://detoxprojectjapan.jimdofree.com/
申し込みフォーム(参加費無料、カンパは歓迎)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf3AUWhsgTsXtSlMpkynhT17jkrpBG-bTVtEl3gYhQpeHzjMQ/viewform

デトックス・プロジェクト・ジャパン三周年イベント表面デトックス・プロジェクト・ジャパン三周年イベント裏面

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 最後にドイツの公共メディアDWが扱ったグリホサートに関するビデオの紹介。10分のビデオだけど、かなり今の問題を集約して示している。モンサントは現在、ドイツのバイエルに買収されているのでドイツ企業。それをここまで徹底して、問題をまとめているのはすごい。NHKは住友化学の製品をここまで報道できるだろうか? 英語ができる人はぜひ見てほしい。

Is glyphosate dangerous?
https://www.dw.com/en/is-glyphosate-dangerous/av-61394607

(1) グリホサート残留ゼロ認証ラベル:Detox Project
https://detoxproject.org/certification/glyphosate-residue-free/

Glyphosate Residue Free Certification Market Reaches USD $ 204 Million as Clean Food Booms
https://www.fooddive.com/press-release/20200921-glyphosate-residue-free-certification-market-reaches-usd-204-million-as-c/

(2) Epigenome-wide association study for glyphosate induced transgenerational sperm DNA methylation and histone retention epigenetic biomarkers for disease
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/15592294.2020.1853319

 最後に、日本ではなぜか事実ではないことが事実であるかのように信じ込まれて伝えられることが多いので注意喚起。ラウンドアップ/グリホサートはベトナム戦争で使われた枯れ葉剤ではありません。グリホサートはモンサントが発明したものではなく、1950年代に作られ、1970年にモンサントの科学者によって除草に使えることが確認され、モンサントは1971年に農薬としての特許を取得(この特許はすでに失効済。現在は抗生物質としてモンサント・バイエルが特許を保持している)。モンサントが農薬として売り出し始めるのは1974年から。枯れ葉剤作戦(ランチハンド作戦)がベトナムで展開されたのは1961年〜1971年。枯れ葉剤として使われた成分は多岐にわたる(エージェント・オレンジとかパープルとか色が付けられて呼ばれている。主要なものは2,4,5-Tと2,4-Dの混合剤)がグリホサートは使われていない。だからベトナム戦争で使った枯れ葉剤を戦後、ラウンドアップとして売り出した、というのは明らかな間違い。モンサント自身が2,4,5-Tなどの枯れ葉剤の製造に関わっていた(最大の生産企業であった)が、グリホサートを枯れ葉剤として作っていたということではない。

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