下水汚泥の利用はNG。今こそ化学肥料への依存を減らす時

 今後、経験したことのない事態が起きてくるだろう。でも一番大事なのはパニックにならないことだ。何事もその事態が生まれたことにはその背景がある。それをじっくり見据えれば危機から抜け出す道は見えてくる。パニックになれば危機は一気に加速する。
 食料品の価格が一気に高騰し、商品によっては姿を消す。さらに深刻なのは生産が化学肥料が不足するため困難になることだ。そこで、岸田首相は化学肥料の確保のために下水汚泥の利用を農水省に指示した(1)。海外依存の化学肥料の原料を地域循環で取り戻す、一見よさそうにも見えるかもしれない。でも、これにはとんでもない危険がある。 “下水汚泥の利用はNG。今こそ化学肥料への依存を減らす時” の続きを読む

国会閉会前に緊急の食料政策を!

 国会の会期が終わりに近づいてきた。だけど、何を決めたのか? この世界の多重危機の同時進行の時に政治が果たす役割はとても大きい。でもそれが伝わってこない。
 このまま行けば何が起こるか? 食料高騰、収入減る一方の人びとの中で栄養不良状態が深刻化、さらには日本列島の人びとを支える農業が崩壊する大規模な離農が止まらなくなる。それにさらに深刻化する自然災害や感染症が追い打ちするかもしれない。 “国会閉会前に緊急の食料政策を!” の続きを読む

食料危機から食のシステムの転換へ

 食料危機が待ったなしで迫っている。化学肥料の高騰が止まらない(1)。問題は価格の高騰に留まらない。お金を出しても必要な量を確保することが見込めない状態になりつつある。現在の世界の食のシステムは来年にかけて大きな危機に陥るのは避けられないだろう。
 特に日本でまず心配なのは今後、農業を続けてくれる方たちが大幅に減ってしまうのではないかということだ。ただでさえ、労は多く収入は少ない状態なのに、これに生産コストが急激に上がってしまったら、継続は不可能になってしまう。 “食料危機から食のシステムの転換へ” の続きを読む

「永遠の化学物質」PFASが農地を汚染する

 「永遠の化学物質」PFASが農地を汚染する。そして地下水、食も。
 自然では分解することのない合成化学物質PFAS、耐熱、耐水、汚れ防止などのためにさまざまな製品に使われるが、人体には有害でがん、甲状腺異常、肝臓障害、出生異常、免疫抑制など広範な健康被害の可能性がある。米軍基地がその汚染源となっているが、工場から排出されている可能性もある。
 しかし、基地も工場もない農村がこのPFASに汚染される。その原因は肥料として用いられる下水汚泥。つまり工場排水などでPFASに汚染された水が下水に流れ込む。下水処理場の処理で水は浄化されるが、汚泥の中にPFASは残留する。その汚泥が肥料として使われている。米国の市民団体EWGは米国の農地2000万エーカーがPFASに汚染されていると推定されると4月に発表した(1)。2000万エーカーは約800万ヘクタール、日本の全農地の倍近い農地がPFASに汚染されてしまったことになる。汚染された農地では地下水も汚染され、閉鎖を余儀なくされた農場も出ている。 “「永遠の化学物質」PFASが農地を汚染する” の続きを読む

抗生物質としての農薬。農薬が耐性菌を生み出している

 植物が自分が生きるために作り出した光合成によって作り出した炭水化物、それを植物は土壌微生物に提供する。そして土壌微生物は植物が生きるために必要とするミネラルを提供する。植物と微生物の共生関係、これは尽きない興味を生み出す。莫大な量の微生物が植物を、そしてわたしたちの命を支えている。まだ人類はこの共生関係のほんの一部しか理解できていない。この共生関係はわたしたちの命の根拠であり、そして危機にあるわたしたちを守る解決策でもある。
 この共生関係がどのように破壊されてきてしまっているか、研究が進んでいる。まず化学肥料がこの共生関係を断ち切る。微生物によって守られていた植物が雑草に負け、菌病などに犯される。そして農薬が不可避となっていく。この農薬は問題の解決とはならず、さらなる悪循環を作り出す。
 
 モンサント(現バイエル)の農薬ラウンドアップ(主成分グリホサート)などの農薬は抗生物質作用を持つ。モンサントはグリホサートを抗生物質として特許を取っているくらいだ。モンサントはグリホサートは土壌に入ったら、すぐ微生物に分解されると説明していたが、実際には逆に微生物の活動を抑えてしまうため、その散布はわずかな量でも土壌の微生物の環境を大きく変えてしまう。土壌の中に抗生物質耐性菌、つまり薬が効かない菌が生み出される(1)。これは人への感染症の脅威にもなりうる。 “抗生物質としての農薬。農薬が耐性菌を生み出している” の続きを読む

国連を乗っ取ろうとする多国籍企業

 世界が有機農業・アグロエコロジーの方向に向かっていることは間違いない。ここ20年近い間に有機市場は5.5倍近い急拡大をしているだけでなく、国連FAOも生態系を守る農業アグロエコロジーの普及を2013年から掲げており、ラテンアメリカ、アフリカ、そしてフランスや英国各国などでもアグロエコロジーを政策に取り込み始め、農薬や化学肥料の使用の規制も始まっている。農薬・化学肥料は生物の絶滅、土壌の劣化・損失や気候変動を激化させる原因としても注目され、大幅に減少させることが国際的に求められる状況になってきた。
 農薬、化学肥料、遺伝子組み換え種子を手掛けるアグリビジネスにとって、大きな敗北は2010年以降、国連までもがアグロエコロジー推進に進んでいったことだろう。しかし、彼らは黙って歴史の舞台から下がろうとしてはいない。それどころか、今、国連FAOを乗っ取るばかりの勢いでロビーを重ねている。 “国連を乗っ取ろうとする多国籍企業” の続きを読む

化学肥料で人が死ぬ?

化学肥料による大気汚染のために人が命を落としているという研究が発表されている。米国では年に16,000人が命を落としているという研究が今年3月に、同じく米国で4,300人がトウモロコシ生産で使われる化学肥料が原因で命を落としているという研究が4月に発表されている(研究者はどちらも11名の共同研究、メンバーはほぼ同じ)。 “化学肥料で人が死ぬ?” の続きを読む