農業によるPFAS汚染

 永遠の化学物質と言われるPFAS、その脅威は全世界的な問題に。汚染は世界の広範囲に広がっており、現在もなお、汚染が拡大し続けている。それも農業を通じて拡大している。
 さまざまな工業製品に使われるPFASだが、それらが製造禁止になったとしても、環境中にはPFASは残り続け、下水汚泥肥料の利用によって、広範囲の農地が汚染されつつある。そしてPFASを使う農薬は最近種類が増えているからだ。 “農業によるPFAS汚染” の続きを読む

合成生物学を使った人造生物肥料に、「ゲノム編集」作物が経済安保?

 解決策があることはわかっている。でも、日本政府はその解決策を完全に無視して、企業の儲けになる、その場しのぎの方策ばかりに突っ走る。エネルギー政策しかり、そして農業政策しかり。その結果、このままでは日本はより深刻な事態に向かおうとしている。
 
 共同通信は政府が経済安全保障推進法に基づき財政支援を通じて育成する「特定重要技術」の対象に肥料生産に関する先端技術を追加したと報道した。この先端技術とは、化学的手法による肥料生産や少ない肥料でも育つ「ゲノム編集」作物なのだそうだ。 “合成生物学を使った人造生物肥料に、「ゲノム編集」作物が経済安保?” の続きを読む

化石燃料でできた食を変えよう!

 気候危機、生物絶滅危機などの多重危機の同時進行を進めている原因を追求していくと、世界のほんのわずかな企業が推進する産業モデルがこの多重危機を加速させ、そのモデルが世界中に各国政府の政策によって広げられている問題にぶちあたる。その勢力の一つが化学肥料企業。

 この状況に対して、FUEL to FORKという新しいキャンペーンが始まった。私たちの食は化石燃料でできている! 食べながら気候変動を引き起こしている。だから、食べものを変えれば多重危機も回避できる。まずは食べものから¹。 “化石燃料でできた食を変えよう!” の続きを読む

PFAS汚染された農地をどうする?

 誰もが生きるなら汚染のない世界で生きたい。でも、今の世界は汚染が進み、人のいない極地地域でも汚染は発見される。この汚染された世界でどう生きたらいいのか。世界の命をこの汚染からどう守ればいいのか、汚染を減らすにはどうすればいいのか?
 
 言うまでもなく、まず汚染の進行を止めること。汚染物質を禁止し、汚染させた企業、軍などの組織に責任を取らせること。
 でも汚染されてしまった農地はどうするのか。放射性物質、カドミウムやヒ素などの重金属、ラウンドアップ(グリホサート)などの農薬、さらにはPFASなどによって汚染されている農地がある。まったく汚染されていない農地はないだろう。大なり小なり、この汚染された農地からどう安全な食を確保するのか、考えなければならない時代に入っている。 “PFAS汚染された農地をどうする?” の続きを読む

汚染土壌回復の試み:下水汚泥肥料を禁止したメイン州の例

 もしあなたが農業を生業にしていて、その農地が汚染されたらどうするだろうか? 当然、汚染した者に責任を取らせようとするだろう。でも相手が強大で責任を取ろうとしなかったら? 取らせたとしても農地はどうなる?
 メイン州にあった空軍基地が閉鎖され、その土地は先住民族に返還された。しかし、PFASの汚染度がひどく、農業にも、人の居住にも適さない状態だった。果たして先住民族はその地をどうしただろうか?
 汚染源は他にもある。米国メイン州は下水汚泥を肥料に使うことを禁止した。下水汚泥肥料の利用は環境保護局もその利用が安全であり、土壌を調整し、栄養を与える下水汚泥肥料の利用は優れた公共政策だと太鼓判を押していた。でも、その後、その汚泥肥料には永遠の化学物質PFASが含まれ、いくつかの農場は閉鎖を余儀なくされた。
 
 でも、そんな状況の中でも、生きた安全な土、安全な環境を取り戻すための試みが行われている。 “汚染土壌回復の試み:下水汚泥肥料を禁止したメイン州の例” の続きを読む

下水汚泥肥料、なぜここまでノーチェック?

 農水省と国交省が力を入れている下水汚泥の肥料利用、懸念が募る。化学肥料の原料が高騰し、入手困難になるということで下水汚泥の利用が進められつつある。安全が確保された糞尿はリン酸や窒素に富み、利用するのは江戸時代から行われている。だけど、江戸時代にない危険な物質に満ちた現在、果たして安全は確保されているか、疑問に感じざるをえない。 “下水汚泥肥料、なぜここまでノーチェック?” の続きを読む

トイレットペーパーからPFASが。下水汚泥の肥料化に規制を

 トイレットペーパーから永遠の化学物質と言われるPFASが検出。米国で17ブランドのトイレットペーパーで検査したところ、そのうち4つから微量のPFASが検出された。PFASは包装紙などに水を弾かせるために意図的に混入されるが、トイレットペーパーの検出量は微量であるため、意図せずに製造過程の中で混入してしまったと考えられるとのこと(1)。
 
 米軍基地の消火剤などの流出からきわめて危険な濃度のPFASが水道水に混入しており、日本各地の米軍基地周辺で大きな問題になっている。健康被害・環境被害という点では、これが最大の焦点になるが、今後、このPFAS汚染問題が日本全国に広がりかねない。というのも下水汚泥を肥料に使う動きが農水省・国交省の施策で急激に全国で動き出しているからだ。 “トイレットペーパーからPFASが。下水汚泥の肥料化に規制を” の続きを読む

下水汚泥の肥料化推進に異義あり

 化学肥料の急激な価格高騰を受けて、下水汚泥を肥料に利用する検討を農水省と国交省が進めている。実際に安全な環境の畜産業や人間の糞尿を活用することは汚染物質が入り込まない限り、循環型の生産になるが、広域下水汚泥にはさまざまな汚染物質が含まれるため、PFASなど容易に分解しない汚染物質によって農地を長期的に汚染することになりかねない。現に米国ではすでに日本の農地の2倍近い800万ヘクタールがPFASに汚染されており、閉鎖を余儀なくされた農地もあり、メイン州は下水汚泥の肥料利用を昨年禁止している。
 
 しかし、日本は逆に利用を大々的に進めようとしている。非公開で進めてきた検討の内容が発表された。下水汚泥の利用は有機栽培では許されていないが、特別栽培は地域によっては許されている。それを政府は特別栽培に下水汚泥肥料の利用を認めていない自治体に勧告を出して、認めさせるべきという提言がまとめられたようだ。 “下水汚泥の肥料化推進に異義あり” の続きを読む