気候危機、生物絶滅危機などの多重危機の同時進行を進めている原因を追求していくと、世界のほんのわずかな企業が推進する産業モデルがこの多重危機を加速させ、そのモデルが世界中に各国政府の政策によって広げられている問題にぶちあたる。その勢力の一つが化学肥料企業。
この状況に対して、FUEL to FORKという新しいキャンペーンが始まった。私たちの食は化石燃料でできている! 食べながら気候変動を引き起こしている。だから、食べものを変えれば多重危機も回避できる。まずは食べものから¹。 “化石燃料でできた食を変えよう!” の続きを読む
AIロボット制御遺伝子操作農場拡大中ースマート農業の行き着く先
実験室の中で遺伝子操作していた時代から、今後は農場自身を遺伝子操作する時代に入った。種子を支配することで食を支配しようとした遺伝子組み換え企業は、それを超えて、農場全体をデジタル情報化し、AIを使って生産をコントロールするAI企業として農業生産を直接支配する企業へと転換しつつある。 “AIロボット制御遺伝子操作農場拡大中ースマート農業の行き着く先” の続きを読む
COP28は最初の食のCOPに!? 食を変えるこそ気候危機対策の柱
気候危機に対処するためのCOP28(国連気候変動枠組条約第28 回締約国会議)が予定された会期の終わりに近づいている。気候危機というと化石燃料をどうするか、ということが大きな焦点だ。石油や石炭消費をどう止めるか、これが重要であることは疑いない。けれども、近年のCOP会議で焦点の1つになり始めているのが食・農業である。なぜかというと食のシステムは温暖化効果ガスの3分の1を直接排出、間接に排出しているものも含めるとほぼ半分を占めるとも言われる。つまり気候危機を解決するには食を変えなければならない。
またたとえ排出を減らしたとしてもすでに大気は温暖化効果ガスで満ちており、気候危機は止まらない。大気中に放出された温暖化効果ガスは地球の気候を不安定にし続けるからだ。しかし、世界大で生態系を守る農業に転換することで地球上の最大の炭素の保存庫である土の力を取り戻し、炭素を蓄積する力を回復させることで、食は気候危機を緩和させていくこともできる。だからこそ、食の問題は気候危機対策の中心に躍り出ざるをえないのだ。 “COP28は最初の食のCOPに!? 食を変えるこそ気候危機対策の柱” の続きを読む
カーボンファーミングには要注意
気候危機に対して有機農業・アグロエコロジーはもっとも有効な解決策の1つなのだが、このロジックを悪用した「カーボンファーミング」にはとんでもない罠が存在している。バイエル(モンサント)による「ゲノム編集」カバークロップを使った遺伝子組み換え農業の強制が進みかねない。デタラメな「カーボンファーミング」に要注意。 “カーボンファーミングには要注意” の続きを読む
根を張るブラジルのアグロエコロジー、一方、日本の統一地方選は?
政府が人びとの望まない政策をどんどん進めていく。こんな時にどうしていけばいいのか、とても参考になる取り組みがある。それがブラジルのアグロエコロジー運動。アグロエコロジーとは生態系を守り、その力を活用する農業に関する科学であり、そうした食のあり方をめざす農家の実践や市民の社会運動でもある。
これまでブラジルのアグロエコロジーを支えてきた柱は学校給食(PNAE)と食料調達政策(PAA)だった。政府が買い付けを保障するから、農家が現金収入を確保できる。市場に買い叩かれなくて済む。でも、極右大統領が誕生し、これらの予算を大きくカットした。新型コロナウイルスの蔓延による失業、コメや小麦など輸入穀物の暴騰という中、この政策により、飢餓層が急増する。そして、この極右大統領は空前の勢いで農薬を新規承認。現在、ブラジルで承認されている農薬の半数を占めるまでになった。海外では禁止されている農薬が続々と承認された。種苗企業は遺伝子組み換え企業によって買収され、大豆やトウモロコシ、コットンなどは遺伝子組み換え種子ばかり。
このような逆境の中でも、ブラジルのアグロエコロジー運動は地域に根を張ることで生き延びた。地方自治体が予算を出し、地域のアグロエコロジー生産をバックアップする、そんな例がブラジル全土で487存在するという(1)。その例を1つあげてみよう。 “根を張るブラジルのアグロエコロジー、一方、日本の統一地方選は?” の続きを読む
気候危機を止める食と農:COP27を前に国際的市民と自治体の連帯
気候危機がいよいよ深刻化する中、COP27(国連気候変動枠組条約第27回締約国会議)が人権侵害の懸念の大きいエジプトで始まった。気候危機を作り出す真犯人が救世主の振る舞いをしていることを見抜く必要がある。そして、食を地域で変えることで気候危機を克服することができることを多くの人が世界で認識し始めている。 “気候危機を止める食と農:COP27を前に国際的市民と自治体の連帯” の続きを読む
年金とアマゾン破壊の関連を問う
アマゾン森林がもう終わってしまうかもしれません。膨大な生物多様性を保持するアマゾン。世界の生態系にも大きな影響を与える森林がこのままではなくなり、サバンナや砂漠へと変わっていくかもしれません。そうなれば、気候変動はもちろん、ここにしかいない生物は絶滅し、それと共に未曾有の感染症に人類は脅かされることでしょう。その破壊の火に油を注いでいるのが日本の年金なのです。
その破壊の実態を現地の市民団体が明らかにした調査を元に、調べ、日本との関わりを明らかにしたレポート『年金とアマゾン破壊の関連を問う~大手牛肉加工企業への資金提供~資金運用体制の抜本的見直しを』をFair Finance Guide Japanから出しました(この企画提案、執筆・編集の一部を印鑰が担当しました)。ぜひ、ダウンロードして読んでいただきたいです。拡げていただけるとありがたいです。 “年金とアマゾン破壊の関連を問う” の続きを読む
食料危機・気候危機に対処するためにローカルフードへ
参院選が終わった。ますます世界に背を向ける日本になってしまった。気候危機も食料危機も関係ないかのよう。でも実際にはこの危機は私たちを確実に痛みつけているし、今後、さらに加速することは確実だ。
確認しておこう。米国の化学肥料価格指数は今なお高騰状態でBloomberg系のサイトで、2002年の100から現在の889.6と8倍を超えており、2年前の数値と比べても、2.76倍と3倍近い数値を示している。3割上がったとかではなく、一桁上の3倍近い異常なレベルで高留まっている(1)。
世界の穀物生産はウクライナ戦争だけでなく、気候危機によって大きな影響を受けている。それに加えて、化学肥料が買えない事態になればどうなる? “食料危機・気候危機に対処するためにローカルフードへ” の続きを読む