京都府がフードテック・スマートバレー計画

 ソリューション・ウオッシュとでも呼ぶべきか? 危機や困難な状況を解決しますよ、という名目で、政府や地方自治体の予算をつぎ込ませようとしている。でも、できようとしているのは新たな「原発村」の類? 問題は解決するどころかむしろ深刻化し、予算は枯渇して本当の危機に対応できなくなる…。
 何の話かというとフードテックのことだ。今、地方自治体がフードテック企業の誘致に走り出している。フードテックにはさまざまなものが含まれる。スマートキッチンやらフードロスを減らす技術も入るが、「ゲノム編集」食品企業や細胞培養肉・植物・菌の企業も。フードロスを減らす技術はいいとしても、今後の食・農業・社会を大きく変質させてしまう可能性のある技術を使う企業群に何の議論もなく、予算をつぎ込んでしまうというのは問題ではないか?
 しかも、その中心に京都がなってしまうかもしれない。京都府はフードテック・スマートバレー計画を打ち出して、南田辺西地区(京田辺市)にけいはんな学研都市を作り、フードテック企業を誘致し、産学官民でフードテック開発を進めるという(1)。 “京都府がフードテック・スマートバレー計画” の続きを読む

気候危機を止める食と農:COP27を前に国際的市民と自治体の連帯

 気候危機がいよいよ深刻化する中、COP27(国連気候変動枠組条約第27回締約国会議)が人権侵害の懸念の大きいエジプトで始まった。気候危機を作り出す真犯人が救世主の振る舞いをしていることを見抜く必要がある。そして、食を地域で変えることで気候危機を克服することができることを多くの人が世界で認識し始めている。 “気候危機を止める食と農:COP27を前に国際的市民と自治体の連帯” の続きを読む

年金とアマゾン破壊の関連を問う

 アマゾン森林がもう終わってしまうかもしれません。膨大な生物多様性を保持するアマゾン。世界の生態系にも大きな影響を与える森林がこのままではなくなり、サバンナや砂漠へと変わっていくかもしれません。そうなれば、気候変動はもちろん、ここにしかいない生物は絶滅し、それと共に未曾有の感染症に人類は脅かされることでしょう。その破壊の火に油を注いでいるのが日本の年金なのです。
 その破壊の実態を現地の市民団体が明らかにした調査を元に、調べ、日本との関わりを明らかにしたレポート『年金とアマゾン破壊の関連を問う~大手牛肉加工企業への資金提供~資金運用体制の抜本的見直しを』をFair Finance Guide Japanから出しました(この企画提案、執筆・編集の一部を印鑰が担当しました)。ぜひ、ダウンロードして読んでいただきたいです。拡げていただけるとありがたいです。 “年金とアマゾン破壊の関連を問う” の続きを読む

食料危機で日本はどう変わるか?

 なぜ、日本のメディアは大騒ぎしないのか。かつてない危機が日本に迫っている。その危機は他の先進国には存在していない。先進国の中では日本だけだ。食料危機である。ファイナンシャルタイムズはこう警鐘を鳴らす。「以前からその兆候はあったが、日本は一時的な現象と考えて行動を起こさなかった。今からコースを変えるには遅すぎるかもしれない」(1) “食料危機で日本はどう変わるか?” の続きを読む

米国政府がローカルフードを支援に「農場から学校へ」

 なんと米国政府が「農場から学校へ(Farm to School)」を後押し!
 新型コロナウイルスのパンデミック、さらにはウクライナ戦争でグローバルな食のシステムが揺らいでいる。グローバルな食のシステムに依拠せずにローカル(地域)の食のシステムを作らなければ、という声は世界中で出ている。そして、このグローバルな食のシステムを世界に押しつけてきた当の米国政府がなんと「学校のためのローカルフード協力合意プログラム(the Local Food for Schools Cooperative Agreement Program、LFS)」を始めるようだ(1)。
farm to school
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核の冬と日本の食料危機

 衝撃的な数値だ。日本の餓死者が世界の餓死者の3割を占める。日本の食料保障の現実はアフリカ諸国よりも脆弱だったとは。
 核戦争が起きると直接放射線被ばくで死ぬ人の十数倍の人が食料難で餓死すると想定されている。核爆弾による粉塵による被害と食料輸入が止まって2年で食料供給が尽きる。比較的少ない核兵器が使われた核戦争でも日本は6割が餓死。そのレベルの核戦争ではアフリカの多くの国は影響をうけないのに、日本は大半が餓死する。もちろん、先進国の中で、それは日本だけ。世界の餓死者の約3割はなんと日本(1)。米国の大学研究チームによるシミュレーションに過ぎないが、そこまで日本の食料事情は脆弱であると指摘されていることはしっかり受け止める必要がある。
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細胞農業は羊頭狗肉

 培養肉をめぐる動きが加熱している。でもその熱は新たな技術の可能性による熱狂ではなく、独占を実現できそうだと幻想を持つ投資家の熱狂に過ぎないようだ。この技術への幻想が晴れれば市場が崩壊するのは間違いなさそうである。問題なのは、この騒動にわたしたちの税金が投入されようとしていることだ。しかも、ろくな議論もなく、責任もはっきりしない形で。
 細胞培養肉とは幹細胞を取り出し、それをバイオリアクターで細胞分裂させて培養して肉にしていくものだ。動物を殺さなくても肉が作れるから動物愛護になるとか、牛のゲップのような気候変動ガスを作らずに肉が作れるから気候変動対策になるとか、食料危機対策になるとか、抗生物質使わずに安全な食ができるとか宣伝されている。しかし、実際にはそれとはほど遠い現実が見えてきた。そのギャップを埋めてくれる上で貴重な情報がある(1)。もし、あなたが大金持ちで将来性のある産業に投資したいというのであれば、ちょっと長いが、この情報は必ず目を通すべきだ。培養肉関係はやめておくという結論になるだろう。 “細胞農業は羊頭狗肉” の続きを読む