年金とアマゾン破壊の関連を問う

 アマゾン森林がもう終わってしまうかもしれません。膨大な生物多様性を保持するアマゾン。世界の生態系にも大きな影響を与える森林がこのままではなくなり、サバンナや砂漠へと変わっていくかもしれません。そうなれば、気候変動はもちろん、ここにしかいない生物は絶滅し、それと共に未曾有の感染症に人類は脅かされることでしょう。その破壊の火に油を注いでいるのが日本の年金なのです。
 その破壊の実態を現地の市民団体が明らかにした調査を元に、調べ、日本との関わりを明らかにしたレポート『年金とアマゾン破壊の関連を問う~大手牛肉加工企業への資金提供~資金運用体制の抜本的見直しを』をFair Finance Guide Japanから出しました(この企画提案、執筆・編集の一部を印鑰が担当しました)。ぜひ、ダウンロードして読んでいただきたいです。拡げていただけるとありがたいです。
 

 アマゾンの森は今、私たちがどうするのかにかかっていると言ってもいいでしょう。残念ながらほとんど日本では報道されませんが、日本はアマゾン破壊に深く関わっています。アマゾン破壊の前史はアマゾンの水源でもあるセラードの開発です。セラードの水源は大規模に破壊され、アマゾンの乾燥化をもたらしているだけでなく、セラードで栽培される大豆(ほとんどが遺伝子組み換え)の輸送のためにアマゾンが破壊されます。そして、セラードの地にあった放牧地がアマゾンに移動し、アマゾンの森が焼かれます。アマゾン森林を破壊して作られた牧場で養われた牛を販売することは違法行為ですが、直接出荷するのではなく、問題ない牧場にいったん移して、その牧場から出荷する牛ロンダリングをすることで、世界最大の食肉企業JBSなどは問題なしとしてその肉を売っていることが明らかになりました。そしてこうした企業に日本の年金基金から多額の投資が行われています。
 
 このアマゾン破壊の問題は世界各国で盛んに取り組まれており、アマゾン破壊を進める現在のボルソナロ政権に対する援助を止めた国も出ました。そしてヨーロッパの6つの流通企業はブラジル産牛肉がアマゾン破壊に関わっているとして、その販売を停止しました。
 しかし、日本政府は逆にこのボルソナロ政権を積極的に支持し続けています。世界と真逆を行く日本政府に対してマスコミは批判を一切していないばかりか、朝日新聞はブラジルの肉を食べることとアマゾン破壊は関係ないかのような記事を出しています。さまざまな調査とも真っ向から矛盾する報道が日本ではまかり通っているのが日本の悲しい現状です。
 
 10月30日はブラジル大統領選決選投票の日です。現大統領のボルソナロ政権は就任以降、違法な開発も容認し、アマゾン開発を進め、その結果、アマゾン破壊は73%増えました。一方、元大統領のルラ政権では70%も森林破壊が減少しました。大統領候補のルラはボルソナロに10%以上リードしていましたが、開発勢力が金をつぎ込む中で、そのリードは5〜6%に縮まってきています。何があるのか、わかりませんが、もしボルソナロ政権が続けば、アマゾンを守ることはきわめて難しくなる、それほど今回の選挙は重要なものです。
 ブラジルの選挙結果にかかわらず、日本のアマゾン破壊への加担を一日も早く終わらせたいと思います。ぜひ、この事実を一人でも多くの人に伝えてください。
 
 そして問題だらけの日本の年金改革の必要をいっしょに訴えてください。よろしくお願いいたします。

年金とアマゾン破壊の関連を問う
https://www.fairfinance.jp/media/syzeo20v/pension-amazon2022.pdf

関連報告書
調査:オランダと日本の年金がアマゾン森林を破壊する

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