公的種苗制度ともう1つの種苗制度の確立に向けて

 種苗法改正は問題だ、とこちらは書き続けているが、一方で、種苗法改正ではそんなに変わらない、問題じゃない、いや賛成だと言っている農家の方たちも存在する。この種苗問題を紐解いていくと驚くほどの分断がある。それゆえ、その分断を超えて行動することは容易ではない。まず栽培している品種によって状況が違いすぎる。品種開発をする側の農家と使う側の農家も一見利害が対立するようにも見える。でも問題を紐解いていけば解決策は見えてくると思う。どんな問題があるのかを見てみたい。 “公的種苗制度ともう1つの種苗制度の確立に向けて” の続きを読む

種苗法+特許法:育成者権と特許権による種苗企業の知財権強化は何をもたらす?

牧田寛氏(元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授)のこのツイート

 ぐさりと響く。停滞を続け、この停滞からの脱出方法も見えなくなっている日本でその現実を見ようとしない人たちが多い中、事態を改善させるためにはやはり現実から出発しなければならない。このツイートで思い出したのはこのグラフ。 “種苗法+特許法:育成者権と特許権による種苗企業の知財権強化は何をもたらす?” の続きを読む

「ゲノム編集」種子の後代交配種は「ゲノム編集」ではない?

 「後代交配種、販売前届け出求めず−ゲノム編集作物の“子孫”」
https://this.kiji.is/687247960347903073?c=395501877279457
 厚生労働省のこの決定がどれほど日本の現在・未来を危うくするか。まず何を意味するのか、見てみよう。要するに「ゲノム編集」された作物は届け出する(義務ではない)。でもそれを親に作った品種は届け出すら不要。そして、この後者を流通させることにすれば消費者はまったく政府が公表する情報で「ゲノム編集」食品を避けることは不可能になるという仕組みである。こんなことを許したら食のあり方を決定する手段すら奪われるということになる。 “「ゲノム編集」種子の後代交配種は「ゲノム編集」ではない?” の続きを読む

中国・韓国に置いて行かれる日本:新品種育成で大幅減退

 SankeiBizが9月25日にこんな報道をしている。
「農水相が種苗法改正案の早期成立言及 中韓で36品種販売を受け」
 中韓で日本の品種が無断で使われたから、種苗法を改正しなければならない、と結論付ける記事になっている。しかし、本当にそうか? “中国・韓国に置いて行かれる日本:新品種育成で大幅減退” の続きを読む

届け出すら不要な「ゲノム編集」種苗・食品:後代交配種

 届け出すら不要とされる「ゲノム編集」食品・種苗が出てくる可能性があることをご存じだろうか?
 しかも、厚労省の担当官によれば届け出されて公表された「ゲノム編集」食品が公表された通りに世の中に出ていくことは基本的になく、流通するものは届け出の対象とならないものになると断言している(1)。 “届け出すら不要な「ゲノム編集」種苗・食品:後代交配種” の続きを読む