来週火曜日からゲノム編集食品(=ゲノム破壊食品)が解禁され、一切表示されずに流通できるようになる。
いよいよ4大遺伝子組み換えメジャーのコルテバ・アグリサイエンス(元ダウ・デュポン)がゲノム破壊トウモロコシを日本向けに輸出するために届け出を年内にするという。バイエル(モンサント)も続々と出してくるだろう。表示も規制もないのだから。行き詰まりを見せていた遺伝子組み換え企業が突破口をつかもうとしている。同時に日本の遺伝子組み換え食品表示も骨抜きに変えられようとしている。
もはや、消費者には遺伝子操作食品を避ける手段はないのだろうか? まったくできなくなるわけではない。まだまだゲノム破壊食品は数は少なく、原料1つ1つ、トレースしていき、ゲノム編集されたものが使っていないかを確認すればいいことになる。
政府が届け出を義務化していないため、100%情報が掲示されるかどうか不確かであり、特に種子にも何も表示されないから、遺伝子操作された種子を知らぬうちに買ってしまうケースも今後は出てくるかもしれない。そうなれば余計にトレースが困難になる。しかし、信頼できる種子を使えば、それも避けることは可能なはず。
米国ではどうなるだろうか? 米国にはいくつもの認証が共存している。1つの商品に複数の認証マークが付くのはもう当たり前になってきている(認証を取る手間などを考えると大変だと思うが)。たとえば政府系の認証であるUSDA Organicはもしかすると今後、ゲノム編集を含んでしまう可能性がある(それを止めるために今、市民組織などは懸命に運動展開しているが)。一方、民間の認証であるNon-GMO Projectはゲノム編集を遺伝子組み換えとして扱う。だからNon-GMO Projectの認証マークのついたものを選ぶことで米国ではゲノム編集を避けることができるだろう。
これは日本でも同様に取り組むことはできるはず。つまり民間の代替認証団体を立ち上げ、ゲノム編集を含む遺伝子組み換えを使わないものだけに認証マークを付けるようにすればいい(残念だけど日本では食品表示法の改悪で、Non-GMO Projectのような表現が付けられない[遺伝子組み換え0%でなければNon-GMOと表記させないように改悪された。ほんのわずか0.01%でも検出されたら虚偽表記にされてしまう。これでは実質的に遺伝子組み換えを避ける手段が消えてしまう]という制限があるが、内実は取ることができる)。
もちろん、有機の制度が改悪されないようにまずは力を注ぐ必要があるし、いったん解禁されてしまうゲノム編集食品もやはり表示を義務付けるよう働きかける必要がある。現にゲノム編集食品が引き起こしうる問題は次々と知られるようになってきている(時間が無いので紹介仕切れないのが残念だが時間を見つけてまとめていきたい)。そうした懸念が高まれば義務化せざるをえなくなるのは時間の問題だろう。
しかし、一方で、日本でも米国のような民間認証団体を設立しなければならない時になってきているのではないだろうか? もし日本にもNon-GMO Projectのような認証団体があれば、遺伝子操作食品を避けることが可能になるのだから。政府が変わることを待っていたら、どれだけの被害が大きくなるか、わからない。これまでは個々の生協などで独自の認証がこれまでされてきたけれども、生協以外の場面ではほとんど知ることができないのが現状。
日本社会全体で使える認証団体ができることで、遺伝子操作されていない食品を選べる方法を社会に提供できればすべてにおいて大きな変化を作り出すことができると思う。この危機を好機に変えることもできるかもしれない。もっともそう言うほど簡単なことではないし、時間も必要だと思うが、それなしには現在の日本の食を変えていくのは困難なのではないだろうか?
(写真はサンフランシスコのスーパーにて。複数の認証マークの付く食品たち。もうちょっとうまく撮れよ>オレ。小さくてよく表示が見えない。緑の丸いマークがUSDA Organic。右の焼き豆腐はUSDA Organic とNon-GMO Projectの認証を受けている)