遺伝子組み換えは従来の種子に代わり、今年以降、これまでよりもさらに危険性を増す可能性の高いものが登場しようとしている。ダウの枯れ葉剤耐性大豆やモンサントの第二世代ラウンドアップ耐性大豆(RR2 Intacta)などである。
10月10日、ブラジルで最大の大豆の生産地であるマトグロッソ州連邦裁判所はモンサントが大豆生産農家に第二世代ラウンドアップ耐性大豆(RR2 Intacta)の取り引き条件を課すことを禁止する判決を下した。
わかりにくい言い方だが、これには以下のような経緯がある。
ブラジル最高裁はモンサントの従来のラウンドアップ耐性大豆(RR1)の特許がすでに2010年8月31日に切れていると判決した(2012年10月)。マトグロッソ州の大豆農家たちはそれ以降にも徴収されていたロイヤルティが無効であるとして返還を求めていたが、モンサントはそれに応じず、新しいRR2を契約した農家に対してRR2のロイヤルティをディスカウントするという条件を農家に返してきた。今回の判決はその条件を課すことを禁止する判決である。
このRR2はオオタバコガという害虫に対して殺虫性を持つ。しかし、奇妙なことに昨年の収穫期までオオタバコガはブラジルには存在していなかった。「RR2の登場と共にそれまで存在していなかったオオタバコガが出現してくるというのは奇妙な一致だ」とオーランド・ジュリオ弁護士は語る。
つまり、RR2は大豆生産の必要性から出てきたものではないのだ。パラグアイで数日前に会った農業技師もRR2はまったく必要ないのに導入されるとぼやいていたが、そもそも必然性は大豆生産農家の側にはない。特許無効でロイヤルティを徴収できなくなったモンサントがロイヤルティ回収のためだけに作り出されたものだということがこのエピソードからもわかる。
そして、この殺虫性を加えることによって、大豆の危険性は高まるだろう。それまでのRR1にはなかった殺虫性、カーン大学で殺虫性遺伝子組み換えトウモロコシで餌付けされたラットに大きな腫瘍が出たとして危険性を指摘されているものと同様の危険がある可能性もある。
モンサントの利益のために、大豆農家もそしてそれを食べる(家畜や加工食品を通じて)消費者は犠牲になれ、ということである。
こうした中、ブラジルの裁判所が示したこの判断、マトグロッソ州内に有効性が留まるようだが、大きな反響を生む可能性がある。
RR2大豆の輸入を日本政府は禁止すべきである。