昨年、EUはモンサント(現バイエル)の農薬ラウンドアップ(主成分グリホサート)の使用を10年再承認した。実際には加盟国の過半数の賛成を得られず、再承認も禁止も過半数にいかなかったため、欧州委員会の判断に任されて、10年の再使用が承認されたということになる。
この決定に対して、農薬問題で活動する6つのヨーロッパのNGOが欧州食品安全機関(EFSA)と欧州化学機関(ECHA)を相手に訴訟を起こした。その名も「グリホサート大訴訟」(The Great Glyphosate Court Case)。その具体的な一歩を踏み出した。 “EUでグリホサート大訴訟がスタート! 米国の訴訟含めバイエルはより窮地に” の続きを読む
欧州議会環境委員会、「ゲノム編集」生物解禁方針を承認するも行き先は不透明
1月24日、欧州議会の環境委員会で、NGT、新ゲノム技術(「ゲノム編集」のこと)によって改変された生物の規制緩和案が承認された。欧州では2018年7月にNGTによる生物は遺伝子組み換え生物として規制すべきとする欧州裁判所の決定が出て以来、その自由な流通は認められていない。
その決定を覆そうとバイオテクノロジー企業はロビー活動を強めてきた。その規制緩和案は賛成47、反対31、棄権4で委員会で承認され⁽¹⁾、2月5~8日に開かれる予定の本会議に提出される予定だが、実際には現在の提案に対する反対は根強く、簡単に採決されてしまうような状況にはないようだ。 “欧州議会環境委員会、「ゲノム編集」生物解禁方針を承認するも行き先は不透明” の続きを読む
このままでは日本は汚染列島に。下水汚泥肥料には注意。
ウクライナへの戦争以降、化学肥料原料の不足・高騰が大問題となった。農水省は国交省と組んで、下水汚泥の肥料への活用を進め、全国の下水処理場でその施設の建設・増強が進み、安い下水汚泥肥料の利用が増えている。家庭菜園用に売られている肥料でも使われている可能性がある。
でも、この下水汚泥肥料(コンポスト肥料)を使うと何が起きるか、すでにわかっていることがある。その土壌中にカドミウムや作物中のカドミウムが増える、そしていったん入ったカドミウムは簡単に消えていかなくなるとする報告がある⁽¹⁾。 “このままでは日本は汚染列島に。下水汚泥肥料には注意。” の続きを読む
「遺伝」を超えてー継承と多様性のgen
言葉の問題は大きい。今回は「遺伝」という言葉。
「遺伝する」というと日本語では親の影響が現れるという意味に取られるだろう。親からの継承というニュアンスになる。しかし、この言葉の元はgenだ。genはgenerate、生み出す、生成するという意味を持つ。地球に生まれた単純な生命はどんどん多様化し、新たな生命が生み出され、豊かになってきた。それを科学することが遺伝学(genetics)であり、それは親から子に継承されるものと同時の新たに親にないものを生み出すメカニズムを解き明かす、つまり継承と多様性というそれ自身、互いに矛盾し対立するような2つの方向を包含する学問である⁽¹⁾。 “「遺伝」を超えてー継承と多様性のgen” の続きを読む