世界でモンサント(現バイエル)の農薬ラウンドアップ(主成分名グリホサート)に対する動きはまったく止まるところがない。米国に続いてカナダでもラウンドアップに対する集団訴訟が始まる。ケベック州を除くカナダ全土で、ラウンドアップに曝されて非ホジキンリンパ腫になった人はこの集団訴訟に参加できる。
カナダでモンサント(バイエル)に対する訴訟は2019年12月に開始されたけれども、12月11日、オンタリオ州上級司法裁判所がバイエルに対する集団訴訟を認定した(1)。なぜ集団訴訟かというと個々の裁判では追い切れないほどの被害者が出ているということだ。 “カナダでモンサント(バイエル)に集団訴訟” の続きを読む
アグロエコロジー・セミナーで感じた違和感
アグロエコロジーの教科書が日本語で出版されたということで、アグロエコロジーをテーマとするセミナーがいくつも行われた。その一つに参加してみたけれども、違和感を感じざるをえなかった。そのセミナーではアグロエコロジーとは単に自然と調和した農業、というイメージしか感じられなかったからだ。でもアグロエコロジーについてその意義をここ10数年紹介してきた僕にとって、アグロエコロジーとは到底、そんな枠組みに収まるものではありえない。何が欠けているのか考えてみたい。 “アグロエコロジー・セミナーで感じた違和感” の続きを読む
重イオンビーム放射線育種は実質日本だけーコシヒカリ環1号、あきたこまちR問題を考える
重イオンビーム育種米問題は、放射線育種として伝わってしまったため、幾重にも誤解が広がった。「放射線育種なら以前から世界各地でやっていたから問題ないんじゃないか?」など。でも以前からやっていたガンマ線を使った放射線育種は実質的にすでにもう終わっている。今回、登場した品種はそれとは違う重イオンビームを使ったもの。
重イオンビームはガンマ線と比較にならないほど1点にあたる破壊力が強い。ガンマ線があたっても遺伝子が直接傷つくことは稀で、細胞内で活性酸素(フリーラジカル)が作られて、それが細胞を傷つけ、突然変異が生まれるケースが大半とのこと。それに対して、重イオンビームはイオンが遺伝子の2重鎖を切って破壊していく。同じ技術というにはあまりに違いが大きすぎる。 “重イオンビーム放射線育種は実質日本だけーコシヒカリ環1号、あきたこまちR問題を考える” の続きを読む
「ゲノム編集」魚養殖のリージョナルフィッシュ社が国内外に拡大?
拷問養殖として批判される「ゲノム編集」魚が都内のレストランに。「ゲノム編集」魚養殖を進めるリージョナルフィッシュ社のタイ進出は政府が完全バックアップ。
「ゲノム編集」魚養殖を進めるリージョナルフィッシュ社がタイへの進出で現地でも報道があったが、この動きの背後には日本政府の支援がある。公金が使われている。 “「ゲノム編集」魚養殖のリージョナルフィッシュ社が国内外に拡大?” の続きを読む
バイエル、5回連続敗訴。農薬ラウンドアップ裁判で350万ドルの賠償
フィラデルフィアの民事裁判所でケリー・マーテルさんが非ホジキンシンパ種となったことでラウンドアップが原因であるとして訴えたことに対して裁判所は10対2で350万ドル(約5億円)の賠償を命じる判決を下した(1)。
ラウンドアップ裁判は3回連続、モンサント・バイエルの責任を認める判決が続いた後、バイエルの巻き返しがあり、9回訴えが退けられたが、これで5回連続、バイエルの責任を認める判決が続いたことになる。 “バイエル、5回連続敗訴。農薬ラウンドアップ裁判で350万ドルの賠償” の続きを読む
朗報:EU、「ゲノム編集」規制緩和案、承認されず。
EUが「ゲノム編集」(NGT)食品の無規制流通を認めてしまうのではないか、と11日は悲観的な観測を元に投稿した(1)。遺伝子組み換え企業が莫大な資金を投じてEU加盟国の買収し、2018年の欧州裁判所の判決を覆す欧州委員会の見解を発表し、昨年夏には規制緩和に向けた提案を行っており、その採決が年末という状況の中で、情勢は厳しいと考えたからだ。国内では圧倒的な反対であるにも関わらず、政府は賛成してしまう、そんな対応が多く、今後、大変な事態を覚悟した。でも結果は「ゲノム編集」規制緩和提案の承認に必要な過半数が得られず、年内の交渉は終わり。来年の攻防に舞台は移されることになった。 “朗報:EU、「ゲノム編集」規制緩和案、承認されず。” の続きを読む
EUが「ゲノム編集」作物規制緩和? 懸念される農薬増加
本日11日、欧州議会農業委員会とEU加盟国は「ゲノム編集」食品の規制なしの流通を認める案を認めてしまう可能性が高い。この背景にはバイエル(モンサント買収企業)やBASFなどの遺伝子組み換え企業を先頭とするBig Ag(巨大アグリビジネス企業)のロビー活動があり、まさにEUが彼らに買収されていることを示すことになってしまうかもしれない(1)。 “EUが「ゲノム編集」作物規制緩和? 懸念される農薬増加” の続きを読む
COP28は最初の食のCOPに!? 食を変えるこそ気候危機対策の柱
気候危機に対処するためのCOP28(国連気候変動枠組条約第28 回締約国会議)が予定された会期の終わりに近づいている。気候危機というと化石燃料をどうするか、ということが大きな焦点だ。石油や石炭消費をどう止めるか、これが重要であることは疑いない。けれども、近年のCOP会議で焦点の1つになり始めているのが食・農業である。なぜかというと食のシステムは温暖化効果ガスの3分の1を直接排出、間接に排出しているものも含めるとほぼ半分を占めるとも言われる。つまり気候危機を解決するには食を変えなければならない。
またたとえ排出を減らしたとしてもすでに大気は温暖化効果ガスで満ちており、気候危機は止まらない。大気中に放出された温暖化効果ガスは地球の気候を不安定にし続けるからだ。しかし、世界大で生態系を守る農業に転換することで地球上の最大の炭素の保存庫である土の力を取り戻し、炭素を蓄積する力を回復させることで、食は気候危機を緩和させていくこともできる。だからこそ、食の問題は気候危機対策の中心に躍り出ざるをえないのだ。 “COP28は最初の食のCOPに!? 食を変えるこそ気候危機対策の柱” の続きを読む