「ゲノム編集」の問題について続々と新情報。政府や企業などゲノム編集」推進側が流す情報とあまりに異次元。推進側は「ゲノム編集」によって起こる変化は自然界でも起きていることと同じだという。確かに紫外線や自然放射線に生物は曝され続けていて遺伝子が壊れて、変異することは起きる。でもこれは長い進化の中で、その変異から守る仕組みも発達させてきている。
ところが「ゲノム編集」はその防御の仕組みをかいくぐって遺伝子を破壊する。問題は遺伝子だけに留まらない。ゲノムの中の遺伝情報がコーディングされている遺伝子はわずか2%に過ぎず、以前は残りをジャンク(ゴミ)と呼んできた。しかし、残りの部分が遺伝子発現に大きな役割を果たしていることもわかってきた。まったく同じ遺伝子を持つ細胞でも、あるものは心臓になり、あるものは目になる。これはDNAメチル化によって可能になる。DNAメチル化はゲノムに入り込んできたウイルスの遺伝子の発現を抑制したり、ガン化にも大きな関わりがあるという。このDNAメチル化をCRISPRを使った「ゲノム編集」は変えてしまうというのだ(1)。 “政府が見逃す「ゲノム編集」が作り出す問題” の続きを読む
農水省の「ゲノム編集」シンポジウム
本日行われた農水省の「ゲノム編集技術を用いた農林水産物を考えるシンポジウム」、予想通り推進側だけの一方的内容、今、世界で「ゲノム編集」にぶつけられている問題には一切触れず、これまでの繰り返しの古い説のオンパレードで新しい発見はなし。批判も封じて、消費者とコミュニケーションと言われてもなぁ。
大きな問題だと思ったのは「ゲノム編集」による想定外の変異について、オフターゲット変異だけに絞っていたこと。オフターゲットについては現在、遺伝子操作方法の改善もあり、発生の低減も見られているけど、一方で、オンターゲット(狙い通り)の遺伝子破壊ができた場合でも想定以外の変異が起きていること、そして遺伝子の大量欠損とそれに伴う変異が起きるケース、さらにDNAの破壊以外にもエピジェネティックな機構の損傷の問題も指摘されており、これらは手が打てていないのが現状だろう。
うまく行っている部分だけ宣伝しているだけで、あまりに内容的に乏しかった。
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「ゲノム編集」飼料後代交配種の方針あっさり転換
本日、農水省で飼料に関する分科会が開かれた。またもや新たなバイエル(モンサント)の、ラウンドアップ(グリホサート)はもちろん、バイエルのバスタ(グルホシネート)、今、米国で大騒動になっているジカンバ、ベトナム戦争の枯れ葉剤の主成分の2,4-Dというなんと4つ悪名高い農薬に耐性のある遺伝子組み換えトウモロコシに加え、「ゲノム編集」飼料の届け出の変更などが承認された。
あまりにあんまりな会議。オンライン会議と思ったら霞ヶ関まで出かけていかなければならない。直接聞けるならまだいいのだけど、通されたのはスクリーンにオンライン会議が映し出されているだけの部屋。それだったらインターネット通じて自宅で聴けるようにしてくれよ(要するに公開はできるだけしたくないんでしょう。どんな会議か知ったらみんな本当に呆れるから)。音声は聞き取りにくく、右翼の街宣カーや庁舎内に流されるラジオ体操の音に邪魔されるという環境。でも環境以上にすごいのが会議の中身。いつものことなのだけど、資料読み上げて、「意見ありませんか? ありません。どうもありがとうございました」、で基本終わるのだ。一言も話さなかった委員もいただろう。これに税金、いくらかけているのか? いや、そんなことない。「えん麦」か「エンバク」か統一せよというとても貴重な意見が出ていたではないか…(ため息)。これが世界でもっとも〇〇な日本の規制の実態。ニッポン、スゴイ!
愚痴はここまでにして、大きな問題を書いておく。 “「ゲノム編集」飼料後代交配種の方針あっさり転換” の続きを読む
「ゲノム編集」は世代を超えて想定外の影響を与える可能性が明らかに
CRISPR-Casによる「ゲノム編集」(遺伝子組み換えVer.2)は意図しない傷をDNA以外のゲノムに残し、遺伝子発現に影響を与え、それは世代に渡って継承され得ることが明らかに(1)。
「ゲノム編集」は意図しないDNAの破壊を生むことがあると指摘されるが、この研究が示すのはDNAそのものの破壊ではない。DNAの変化によらない遺伝子発現の変化に関わるもの、つまりエピジェネティックな変化であり、世代に渡って影響を与える可能性がある。 “「ゲノム編集」は世代を超えて想定外の影響を与える可能性が明らかに” の続きを読む
「ゲノム編集」トマトの問題点
とうとう「ゲノム編集」されたトマトが厚労省と農水省に届け出された(1)。開発した筑波大学の研究者であり、その研究からできた「ゲノム編集」トマトの品種を売るサナテックシード株式会社取締役である江面浩氏によると、届け出後、試験栽培した種子を農家に渡し、すぐに商業栽培が始まるという。ただ、まだ種子の増殖段階なので、トマトの出荷はもう少しかかるとのこと。
まず第1に押さえておきたいのは、これはアドバルーンではないかということ。つまり本格栽培される「ゲノム編集」作物の本命はこれを親にして作られる後代交配種ではないかということ。そしてこのトマトは「健康にいいGABAを含む消費者にとっていい技術なんだ」ということを刷り込むために打ち上げられた広告塔に使われるのではないだろうか? “「ゲノム編集」トマトの問題点” の続きを読む
「ゲノム編集」トマト、種苗法改正案成立直後に
「ゲノム編集」されたトマト、国に販売に向け相談をしたとの報道。実際の販売はまだ先になるとしても、国内でいよいよ遺伝子操作食用作物の栽培が始まってしまうかもしれない。 “「ゲノム編集」トマト、種苗法改正案成立直後に” の続きを読む
「ゲノム編集」種子の後代交配種は「ゲノム編集」ではない?
「後代交配種、販売前届け出求めず−ゲノム編集作物の“子孫”」
https://this.kiji.is/687247960347903073?c=395501877279457
厚生労働省のこの決定がどれほど日本の現在・未来を危うくするか。まず何を意味するのか、見てみよう。要するに「ゲノム編集」された作物は届け出する(義務ではない)。でもそれを親に作った品種は届け出すら不要。そして、この後者を流通させることにすれば消費者はまったく政府が公表する情報で「ゲノム編集」食品を避けることは不可能になるという仕組みである。こんなことを許したら食のあり方を決定する手段すら奪われるということになる。 “「ゲノム編集」種子の後代交配種は「ゲノム編集」ではない?” の続きを読む
「ゲノム編集」による生態系撹乱をどう止めるのか?
ノーベル化学賞に米と独の研究者2人「ゲノム編集」新手法開発(1)
CRISPR-Cas9による「ゲノム編集」の手法を開発したエマニュエル・シャルパンティエ氏と、ジェニファー・ダウドナ氏がノーベル化学賞とのこと。 “「ゲノム編集」による生態系撹乱をどう止めるのか?” の続きを読む