遺伝子組み換え作物による遺伝子汚染

 遺伝子組み換え作物の商業栽培が始まって25年。その負の影響はもはやさまざまな分野で明らかになっているが、その最大の問題の1つが、遺伝子汚染だと言えるだろう。この問題は「ゲノム編集」ではさらに危険になると言わざるを得ない。この問題を解決しないで、「ゲノム編集」作物の栽培は許されてはならない。
 モンサントなどによって世に出された最初の世代の遺伝子組み換えトウモロコシ、40を超える品種がスクラップになろうとしている。なぜかというと、もはや無用の長物でしかないからだ。虫が食べたら虫が死ぬようなタンパク(Bt毒素)を作り出すように遺伝子組み換えされたトウモロコシが作られているが、このBt毒素に対して虫たちは耐性をつけてしまったのでその品種はもはやまったく意味がない。遺伝資源としても保持する意味がない。
 でも、スクラップにしようとしても、商品棚から外すだけで、話は済まない。というのもその遺伝子は花粉の飛散によって在来種にその遺伝子を移してしまっているからだ。 “遺伝子組み換え作物による遺伝子汚染” の続きを読む

EUの「ゲノム編集」食品規制はどうなるか?

 これまで「ゲノム編集」作物でさんざん騒ぎながら、市場に出たものは米国Calyxt社の大豆だけで、今後出ることが決まっているのも日本のサナテックシード社のトマトしかない(1)。でも、それは従来の遺伝子組み換えと同様に規制する方針を出したEUの存在があったからだと言えるだろう。そのEUで欧州委員会が4月29日、規制緩和に向けた報告書を出した。これは一気に「ゲノム編集」が世界に出てくる前提になりうるもので懸念が世界で表明されている。日本にも影響は必至だろう。 “EUの「ゲノム編集」食品規制はどうなるか?” の続きを読む

ひどい日本の「ゲノム編集」食品報道

 この報道には絶句した。日本の知的水準が現れているのか? 日本の民主主義の民度の反映なのか、とにかくひどい。
 TBSが扱う「SDGs」。なんと「ゲノム編集」でSDGs(持続可能な開発目標)。なぜ「ゲノム編集」が社会の持続性を高められるのか? 食料不足を解消できるのか? ここには論理の飛躍がありすぎる。 “ひどい日本の「ゲノム編集」食品報道” の続きを読む