鳥インフルエンザ、もう1つのパンデミックの解決策

 新年早々、2020年最後に書いた続きから始める。
 鳥インフルエンザも豚熱も近年になって急激に猛威を振るうようになってきた。その原因はわたしたちの毎日の食にある。わたしたちの食を変える時が来ている。遅すぎたということがないように。 “鳥インフルエンザ、もう1つのパンデミックの解決策” の続きを読む

農水省の「ゲノム編集」シンポジウム

 本日行われた農水省の「ゲノム編集技術を用いた農林水産物を考えるシンポジウム」、予想通り推進側だけの一方的内容、今、世界で「ゲノム編集」にぶつけられている問題には一切触れず、これまでの繰り返しの古い説のオンパレードで新しい発見はなし。批判も封じて、消費者とコミュニケーションと言われてもなぁ。

 大きな問題だと思ったのは「ゲノム編集」による想定外の変異について、オフターゲット変異だけに絞っていたこと。オフターゲットについては現在、遺伝子操作方法の改善もあり、発生の低減も見られているけど、一方で、オンターゲット(狙い通り)の遺伝子破壊ができた場合でも想定以外の変異が起きていること、そして遺伝子の大量欠損とそれに伴う変異が起きるケース、さらにDNAの破壊以外にもエピジェネティックな機構の損傷の問題も指摘されており、これらは手が打てていないのが現状だろう。
 うまく行っている部分だけ宣伝しているだけで、あまりに内容的に乏しかった。
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「ゲノム編集」飼料後代交配種の方針あっさり転換

 本日、農水省で飼料に関する分科会が開かれた。またもや新たなバイエル(モンサント)の、ラウンドアップ(グリホサート)はもちろん、バイエルのバスタ(グルホシネート)、今、米国で大騒動になっているジカンバ、ベトナム戦争の枯れ葉剤の主成分の2,4-Dというなんと4つ悪名高い農薬に耐性のある遺伝子組み換えトウモロコシに加え、「ゲノム編集」飼料の届け出の変更などが承認された。
 あまりにあんまりな会議。オンライン会議と思ったら霞ヶ関まで出かけていかなければならない。直接聞けるならまだいいのだけど、通されたのはスクリーンにオンライン会議が映し出されているだけの部屋。それだったらインターネット通じて自宅で聴けるようにしてくれよ(要するに公開はできるだけしたくないんでしょう。どんな会議か知ったらみんな本当に呆れるから)。音声は聞き取りにくく、右翼の街宣カーや庁舎内に流されるラジオ体操の音に邪魔されるという環境。でも環境以上にすごいのが会議の中身。いつものことなのだけど、資料読み上げて、「意見ありませんか? ありません。どうもありがとうございました」、で基本終わるのだ。一言も話さなかった委員もいただろう。これに税金、いくらかけているのか? いや、そんなことない。「えん麦」か「エンバク」か統一せよというとても貴重な意見が出ていたではないか…(ため息)。これが世界でもっとも〇〇な日本の規制の実態。ニッポン、スゴイ!
 愚痴はここまでにして、大きな問題を書いておく。 “「ゲノム編集」飼料後代交配種の方針あっさり転換” の続きを読む

「ゲノム編集」は世代を超えて想定外の影響を与える可能性が明らかに

 CRISPR-Casによる「ゲノム編集」(遺伝子組み換えVer.2)は意図しない傷をDNA以外のゲノムに残し、遺伝子発現に影響を与え、それは世代に渡って継承され得ることが明らかに(1)。
 「ゲノム編集」は意図しないDNAの破壊を生むことがあると指摘されるが、この研究が示すのはDNAそのものの破壊ではない。DNAの変化によらない遺伝子発現の変化に関わるもの、つまりエピジェネティックな変化であり、世代に渡って影響を与える可能性がある。 “「ゲノム編集」は世代を超えて想定外の影響を与える可能性が明らかに” の続きを読む

遺伝子組み換え作物安全神話の崩壊: Bt毒素は20倍も有害

 遺伝子組み換え作物の「安全」の虚偽がまた暴かれる。今度はBt毒素(殺虫毒素)が想定されていたよりも20倍も有害であることが明らかに。
 「安全」と宣伝されていたものが実はきわめて危険であることが数十年かけてわかってくる。環境にも健康にもとっても安全と言われていた農薬が実は腸内細菌も土壌細菌も損ない、さらには発ガン性があるばかりか、数世代後にも影響を与えることがわかってくる。実はそうした危険は製造メーカーはすでにとっくに知っているケースが多い。でもそれは伏せて、販売しまくる。モンサントはラウンドアップの毒性を社内の実験で数十年前につかんでいながら、社外で危険性の指摘があると根拠がないとして攻撃し続け、「安全」神話を守り続けてきた。 “遺伝子組み換え作物安全神話の崩壊: Bt毒素は20倍も有害” の続きを読む

「ゲノム編集」トマトの問題点

 とうとう「ゲノム編集」されたトマトが厚労省と農水省に届け出された(1)。開発した筑波大学の研究者であり、その研究からできた「ゲノム編集」トマトの品種を売るサナテックシード株式会社取締役である江面浩氏によると、届け出後、試験栽培した種子を農家に渡し、すぐに商業栽培が始まるという。ただ、まだ種子の増殖段階なので、トマトの出荷はもう少しかかるとのこと。
 まず第1に押さえておきたいのは、これはアドバルーンではないかということ。つまり本格栽培される「ゲノム編集」作物の本命はこれを親にして作られる後代交配種ではないかということ。そしてこのトマトは「健康にいいGABAを含む消費者にとっていい技術なんだ」ということを刷り込むために打ち上げられた広告塔に使われるのではないだろうか? “「ゲノム編集」トマトの問題点” の続きを読む

クローズアップ現代の報道の意義:日本の現実を見つめよう

 クローズアップ現代「世界でどう闘う?農産物のJAPANブランド」はとても画期的だったと思う。その理由第1。「モンサント文書」。実際に報道されたのは米国のラウンドアップ裁判でのモンサント社の社内文書(1)。モンサントは自社の研究でラウンドアップの人体への危険性は実際につかんでいながら知らせなかった。これがモンサントの敗訴の決定的な理由となっている。もっとも、番組の時間の多くを使っていたのはバイエル社による弁明で、衝撃は大いに弱められているが、実際に白血病になって訴訟を起こした人のインタビューやドウェイン・ジョンソン氏の裁判の映像含めて、流れたことは意義が大きい。 “クローズアップ現代の報道の意義:日本の現実を見つめよう” の続きを読む