食料危機を加速する遺伝子操作企業、公金を吸い続けなければ自らを維持すらできない。米国のAquaBounty社、遺伝子組み換えサーモンを開発するも、まったく売れず、ついにその卵の生産拠点のあったカナダのプリンスエドワード島の施設を売却、米国インディアナ州の施設も売却、オハイオ州に新規工場を作るとしていたが、その建設も中断。いよいよ破産、というところで、なんとカナダ政府とプリンスエドワード州政府がAquaBounty社に231,095ドルの資金供与。さっそくその公金のつぎ込みに批判が集まっている。
AquaBounty社は10月にプリンスエドワード島の同社の施設の20人の労働者を解雇し、11月にも数人を解雇したと言われるが、同社は長期的な事業の再構築中であるとして、同社の閉鎖を否定している。しかし、事業再開の見込みもない中、なぜ公金をつぎ込むのか?
同社は遺伝子組み換えサーモンを開発したものの、それは市場には受け入れられず、同社は資金繰りに行き詰まったが、オバマ政権時代に米国農務省が公金をつぎ込み、同社を救済した。それに議会が怒り、それから米国政府は同社に公金をつぎ込めなくなった。だからカナダ政府と州に泣きついたのだろうか?
株価も1ドルを割り込む状況が続き、株式会社からの上場廃止の危機が続くことになった。同社はカナダでの遺伝子組み換えサーモンの卵の生産を中止し、カナダでは遺伝子組み換えでない養殖魚の生産に切り替えることを表明、米国では遺伝子組み換えサーモンの生産を続けるとした。しかし、その建設も止まり、同社のリストラクチャーも目処が立たない。そんな破産目前で、社会にも批判される会社になぜ、公金をつぎ込むのか、カナダ政府と州の判断は謎である。
日本は世界で唯一、「ゲノム編集」魚を作る国。でもその「ゲノム編集」魚を作るリージョナルフィッシュ社も利益はまったく上げていない。なぜ、リージョナルフィッシュ社は破産しないのか、そればかりか事業を拡大しているのか、それは日本政府や地方自治体が公金使って支援を続けているからだ。すでに知られているだけで同社には30億円を超えるお金がつぎ込まれている可能性がある。この金額は全国の有機農業を推進するオーガニックビレッジ宣言をした地方自治体に支給される金額よりもはるかに多い金額だ。
米国の公金を止めることでAquaBounty社の命運は決まった。表示もされずに売られる遺伝子組み換えサーモンを間違って食べてしまうことを、もうカナダや米国の消費者は心配しなくて済むことだろう。でも、日本では自力では立つことができないゾンビ企業を公金が支え続けている。
その公金は地域の食を支える活動にこそ支給されるべきだろう。ただでさえ継続が困難になる漁業や農業に携わる人たちを守ることこそが、今後の食料危機を避けるために必要なのだから。
Federal and PEI Governments Prop Up Failing GM Salmon Company
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