遺伝子組み換え作物の「安全」の虚偽がまた暴かれる。今度はBt毒素(殺虫毒素)が想定されていたよりも20倍も有害であることが明らかに。
「安全」と宣伝されていたものが実はきわめて危険であることが数十年かけてわかってくる。環境にも健康にもとっても安全と言われていた農薬が実は腸内細菌も土壌細菌も損ない、さらには発ガン性があるばかりか、数世代後にも影響を与えることがわかってくる。実はそうした危険は製造メーカーはすでにとっくに知っているケースが多い。でもそれは伏せて、販売しまくる。モンサントはラウンドアップの毒性を社内の実験で数十年前につかんでいながら、社外で危険性の指摘があると根拠がないとして攻撃し続け、「安全」神話を守り続けてきた。
今回、ドイツの独立研究組織TestBiotechはモンサントなどの遺伝子組み換え企業が導入したBt毒素が20倍も有害性を持続する仕組みを明らかにした(1)。そしてモンサントはそれを30年近く前からつかんでいた、そして隠していたという。
Bt毒素はバチルス・チューリンゲンシスという土壌細菌が作り出す殺虫力のあるタンパク質。この毒素を使って殺虫剤、Bt剤が作られている。散布すればそれに触れた虫は死ぬが、散布されたBt剤は自然界の中で分解され、出荷時にはまったく残らないから安全な殺虫剤として使うことができる。このタンパクを遺伝子組み換えで組み込んだのがBtコーンやBtコットン(最近はBt大豆も出ている)である。遺伝子組み換え企業は殺虫剤が不要になると宣伝して売り出したが、殺虫剤のBt剤とBtコーンの毒性はまったく異なる。前者が自然界の中で分解されるのに対して、遺伝子組み換え作物の中に入ったBt毒素は分解されない。植物の中にはタンパク質分解阻害酵素が存在しており、この酵素の働きがあるからだ。毒性を保ったまま家畜や人体の中に入っていくことになる。この事実はすでに1990年にモンサントはつかんでいたという。企業の利益のためにその事実は封印されたままにされ、この害虫抵抗性遺伝子組み換えは除草剤ラウンドアップ耐性と並ぶ2大遺伝子組み換え技術となり、この有害な農作物のために世界は苦しめられることになった。ラウンドアップへの禁止が世界で進む中、どちらの技術も今、世界に拒否されつつある。
このBt毒素を持つ作物を連作をし続けた結果、すでに害虫はそれへの耐性を獲得してしまい、もはやBtコーンを植えても、さまざまな殺虫剤が不可欠になってきてしまい、まったく意味を成さなくなってしまい、米国環境保護局は多くのBtコーンの登録を抹消することを提案している。
たとえばコシヒカリは長く意味を持つ遺伝資源として大事に受け継がれていく価値があるが、遺伝子組み換え種子というのは哀れなものだ。遺伝資源としてはまったく意味をなさない。現在、存在する遺伝子組み換え種子は10年後、どれだけ存在し続けているだろう? 「ゲノム編集」の種苗も同様の運命を辿るだろう。
バイエル(旧モンサント)はこのBt毒素を持つ遺伝子組み換え作物をEUに承認を求めたが、EUは拒否した(2)。しかし、日本ではBt毒素を持つ遺伝子組み換えが今年もなお、承認され続けている。(3)
(1) Are GE plants with Bt toxins 20 times more toxic than previously known?
https://www.testbiotech.org/en/press-release/are-ge-plants-bt-toxins-20-times-more-toxic-previously-known
(2) EU Parliament votes against further approvals of GE plants
https://www.testbiotech.org/en/news/eu-parliament-votes-against-further-approvals-ge-plants
(3) 農水省 カルタヘナ法に基づき第一種使用規程を承認した遺伝子組換え農作物一覧(作物別、承認順)PDF
https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/torikumi/attach/pdf/index-236.pdf