食品表示:世界のNon-GMOラベル

 食品表示シリーズ、No.4。すでに登場したものもあるのだけど、Non-GMOラベルで出ていないものがあったので、まとめてみた。
 米国とヨーロッパでよく使われているNon-GMOラベル。米国、英国、ドイツ、オーストリア、ルクセンブルク、スロベニア、フランスのもの。これ以外にもスーパーなどが独自で表示したものなども含めるとすごい数になるだろう。

世界のNon-GMOラベル

 このなかでもドイツのVLOGはとても力があり、民間が始めた認証だが、その後、政府からも委託される存在になったという。米国農務省(USDA)もこのドイツのVLOGが110億ドル(日本円で1.4兆円)の市場を作り出したとその意義を認めている(1)。
 Non-GMO Projectのラベルもよく使われていて、空港の売店にもこのラベルのついた食品がいっぱい売られている。つまり、消費者はそれを選ぶことによって遺伝子組み換え原料使われた食品を避けることができる。
 もっとも有機を選べば遺伝子組み換え食品は避けられるのだから有機認証だけでいいじゃないか、という人もいるかもしれない。でも、有機のラベルは当然有機のものにしか付けることができない。有機のものが選べればいいけれども、そうでない場合は遺伝子組み換えかどうかがわからなくなってしまう。だから、Non-GMOのラベルはNon-GMOに限定することに、意味がある(ただ、ここであげたラベルのうち、図の右下のラベルは基準がまずいので❌を付けた。これ以外にもスーパーによっては独自の認定でNon-GMOのマークを付けているケースもある。それらがどこまで信用できるものなのかは要検証だろう)。
 
 これらの国ではこれらのラベルの存在のおかげで安全な買い物ができる。しかし、日本ではこうした一般のスーパーなどで広く使われている民間認証ラベルは存在していない。2023年4月以降、「遺伝子組み換えでない」という表示が実質的にできなくなる。世界的にも日本の消費者はかなりまずい状況に追い詰められているといえる。

 日本の制度の困ったところは、政府が認めている遺伝子組み換え8品種(大豆、トウモロコシなど)以外には優良誤認をもたらすという理由で遺伝子組み換えでない、という表示を禁止していることだ。だから米や小麦製品にNon-GMOを表示することは禁止対象となる。しかし、昨年から遺伝子組み換え小麦も稲も世界では栽培が始まっている。なのに日本では入るはずがない、という理由でNon-GMOと表示することが禁止されている。突然、偶然入ってしまっても、消費者は見極める手段がない。いろいろと理不尽であり、これに対して有効な対抗策も編み出さなければならない。
 
 どう遺伝子操作されていない食を守っていくのか、あと残された時間は1年を切った。

(1) Voluntary GMO-Free Labeling Program Generates 11 Billion Dollars
https://apps.fas.usda.gov/newgainapi/api/report/downloadreportbyfilename?filename=Voluntary%20GMO-Free%20Labeling%20Program%20Generates%2011%20Billion%20Dollars_Berlin_Germany_6-28-2019.pdf

Non-GMO food labeling programs increasing in Europe

Non-GMO food labeling programs increasing in Europe

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