「ゲノム編集」生物の検出方法がまた発表

 「ゲノム編集された生物は自然界のものと区別することも検出することもできない。だから食品表示は課せない」と消費者庁は断言する。でも、それは本当に科学的な検証をした結果なのか? EUが委託した研究のダーウィン・プロジェクト(2024年1月〜2027年6月)は「ゲノム編集」食品の検出が可能であることを示している。
 「ゲノム編集」生物の検出を語る前に、なぜ、遺伝子組み換え生物は検出可能なのかを確認したい。遺伝子組み換え生物を環境中に出す際には、どんな遺伝子を組み込んだのか、そして、それはどう検出可能なのか、という情報を政府に提供することが遺伝子操作したものに義務付けられる。でも、「ゲノム編集」の場合はその義務を日本や米国では免除してしまった。
 しかし、それには科学者たちから異義の声が上がる。同様の義務付けをすれば検出は可能なはずだ、と。最初の研究は2020年9月に発表された。この研究は米国やドイツ、オーストリアでNon-GMO食品認証を行う団体や市民団体に支援され、米国のHRI研究所で行われ、その方法はオープンソースとして公開されている¹。
 ダーウィン・プロジェクトはEUの資金で行われる「ゲノム編集」食品表示の可能性を検証する2つのプロジェクトのうちの1つで、来年6月までに結論を出すことになっているが、これまでも暫定的に検出が可能であることを示している。今回はその新たな発表で8月に論文が公表されている。
 
 今回の対象は「ゲノム編集」された稲で、用いられたのは稲の全ゲノムシーケンシング、公開ゲノムデータベースを用いて、「遺伝子指紋」と言われる遺伝子マーカーセットだが、これを使えば、「ゲノム編集」稲の割合が極めて低い0.9%あるいは0.1%というものであっても検出が可能だという。査証された論文が発表されている²。
 
 消費者庁は「ゲノム編集」生物は検出不能であると言い続けるのだろうか? そう断言するために消費者庁はどれだけ検証したのか、大いに疑問である。もし、検出することが可能であることがわかれば、「ゲノム編集」食品は遺伝子組み換え食品と同様に表示するという結論にならざるをえない。
 国会は政権がどうなるかで、いつまともな審議が始まるかわからないが、この件はスルーできないはず。そして、新たな表示制度を日本にも確立してほしい。

(1) New GMO Test https://www.detect-gmo.org/
(2) Genetic fingerprints derived from genome database mining allow accurate identification of genome-edited rice in the food chain via targeted high-throughput sequencing
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S096399692501556X

NEW GENETIC FINGERPRINT APPROACH ENHANCES DETECTION OF GENE-EDITED ORGANISMS
https://darwin-ngt.eu/news-events/new-genetic-fingerprint-approach-enhances-detection-of-gene-edited-organisms/

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