ブラジルで蚊が激増し、蚊による感染でデング熱やジカ熱の被害が深刻化。そこで遺伝子組み換え蚊を導入する計画が持ち上がる。生まれた幼虫がすぐ死ぬように遺伝子組み換えしたオスを大量放出することで蚊の数を減らそうというわけだ。
そもそも蚊が激増するのは農薬の使用によって蛙やトンボなどの蚊の天敵が減ったことが原因。蛙やとんぼは農薬の影響を受けやすいが蚊には農薬は効きにくい。解決するためには天敵を増やせるようにするしかないのだが、その環境被害すらビジネスチャンスにしてしまう遺伝子組み換え企業。
しかし、鳴り物入りでサンパウロ州ピラシカバで始まったこの遺伝子組み換え蚊の大量放出、ほとんどニュースを聞かなくなったと思ったら、今年5月で終わるという。蚊の数を減らすために必要なだけの遺伝子組み換え蚊の半分にも足りないもの数しか放出していないということを新聞(Folha de São Paulo)が曝露した。
この方法の有効性を疑う研究者は少なくなかった。遺伝子組み換え蚊のオスと自然界のメスの交配から生まれた幼虫は生存しない、ということだが、100%死滅するのではなく、結構な割合で生き延びる。遺伝子組み換え蚊が増えていく。さらなる生態系の破壊を懸念する声もあった。実際に、バイア州ジャコビナでの実験では実験後、デング熱の非常事態宣言を出す結果に終わり、その実験データも公開されていない。
この遺伝子組み換え蚊を開発したOxitecは英国企業。ブラジルだけでなく、米国など他の地域での遺伝子組み換え蚊の放出も計画されているはずだが、最近のニュースはほとんど聞かない。蚊だけでなく、オリーブにつくミバエを遺伝子組み換えして、スペインで放出を計画していたが、その後、どうなったか?
やはり効果がないことがわかって、終わりということになるのだろうか? しかし、生き残った遺伝子組み換え蚊がどれくらい生まれてしまったのか、Oxitecはモニターしているというが、公開された追跡調査はあるのだろうか?
解決策として祭り上げられるものが実は問題を作り出している。税金を奪い取りながら。しかし、気候変動によって、これは南の国の遠い話しではなく、日本でも行われるようになる可能性は十分ある。そして羽のある遺伝子組み換え蚊は飛行機などを通じて、日本にも居着くようになるかもしれない。
自然のコントロール力を取り戻すことの重要性をあらためて認識しなければならないのではないだろうか?
Oxitec não soltou mosquitos suficientes para proteger Piracicaba