いよいよ遺伝子組み換えサトウキビで作ったサトウキビの栽培がブラジルで始まる。
米国での砂糖は多くが甜菜から作られるが米国での甜菜の95%は遺伝子組み換え。これまでブラジルのサトウキビは遺伝子組み換えではなかったが、昨年、反対をシャットアウトして強引にブラジル政府は遺伝子組み換えサトウキビを承認していた。
ブラジルは世界の砂糖輸出の4割を占める。ここが遺伝子組み換えを始めてしまうと世界に与える影響が懸念される。作られている遺伝子組み換えサトウキビは害虫を殺すBt毒素を作り出す。開発したのはCentro de Tecnologia Canavieira (CTC)というサトウキビ関連企業が加盟するサトウキビ関連技術開発を手がけるブラジル企業。
害虫被害をこの遺伝子組み換え毒素で押さえて砂糖国際価格の下落でも優位に立つことを目指しているとのことだが、Btコットンなどでも起きたようにすぐに虫に耐性がつき効果を失う可能性は高いだろう。しかも、ブラジルからの砂糖は遺伝子組み換えということになれば一気に市場を失いかねない。果たして賢明な選択だったと言えるだろうか?
しかし、サトウキビには別の大きな需要が生まれる可能性がある。それは合成生物学などで作られた生命体、あるいは遺伝子組み換え微生物への餌としてサトウキビ需要が上がっているという指摘がある。それがどれほどのものになるかわからないが、その分野は消費者の力が及びにくく、遺伝子組み換えサトウキビの拡大が進んでしまう危惧もある。
いずれにしても遺伝子組み換え微生物が使われる人工甘味料、遺伝子組み換えトウモロコシが原料で多く使われる果糖(ブドウ糖液糖、異性化糖)、遺伝子組み換え甜菜で作った糖に加え、遺伝子組み換えサトウキビが加わるというのは頭の痛い話し。日本でも沖縄など南の地域でサトウキビ、北の地域で甜菜が作られているがもちろん、今は遺伝子組み換えではない。しかし9割は輸入であり、輸入の半分がタイ、オーストラリア、グアテマラと合わせた3カ国から99%になり、ブラジルからの輸入はほとんどない。しかし、だから大丈夫ということにはならない。
この遺伝子組み換えサトウキビが広がらないためには何をすることができるか、考えてみなければならなくなった。
ロイター記事 Brazil sugar mills start genetically-modified cane plantation